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第1章 幼少期
1 蜘蛛生終了のお知らせ
しおりを挟む今回の人生は短かったなあ...
俺の今際の際の感想はそんなもんだった。俺はこの日本の国で繰り返し生まれ変わり続けている。
最初は良いと思っていた。言ってしまえば、ゲームのデータを消去してまた冒険を最初からやり直す感じ。
まあ大体のゲームはストーリーが決まってるから、些細な違いはあっても大筋は変わらない。俺にとっては人生もそんなもんだった。
生まれてすぐに死んだこともあった。あの頃は現代と違って子供の死亡率はめっちゃ高かったしな。最高で96歳まで生きた。
生まれて、働いて、家庭を持ち(ぶっちゃけ独身の割合のが高かったが)、最後に死ぬ。歴史に名を残すような偉業を成し遂げたこともなく、大罪を犯すようなこともなく。
だが、最初の人生(?)はある意味有名だったかも?
俺の最初の記憶はーーー平安時代、土蜘蛛と呼ばれた人食いの妖怪だった。
結構有名どころだと思うので、名前を知ってる人も多いだろう。知らない?あ、そうですか...。
ともかく、俺は妖怪として生まれた。でも有名なのは俺の親。俺は母(多分)と一緒に退治された子蜘蛛の1匹。だが言っておくが、俺は人間を食べたことはない。
最初から、変わってたんだろうとは思う。兄弟達にとって人間を食うのは本能だし、俺も理解はできた。だから襲われてる人間を助ける気はさらさら無かったが、同じことをする気も無かった。
でも腹は減るので、狸とか犬とか食って凌いでた。
まあ散々人間を食いまくってた土蜘蛛も、ついに退治された訳だ。
逃げた兄弟達も、みんなすぐに殺されただろうな。逃げられたら大惨事だし。いずれ第2第3の土蜘蛛が...になる。俺は、一切抵抗することなく殺された。もう、嫌だったから。
次は、人間に生まれてみたいなぁ...なんて思いつつ、死んだ。
死ぬ前にそんなことを考えたからだろうか?気づいたら人間の赤ん坊になっていた。しかも蜘蛛として死んでからあまり年月は経っていないようで、見慣れた風景が広がっていた。
これから、わたしの人生が始まるんだ...!と、胸を躍らせたものだ。あ、こん時は女の子でした。
結果だけ言うと、わたしは2歳で死んだ。
しかも、恐らく兄弟だった蜘蛛に食い殺されましたよ...。頼光さぁーん!!!ここに討ち漏らしがいますよー!!!
そんなこんなで衝撃的な幕開けだったが、俺はその後も生まれ変わり続けた。
時代、性別、容姿、家柄。色々な人生があった。だが何故か日本以外に生まれたことはない。きっと俺の魂はこの土地に縛られているんだろう。
そして今、俺は13歳。中学生です。家族と来てる海水浴で...死にました。俺泳げないのよ...。浮き輪でぷかぷか浮かんでたのに、水中に引きずり込まれた。
こいつは...なんだこいつ!?海坊主?海は専門外ですー!!
あー、今回はここまでか。ごめん、お父さん、お母さん。あと妹。きっと悲しむだろうなあ...。
でも、そろそろ人生を繰り返すのに飽きてきたんだよなあ...。
なんで俺はこんなことになってるんだろう。死ぬ間際の願望なんて、誰もが持つものだろう。俺だけ叶えられる訳がない。
原因は俺が妖怪だったこと以外考えられない。というか、実はもうわかってたんだ。
言ってしまえば、俺の妖力はクソ強かった。あのまま成長したら、母(仮)を超える土蜘蛛になっただろう。
実は退治された時、逃げるだけなら俺には容易いことだった。
でもしなかった。人を食いたくなかったから。あのまま成長したら、きっと本能に負けて人間を襲っただろう。
そして俺の妖力は、【人間に生まれたい】という願望に使われた。その時の力が強すぎて、未だ切れてないんだろう。
だから、祈った。
もう、いいから。俺の残りの力全部使っていいから。
次の人生で、全部終わらせてくれーーー
そして次に目を覚ましたら。
俺は異世界に転生したらしい。
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