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6 幸せのまま消えてしまいたい
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僕は作業台にうつ伏せたまま、嗚咽を止める事ができなかった。でも早くこの無様な格好を何とかしないと不愉快を与えてしまうし、また暴力を受ける事が怖くて混乱した。そうなる前に何とか身体を起こして涙を拭う。
「ノア!ノア、大丈夫か!?なぜこんなひどい目に!」
「ユ、ユージーン、様・・も、申し訳、ありません、お見苦しい、ところを・・」
「お前が謝る事じゃない!それよりひどい怪我だ!」
「僕、だ、大丈夫、です。助けて下さって、ありがとう、ございました」
ユージーン様がなぜこんな粗末な所に・・?
助けられてありがたいけれど、あの人が目を覚ませば、また何をされるか分からない。さらにひどい仕打ちを受けるかも知れない・・そう思ったら、恐怖で目の前が真っ暗になる。
こんな事がいつまで続くんだろう・・いっその事、早く毒にでも当たって死んでしまえたらいいのに。
「ノア・・お前、うしろ・・」
「っ!」
まだ、僕のおしりの穴には太い張形が奥深くまで突き刺さっている。痛くて、苦しい・・
視線を足元へ移すと、太ももを伝って血が滴るのが目に入る。手を伸ばして張形に触れてみる。張形には血がべったりと付着していて、その血が僕の手を汚した。
「ひっ!っ!!いっ!はぁはぁ・・」
痛い・・!痛い・・!怖い・・!
「すごい出血だ・・ノア、少し身体を触る、良いか?」
「・・っ!んぐっ!」
「大丈夫だ!助けるから!な?」
僕は痛みを堪えながら、小さく頷くしかなくて、もうこれ以上の辛いことがありませんようにと祈りながら、大丈夫だからと自分に言い聞かせる。
ユージーン様は、僕のおしりの穴に突き刺さった張形に、床に落ちていたヌルヌルする液体をかけるとゆっくりと引き抜いていく。途中でビリビリと鋭い痛みに襲われて身体が震え、涙が溢れた。
「いっ!あ"あ"あ"っ!んぐ!」
「悪い!もう終わるから!」
ユージーン様は張形を引き抜き終えると、僕の頭を撫でながら「よく頑張ったな?」と言った。そうされると、なぜか痛みが一瞬和らいでいくようだった。
それからユージーン様は地下に置かれたシーツで僕の身体を包んでそっと横抱きにすると、昼間と同じ部屋へと連れて行った。
僕の汚れた体を洗浄魔法で綺麗にして、ぬるま湯で温める。ユージーン様が・・僕の傷のない場所を、香りの良い石鹸で優しく洗っていく。
「お、お手を、汚します・・あの!このような事、して頂くわけには・・僕、自分で、できますから」
「ダメだよ、お前はひどい傷を負っているんだ。現に辛くて歩けなかっただろ?」
「もう、大丈夫、ですから・・」
「駄目だ!」
「っ!すみません!すみません!お、お許しください!」
「ノア・・」
怖い!怖い・・!大人しくしていないと、またひどい目に合わされる!僕は腕で顔を守るように隠すと、衝撃がくるのを待つ。
「ノア、俺がお前を殴るとでも?そんな事をする訳ないだろ?お前は・・ずっとそうやって辛い思いをしながら生きてきたのか?」
「申し訳、ありません・・」
「謝らなくていいんだ・・ノア、手当するから、おいで」
ユージーン様は僕を抱き上げると、柔らかい布で身体を拭いて上等な寝間着を着せた。それからそっと寝台に寝かせる。ふわりと沈む柔らかい感触に驚いて、思わず寝台を手で押してみる。気持ち良い・・
そう言えば僕の靴・・下着も・・あの男に水桶の中に投げ入れられてしまった。早く拾いに行かないと明日までに乾かない。服は破られた・・縫えばまた着られるだろうか・・
「ユージーン様、ありがとうございました・・僕、これで失礼します。服はまたお返しに伺います・・あの、服が、破れてしまって・・縫い終えるまで、お借り、して良いですか・・?」
「出て行くなよ?今、治癒士がくる。治るまでしばらくここにいればいい。な?」
「そんな事・・許されません」
「俺が許す。心配しなくていいから、お前は早く怪我を治せ」
「・・」
許されない。たかが怪我くらいで仕事を放棄するなんて。
許してもらえない。休めばきっともっと酷い目に合う・・それが、怖い。
「泣くなよ、ノア。怖かったな・・苦しかっただろ?痛み、まだあるよな?もうすぐ治癒士が来る」
ユージーン様がまた僕の頭を撫でる。思わず目を瞑ってしまう。心地よくて、優しくて、気持ち良い。なんて、暖かいんだろう・・涙が止まらない。
「ううっ・・暖かい・・えぐっ・・優しい・・このまま、消えて、しまいたい・・」
「え・・?」
「消え、たい、消え、たいぃ・・ひぐっ!この幸せな気持ちのまま・・僕を、死なせて、下さい・・」
「ノア!」
ユージーン様を困らせてはいけない。なのにどうして心の声をユージーン様に・・
ユージーン様が僕の事を見つめて、ゆっくりと近づいてくる。それから僕を力強く抱きしめた。
「ノア!ノア、大丈夫か!?なぜこんなひどい目に!」
「ユ、ユージーン、様・・も、申し訳、ありません、お見苦しい、ところを・・」
「お前が謝る事じゃない!それよりひどい怪我だ!」
「僕、だ、大丈夫、です。助けて下さって、ありがとう、ございました」
ユージーン様がなぜこんな粗末な所に・・?
助けられてありがたいけれど、あの人が目を覚ませば、また何をされるか分からない。さらにひどい仕打ちを受けるかも知れない・・そう思ったら、恐怖で目の前が真っ暗になる。
こんな事がいつまで続くんだろう・・いっその事、早く毒にでも当たって死んでしまえたらいいのに。
「ノア・・お前、うしろ・・」
「っ!」
まだ、僕のおしりの穴には太い張形が奥深くまで突き刺さっている。痛くて、苦しい・・
視線を足元へ移すと、太ももを伝って血が滴るのが目に入る。手を伸ばして張形に触れてみる。張形には血がべったりと付着していて、その血が僕の手を汚した。
「ひっ!っ!!いっ!はぁはぁ・・」
痛い・・!痛い・・!怖い・・!
「すごい出血だ・・ノア、少し身体を触る、良いか?」
「・・っ!んぐっ!」
「大丈夫だ!助けるから!な?」
僕は痛みを堪えながら、小さく頷くしかなくて、もうこれ以上の辛いことがありませんようにと祈りながら、大丈夫だからと自分に言い聞かせる。
ユージーン様は、僕のおしりの穴に突き刺さった張形に、床に落ちていたヌルヌルする液体をかけるとゆっくりと引き抜いていく。途中でビリビリと鋭い痛みに襲われて身体が震え、涙が溢れた。
「いっ!あ"あ"あ"っ!んぐ!」
「悪い!もう終わるから!」
ユージーン様は張形を引き抜き終えると、僕の頭を撫でながら「よく頑張ったな?」と言った。そうされると、なぜか痛みが一瞬和らいでいくようだった。
それからユージーン様は地下に置かれたシーツで僕の身体を包んでそっと横抱きにすると、昼間と同じ部屋へと連れて行った。
僕の汚れた体を洗浄魔法で綺麗にして、ぬるま湯で温める。ユージーン様が・・僕の傷のない場所を、香りの良い石鹸で優しく洗っていく。
「お、お手を、汚します・・あの!このような事、して頂くわけには・・僕、自分で、できますから」
「ダメだよ、お前はひどい傷を負っているんだ。現に辛くて歩けなかっただろ?」
「もう、大丈夫、ですから・・」
「駄目だ!」
「っ!すみません!すみません!お、お許しください!」
「ノア・・」
怖い!怖い・・!大人しくしていないと、またひどい目に合わされる!僕は腕で顔を守るように隠すと、衝撃がくるのを待つ。
「ノア、俺がお前を殴るとでも?そんな事をする訳ないだろ?お前は・・ずっとそうやって辛い思いをしながら生きてきたのか?」
「申し訳、ありません・・」
「謝らなくていいんだ・・ノア、手当するから、おいで」
ユージーン様は僕を抱き上げると、柔らかい布で身体を拭いて上等な寝間着を着せた。それからそっと寝台に寝かせる。ふわりと沈む柔らかい感触に驚いて、思わず寝台を手で押してみる。気持ち良い・・
そう言えば僕の靴・・下着も・・あの男に水桶の中に投げ入れられてしまった。早く拾いに行かないと明日までに乾かない。服は破られた・・縫えばまた着られるだろうか・・
「ユージーン様、ありがとうございました・・僕、これで失礼します。服はまたお返しに伺います・・あの、服が、破れてしまって・・縫い終えるまで、お借り、して良いですか・・?」
「出て行くなよ?今、治癒士がくる。治るまでしばらくここにいればいい。な?」
「そんな事・・許されません」
「俺が許す。心配しなくていいから、お前は早く怪我を治せ」
「・・」
許されない。たかが怪我くらいで仕事を放棄するなんて。
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「泣くなよ、ノア。怖かったな・・苦しかっただろ?痛み、まだあるよな?もうすぐ治癒士が来る」
ユージーン様がまた僕の頭を撫でる。思わず目を瞑ってしまう。心地よくて、優しくて、気持ち良い。なんて、暖かいんだろう・・涙が止まらない。
「ううっ・・暖かい・・えぐっ・・優しい・・このまま、消えて、しまいたい・・」
「え・・?」
「消え、たい、消え、たいぃ・・ひぐっ!この幸せな気持ちのまま・・僕を、死なせて、下さい・・」
「ノア!」
ユージーン様を困らせてはいけない。なのにどうして心の声をユージーン様に・・
ユージーン様が僕の事を見つめて、ゆっくりと近づいてくる。それから僕を力強く抱きしめた。
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