✧魔法の言葉✧ 魔女っ娘の物語

時空 まほろ

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3.「にゃんにゃん、にゃらら~♪」

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「にゃんにゃん、にゃらら~♪」

 わて、いやちゃんと私というべきやろか。
まあ、どっちでもええや。
わてがこの呪文を唱えるとあらら不思議。
鳥の形をしたブレスレットの飾りが光ってな……。



浪花なにわの魔女っ娘ヒタニャラルラことヒータニャラや♡」

フッ、決まったわ……。

 高架橋の柱にもたれてわてがポーズを決めていると。

「あほかーっ!」

バシコーン‼

「痛てーっっ!」
 
ハリセンが顔面に飛んできてわては痛さのあまりその場に転げ回る。

「痛いわボケー! 何すんやこの焼き鳥!」

 叫ぶわての目の前にいるのは相棒のお供であるオウムのキトリやった。
他の魔女っ娘が可愛い猫のお供とかなのに、何でかわての前に現れたのはこのオウムだった。
小うるさいしおかんみたいに世話焼きやしで暑苦しい程の熱血だし。
キトリじゃなくて焼き鳥呼びで充分や。

「ああ? またわいの悪口言うてるな。このどら猫が!」

 おまけにキトリの口の悪さ言うたら。
ある意味で鳥界のトップやこりゃ。

「はよ魔女っ娘の説明せんか!」

 キトリが明後日の方向に翼で器用に持ったハリセンを向けて言う。

 はあ~。
そんなの他の魔女っ娘がすでにくどいほど説明してると思うんやけれど。
まあ、お決まりの文句やな。

 三角のとんがり帽子の先には星の形の飾りが一つ。
黒いローブには魔女っ娘の証のブローチが光っているんや。
ブローチの一部の水晶の中身がまだ三日月の形やから、これが満ちると完全な魔女になれるんやで。

「どや。完璧な説明や。わて天才」
「まあまあやったで」

 欠伸をしつつキトリが言い、わての肩に乗ってきた。

「ヒータニャラ。次の魔女昇格試験の内容は分かっとるやろうな?」
「もちろんや」

 にやりとわては笑みを浮かべて言い放つ。

「魔女昇格試験第三関門・魔法でぬいぐるみを動かす、やろ?」
「そや」

 キトリが頷いて、わての目をしっかりと見た。

「見事に踊らせる様に動かせばいいんや。その方が試験官の魔女の評価も高い」
「踊らせる様にか……」

 ふーむ、とわては顎に手を当てて唸る。
魔法で物を動かすにはちょうっと工夫というか、苦労がいる。
わては人を笑かすことは得意やけれど魔法は正直苦手や。
この間の試験かてものごっつう苦労した末に何とか合格したんや。
 
「……にゃんにゃん、にゃらら~! 杖よ出てこい!」

ふぉん!

 不思議な音がして、わての左手に杖が現れる。
安堵っちゅうのはこういう事を言うんやな。
大きく息を吐いてわては胸を撫でおろす。
 無事に利き手に杖は握られているのを確かめて、惚れ惚れとその杖に見惚れてしまった。
琥珀色の宝石が先端に輝くわてだけの杖。
う~んやっぱりわて天才や!

「はよせいや! いい加減に杖見つめてニヤニヤするんはやめい!」

 またも飛んできたハリセンを今度は避けてからわてはキトリにあっかんべーをしてやる。

「あー! こんのどら猫がふざけよって!」
「こちとら真面目にやってるわこんの焼き鳥!」



(※……このあと本当にレベルが低いやり取りの為割愛)



 怒ったキトリと丁々発止のやりとりをすること数分間。
お互いに肩で息をしてキトリとわての舌戦は小休止。

「で、キトリ試験やけど」
「ああ」
「ぬいぐるみは自分のぬいぐるみを持って行っていいんか?」
「あ、そら違うわ」

 キトリが翼を左右に振る。

「自分の持って行ったらもしかして不正を行う魔女っ娘もいるかもしれんがな。まあ、そんな魔女っ娘が魔女になる資格はない」
「そやな」

 わてはもっともな意見に頷いてから改めて自分が魔女になりたい理由を心の中で呟いた。

「……どうしても魔女になりたいんや。どうしてもな」
「わかってる。お前さんが魔女になりたいんは本物の思いや」

 肩でキトリが言ってくれた言葉に勇気が湧いてくる。
ニカッ、と笑みを浮かべてわてはどんと胸を叩いた。
やってやる、今回の試験絶対に合格してやるんや!

それから試験の満月の夜までわてとキトリはぬいぐるみを動かす特訓をした。
日夜を惜しんで練習したかったんやけれど、わては小学生でもある。
昼間は普通の小学生をやらなあかん。
夜は家族に隠れてこっそりと家を抜け出し、いつもの高架橋の下で懐中電灯の明かりを頼りにぬいぐるみを動かす練習をした。
 おかげさまでぬいぐるみを自由自在とはいかんでも盆踊りくらいの踊りを踊れるようになった。
けれどわては納得はいってなかった。
もっと、もっとすごい動きをさせたい。
そしたら一番の成績で合格できるかもしれん。
もっと、もっと……。

「ヒータニャラ」

 キトリに呼ばれて腕時計を見た。
今日は、放課後からずっと練習をしていた。

「今日はもう止めとき」
「いや、まだや。まだやる」
「ヒータニャラ。止めとき」

 強い口調で言われてカチンときた。

「何でや! わてまだまだ納得してないんや! いっちばんの成績で合格せなあかんのや!」
「……ヒータニャラ。今回の試験、お前さんは落ちる」
「な!」

 キトリの言葉にわては目を見開いた。
お供のキトリが言うことは今まで間違いなんてひとっつもなかった。
だから、そう言うって事は……。

「どうしてやキトリ」
「……」
「キトリ」
「…………落ち着いてよう聞け」

 落ち着かなあかんのに、わての目からは涙が溢れた。
何や理由まだ説明されてんのに悔しくて悔しくて涙が次から次へと出てきた。
だって、すっごい動きを見せれば

「初心を忘るべからず、や」
「キトリ……」
「お前さんが、魔女になりたい理由を素直に思い出すんや」
「それは」
「そや。わいが初めてヒータニャラと出会った時言ったやろ? 忘れたんか」

 ハッとした。
わての頭に初めてキトリとの会話が思い起こされる。

“お前さんほど強い心の光を持った魔女っ娘見たことないわ。絶対にものごっつい魔女になれる素質があるで”

「ものごっつい魔女……」
「そや」
「キトリ」
「ん?」

 肩に乗ってきたキトリの羽毛からあたたかさが感じられる。
頬を摺り寄せると、日なたのいい匂いがした。

「……わて忘れてたや。大事なこと」
「言うてみ」
「みんなに勝つことよりも、自分のベストを尽くすことの大切さを」
「そや」
「ほんまに初心忘るべからず、やな」
「ああ。それでこそわいの信じたヒータニャラや」






 後日。


「ヒータニャラ」

 試験官の魔女の厳しい声が広場に響いた。

 ごくり、と唾を飲み込む。
わては頑張った。
頑張ったんや。

「ほんとうに見事だったよ。合格だ」

わー、と他の魔女っ娘の歓声が上がった。

「やった、やったで!」
「やったな、さすがヒータニャラや」


満月の夜空の下で飛び上がってわてとキトリはハイタッチを交わしたのだった。









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感想 5

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みんなの感想(5件)

ヨミエリ
2025.08.15 ヨミエリ

大阪弁が上手で自然な感じが出てますね。

解除
ヨミエリ
2025.08.13 ヨミエリ

ノリと勢いに吹きました!

解除
ヨミエリ
2025.08.12 ヨミエリ

キャラの名前や「あいるん、あいるんるん〜♪」などの言葉にセンスを感じます!

解除

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