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第3章 アカデミー5年生
23 突然の兄上
しおりを挟む「殿下ーーー!!カッコよく去っといてなんだけど、2週間ってマジですか!!?」
はあい。結局お城に戻ってきたよ!騎士さんに格好つけたのが恥ずかしすぎる!
「あ。やっぱり戻ってきたね。そうだよ、あの日から13日経っているんだ。」
王弟殿下はラメが眠るベッドに座っていた。ラメは寝ているみたいだな。殿下はもう涙も止まって通常通りだ。
いや、浮かれてるわ。なんかバックに花が咲いてる気がする。
だが突然立ち上がり、俺に向かってツカツカと歩いてくる。なんか顔が怖くて、思わず逃げそうになった。
だが逃げる事は叶わずガシッと肩を掴まれ、めちゃくちゃいい笑顔で迫ってくる。
「どどどどどうかなさいましたかね?」
俺ってば冷や汗が止まらない。マジで怖いんですけど!?
「君は娘と約2週間の間同衾していた訳だ。責任、取ってくれる?」
「はぃ…?」
責任?…いやいやいや。そういや今の俺の服、これ多分寝間着だな?誰かが着せてくれたのかあ。
「無理です!!!!誓ってお嬢様には不埒な行いはしておりませんので!!不可抗力です!!」
責任って、結婚ってことだろ!!?無理無理無理!!!俺が平民だから、とか以前の問題!!
「でも君、ラメといい雰囲気じゃなかった?
見つめ合っていたし、愛称で呼んでいたじゃないか。
それに、我が娘ながら可愛いだろう?」
「ラメが可愛いのは認めますけど、そういう感情はありません!精神世界で少し会話して、仲良くなっただけです!」
「ははは、ところで私、タイミングよくこんな物を持っているんだ。」
「どれどれ…婚約書じゃないですか!!しかも王族の紋章入りって事は、王命で使われるやつ!!」
俺は目の前に手でバツを作り、拒否しまくった。そうしたら殿下はうちの娘に不満でもあるの?とかお義父様って呼んで?とか言い出すし、勘弁してくれ!!
「叔父上…そろそろ揶揄うのはやめてあげてください。」
天の助け!!いつの間にか王太子殿下が部屋の中に!
猛ダッシュで王太子殿下の背中に隠れる。こんなにも心強い味方はいまいよ!
「おや、残念。
…でもね、シャルトルーズ君。半分は本気だよ。君にだったら娘を任せられると思っているから。
私に、ラメが綺麗な花嫁さんになるのを見届けてほしいと思ってくれているんだろう?そのお相手が君だったら、これ以上ない幸福だと思うんだ。」
「殿下…。俺、その話しましたっけ…?」
「サラ様に聞いた。」
あんのババア!!!何勝手にゲロってんだ!
「はあ…シャルトルーズ、父上より伝言だ。
「明日、詳しい話を聞かせてもらう。玉座の間にて待つ。」…だそうだ。」
「かしこまりました。わざわざご足労いただき、ありがとうございます。」
「それと、ゼルブルーク殿がもうすぐ来るはずだ。其方が目覚めたと連絡がいったからな。」
瞬間。
「シャルっっ!!目が覚めたかー!」
「わっ!父さん!」
本当にすぐ来た。その表情から、かなり心配かけたのが分かる。…俺、親不孝者じゃね?今までずーっと心配かけてばっかりじゃん。
両親には将来は楽させてやる!孫だって…無理かも。マルに任せよう。
「シャル。目覚めたか。君が寝ていた間だが、授業は玖姫が出ていたぞ。後で共有しておくといい。試験も近い。」
「あ、刹鬼。よかった、試験に間に合ったか。サンキュー。」
刹鬼が本から出てきた。前から気になってたけど、お前ら自由だな!?勝手に出歩きまくりじゃん!使い魔ってそんなんだっけ。
あ。後で絢の事教えてやろう。喜ぶかな?でも俺に気を使いそうだなこいつら…。狭間の世界で電撃再会させてやろっと。
俺にくっつく父さんを剥がすこともできず、とりあえずそのまま帰ることにした。母さん達にも無事な姿見せないと。
「では殿下、今度こそ帰ります。また明日お会いしましょう。」
「うん、明日。…シャルトルーズ君。」
「はい?」
「本当に、ありがとう。」
殿下の笑顔を見たら、頑張って良かったなーという思いが溢れてくる。死にかけたけど。
どういたしまして、と返して家に帰る。俺的には数時間ぶりだが、家族を早く安心させねば。
家に帰ったら、母さんとマルにも泣き付かれた。すぐにセイルに連絡がいき、友人が全員集合した。
そして俺は今、正座している。
「シャル。」
「はい…。」
ファルが怖い。他の皆もめっちゃ怖い。正座する俺を中心に、ぐるっと6人が囲ってる。気分はかごめかごめ。空耳が聞こえるわ。
「あの、俺なんかしましたかね…?」
「何もしていない。だから怒っているんだが?」
意味がわかりません。皆最初は目が覚めてよかったー!と喜んでくれていたのだが。落ち着くやいなやこの状況。誰か助けてくれませんかね?
と思っていたら、救いの声が聞こえてきた。
「まあまあ皆、気持ちは分かるけどその辺にしてあげようか。」
この声は…!
「リク兄上!!」
「うん、久しぶりだね。シャル。」
兄上!一瞬父さんかと思ったけど全然若かった。なんとまあ、立派になって…!
しかし本当に久しぶりだ。俺が戻ってきてからというもの、兄上は領地に引っ込んだままで会えずにいた。夏季休暇で会いに行こうと思っていたのだが…。
「兄上。感動の再会は後でお願いします。」
「兄上…なぜあいつらはあんなに怒ってるんでしょう?」
「シャル、それは本人達に聞くしかないよ。私が口出しできる事じゃあない。」
「うぐ…。
…すまん、皆。俺は何をしなかったんですかね…?」
「……貴方、今回の事私達の誰にも相談しなかったでしょう。」
代表してアンジュが答えてくれた。女子2人は比較的冷静そうだ。
…ってそれか!確かに皆になんかあったら頼れって言われたけど!
「待て待て待て!解決したら話すって言ったじゃん!俺まだ起きたばっか!」
兄上の背に隠れながら反撃してみる。かごめ状態からは脱却した。
「分かっているのよ、そんな事。でもやっぱり皆力になれなかったのが悔しいの。」
「本当に男性というものは、まだまだお子様ですわね。」
やれやれといった感じでリアとアンジュが言う。気持ちは分かるが、俺の話を聞いてもらいたい。
「シャル。ここにいる皆殿下から聞いてるんだ。突然のことで僕達に説明する暇もなかったって。でも特にファルが拗ねちゃってねえ。」
「イシアス…。うん、そうだよな。
ファル、皆。全部説明するから、聞いてくれるか?」
特に反対も無かったため、全部話すと決めた。
不可抗力だったとはいえ、誠意は見せるべきだよな。俺の前世とかそういうの以外を隠すことなく説明した。
レクリエーションで(師匠が)異変に気付いた事から、殿下と食事したとか師匠に会いに行ったらあっという間に事態が進んだ事。
そして目覚めるまでの事。ラメが俺の前では大人しかったのは、俺が好みのタイプだったからだと説明した(聞かれたら刹鬼の事ももそうだと言うつもり)。
「こっ好みのタイプ!?シャル、あなた王女様と何かあったの!!?」
「そこに食いつくのかよ!?まあ、告白はされたけど…。」
「なん……!」
リアがこの世の終わりのような顔をしている。
ちなみに今は皆俺の部屋にいる。リアとアンジュとマルがベッドに腰掛けて、俺含め他はリビング等から椅子を持ってきた。
マルもいるのは、ラメが操られていると知ってしまっていたからだ。その後どうなったのか気にしていたし。
そしてリアはそのままベッドに倒れこんだ。
「リア!?どうした、どこでそんなダメージ受けたんだ!」
「シャル…わたしはもうだめだわ…。あ、このベッドシャルの匂いが…あまりしないわ…。」
「あんま使ってないからな!…思ったより元気そうだな?」
だがリアはとても正気ではなさそうだ。勝ち目が…とか遅かった…とかブツブツ言ってるが、情報が少なすぎてなんの事かさっぱりだ。
俺は助けを求めて周囲を見渡すが、全員俺から目を逸らした。なんで!?
「シャル兄ちゃんお姫様に告白されたの!?すごーい!どうなったの?結婚しちゃうの!?」
マルは無邪気だ。この空気の中では救われる。他のやつらも目は逸らしてるが興味はあるようで、聞く体制になっている。
「ああ、お断りしたよ。思い出になるまでお慕いしていてもいいですかって言われたけど…俺が彼女を好きになる事はないだろうな。」
「「「断った!?」」」
「うおっ!?そ、そんな驚くこと???」
マルとリク兄上以外の全員(特にリア)に詰め寄られ、なぜ断ったのとか好きな人がいるのか!?とか好きなタイプとか訊かれまくった。
結局今日は日が暮れるまで、兄上の惚気話含め恋話で盛り上がる事になったのだ。そこでアルトの初恋が玖姫だと知り、驚くと同時に見る目あるなと思ったものだ。
この展開、俺的には助かったけど…お前ら、いいのかそれで?
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