最後の人生、最後の願い

総帥

文字の大きさ
86 / 111
第3章 アカデミー5年生

13 王弟殿下と大賢者の巡り合い

しおりを挟む


 「シャルトルーズ君、手紙来てるよ。」

 「あ、ありがとうございます。」

 誰からかな?ルカ&ライラあいつらか?あいつらには父さんから連絡が行ってたから、俺が行方不明だったのは知ってる。王都まで押しかけて来そうな雰囲気だったらしいが、なんとか宥めたらしい。
 それでこの間帰ってきたぜーって手紙出したら、速攻で返事が来た。心配かけちまったな。夏季休暇に3人で会う約束もしたし、楽しみだ。




 「…って、王弟殿下からかい!」


 忘れてた。そういや師匠に会わせる約束してたっけ。えーと、何々。3日後ですか、はいよ。師匠に連絡しなきゃ。
 師匠は意外とあっさり了承してくれた。怒られると思ってたけど、殿下に聞きたい事もあるらしい。んー、チェスラメル様の事かねえ?俺も師匠に色々相談しないとなー。






 そしてその3日後になった訳だが。なんとも忙しい3日間だった…!

 まずカージナルさん。またまたイジメ現場に遭遇してしまい、無視する訳にもいかないので仲裁に入った。
 そしたら相手のリーダーっぽい令嬢が「シャルトルーズ様までその女の味方ですの!?」とか言ってきた。別に味方じゃ無いですけど。つか俺の名前知ってるんだ、思ってたより俺有名人?
 そこにジル先生まで出くわしちゃってさあ大変。実はジル先生って女生徒にモテるんだよねー。大人の色気がなんちゃら。ついでに前は長い髪をだらしなく纏めてたけど、今は短髪になっている。俺が三十路って言ったから身嗜みに気をつけ始めたの、知ってんだぜー。
 さらにカージナルさん、前に一度、第二王子と遭遇した事があるらしい。イジメを見てしまった王子が間に入ったらしいのだが、火に油。権力持ってる奴は余計なことしないでもらえませんかね?

 もう周囲の認識が、成績優秀で可愛らしいが貧乏で健気な令嬢(カージナルさん)。その彼女を取り巻くのが第二王子(ゼノカイト様)、生徒会長(ファル)、風紀委員長(俺)、魔法科筆頭教師(ジル先生)。他にも多数。
 俺を巻き込まないで!!!誰か助けてえええ!!今すぐ逃げたい…。なんとかこの場は先生が収めてくれたが、疲れた…。



 次はチェスラメル様。いきなり教室に押しかけて来て、お茶に誘われた。立場上断ることも出来ないので、しぶしぶ付き合った。
 この人本当にこれで普段より控えめなの!?すっげえマシンガントーク、半分以上理解不能。さりげなく魔法で探ってみようかなと思ったけど、万が一相手に気付かれたらアウトだ。我慢我慢。
 結局4時間付き合わされた。帰るとき、彼女のお付きの人にさりげなく謝罪された。



 それだけでなく普段の委員会活動も忙しいのだ。もうじき学期末、試験がある。3年生以上は魔法の試験もあるため、許可を取らずに練習する生徒が多い。家でやれ、と言いたい。まあ外で魔法使ってんのバレたら注意じゃ済まないから、学校でやってる訳だが。
 俺だって学校外じゃ使えないし。もちろん身を守るためなら話は別、正当防衛になるが。まあ飛行とかは免許あるから使えるんだけどね!

 ともかく違反者を発見し追っかけて捕まえて、たまに逆ギレされ取り押さえ、キレたいのはこっちじゃボケエエ!!となりながらも頑張った。ハムスターに癒されながら。







 こうしてクタクタになりつつ約束の放課後。明日は休みなので、多少遅くなっても大丈夫。アスラも一緒に里帰りだ!待ち合わせ場所の校門でしばらくぼーっとしてたら、いきなり目の前に転移してきた。ビビったわ!!

 

 「やあ。待たせてしまったかな?」

 「いえ、お気になさらず。では行きましょうか。」


 王弟殿下と手を繋ぎ、アスラの背に触れる。微妙に次元がズレてる所だから、ただ転移するより集中力が必要だ。…よし、確定。


 「〈テレポート〉」
 やっぱ転移といったらこれでしょう!やっぱ便利だわー。いいわー。



 「師匠はあの小屋…家にいると思います。

 師匠ー。王弟殿下がいらっしゃいましたよー。」




 「ああ、よく来たねえ。」

 師匠が予想通り家から出てきた。俺はもう慣れっこだが、殿下はかなり引いてる。まあ見た目、即身仏かと言いたいほどのミイラ婆ちゃんだからな。…いやそこまで酷くなかったよね!?


 「師匠!殿下をからかわないでくださいよ!」

 「ふぁふぁふぁ。3000歳のババアだからねえ。こんなもんだろう?」

 何がふぁふぁふぁだ。いつもがははと笑うくせに!キャラ作ってんじゃねー!
 いつものヨボヨボの婆ちゃんに戻った。



 「失礼、少々驚いてしまいました。大賢者様はお茶目で可愛らしくあらせられるのですね。」

 「シャル!この反応だよ、見習いな!」

 「あーはいはい。べんきょうになりますー。」

 殿下。紳士すぎるぜ…!この2人はほっといても平気そうだな。俺は俺で魔法の練習でもしてよーっと。師匠に相談するのは殿下が帰ってからにしよう。


 「師匠。俺は魔法の練習してるんで。何か用があれば呼んでください。」

 「ああ、はいよ。好きにしな。」


 しかしこの2人はなんの話すんだろうな?









 「では大賢者様。」

 「待った。まずその呼び方をやめとくれ。アタシは好き勝手生きただけ、そんな立派な人間なんかじゃないんでねぇ。」

 「そうでしたか、失礼。ではサイランエルベ様とお呼びしても?」

 「それも好きじゃないね。そもそもアタシの名前は、生まれた時からサラだ。それを周囲の人間が勝手に長くしたんだよ。
 今は違うみたいだが、昔は名前の長さが一種のステータスみたいになってたからねえ。高貴な連中や武功を立てた人間なんかは、やたら覚えにくい名前をつけられたもんさ。」



 唖然。今のジークリンドの表情を形容するならその言葉がぴったりだろう。まさか歴史の裏話をこんなところで知ろうとは。



 ジークリンドは、本当にサラが大賢者と呼ばれる人物なのか半信半疑だった。だがたとえ大賢者ではなくとも、シャルの扱う魔法を見ればレベルの高い教えを受けたのが分かる。恐らく数年もすれば、シャルは彼を凌駕するだろう。なので最初からサラの実力を疑ってはいなかった。
 だがこれは、彼女は予想以上だ。外見こそは常に細かく震えている老婆であるが、その威圧感は凄まじいものがある。かつてブチ切れた兄の姿に押された事があるが、それを遥かに上回る勢いだ。

 彼女は間違いなく、大賢者と呼ばれる方なのだろう。この方ならば、自分の悩みを打ち明けてもいいのかもしれない。


 「では、サラ様と呼ばせていただきます。貴女とお会いできるのを楽しみにしておりました。」

 「そうかい。」


 この大賢者との出会いが、彼に何をもたらすのだろうか。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。

112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。 愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。 実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。 アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。 「私に娼館を紹介してください」 娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──

真実の愛を見つけたとおっしゃるので

あんど もあ
ファンタジー
貴族学院のお昼休みに突然始まった婚約破棄劇。 「真実の愛を見つけた」と言う婚約者にレイチェルは反撃する。

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

処理中です...