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11 調査書
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フリードが調べたノアの断罪理由は不審なものが多くみられた。
18年前、コリン卿は3人の息子たちの母親を病で亡くした。それと同時に不倫相手の妊娠が分かり、すぐに再婚した。生まれた息子がノアだ。
コリン子爵の血を継ぐもの達は、みな茶髪に黒い瞳をしていた。生まれたノアも当然同じ色を持って生まれた。
ノアは大きくなるにつれて複雑な魔法に興味を持つ様になり、10才になる頃には中級魔法を使えるまでになっていた。だからと言って他害に及ぶことはしなかったし、むしろ魔力も魔法属性にも優れていて学園では優秀な生徒だったようだ。
しかし生まれながらに日常的に家族から蔑まれながら育ったノアは、ほとんど人と関わりを持たなかった。屋敷でも母親と共に閉鎖的な扱いを受けていたのは、3人の兄達とその祖父母の影響だった。
兄達は母親が病になり亡くなったのは、ノアの母親とノアのせいだと責めた。本来なら生まれる子供に罪は無いが、ノアの母親は花街の女で平民、いくら蔑まれようが助けに入る後ろ盾などない。ノアの母親は教養もなく育ち、知見も魔力もほとんど持ち合わせておらず、あるとすれば容姿の美しさだけ。
そんな中、ノアの魔法が事件を引き起こした。魔力暴走を起こし、嫡男に大怪我をさせた。不運にも、その際にノアの母親はそれに巻き込まれて亡くなった。
普段大人しく、母親と共に静かに暮らしていたノアが、魔力を暴走させてしまうほどの何があったのか。
日常的に家族として受入れられていなかった母子は、コリン卿に救済される事もなく、底辺の暮らしを強いられていた。離れの小屋に押し込められるようにして過ごし、コリン家の一員としての扱いは受けていなかった。
事件以降、学園にも通わせないようにノアを抑圧し屋敷の離れに隠していた兄弟たちは、まるで優秀なノアを妬んでいるかのようだ。
いったい何があって母親は死に、長兄が怪我を負うことになった?
事件の調査書を読む限り、ノアは母親と自分への恨みを、嫡男殺害により晴らそうと闇魔法で呪術を放ったとある。その魔法の跳ね返りで嫡男は下半身に大怪我を負い、生命こそ助かったものの一生消えない後が残り、そして母親は亡くなった。
これが事実だとして、大人しく優秀なノアが唯一信頼出来る母親を巻き込んで死なせるリスクを負うのだろうか?
事件以来、ノアの髪は変色し瞳は薄桃色へと変わった。それがまた、コリン卿がノアを悪魔と呼ぶに相応しいものへと助長させた。
コリン卿は使用人たちにノアとの接触を一切禁じ、それを破ったものには罰を与えた。そして悪魔が子爵邸にいることを不快に思っていたコリン卿は、ノアを毒味役として扱う事にした。悪魔・・?悪魔って何なんだ?
その頃からさらにコリン子爵邸では秩序もなく争いにまみれ、ろくな統治をしていない事で民からの信用もなかった。何度も毒を盛られ、コリン子爵邸のもの達は安心して暮らせる状態ではなかったのだ。
コリン子爵邸でたびたび盛られた毒というものは、決定的に致命傷となるものではなかったようだが、ノアはそれを食らい続け13才にもならない幼い身体はとうとう毒に蝕まれ、身動きができる身体ではなくなってしまった。
ノアは俺が会った時、宮廷内で働くに支障がなさそうにみえた。ならばコリン邸でその後、きちんと治療を受けて回復したという事か・・?
フリードにかつてノアが起こした魔力暴走についてさらに探らせる。
何かあるはずだ。ノアがこんな扱いをされ続けてきた理由が。
ノアは生まれた時から辛い思いをしてきた。少なくとも子爵家の子息だというのに、奴隷にも劣る生活を送っていただなんて。
今、ノアを手放せば、またあの地下牢で生活をさせる事になる・・いつ命を落とすかも分からない毒味役をさせる?そんな事、許せるはずがないだろ?
闇魔法は他の魔法と比べて希少性が高く、光魔法と対となる場合が多い。闇という定義が曖昧な概念なために魔法も様々な性能を持つ場合が多い。例えば毒や呪い、死霊魔術や時空操作など・・ノアはいったいどんな闇魔法を使うんだ?
それに、1人の人間が生涯のうちに髪や瞳の色が変化するなんて聞いたことがない。変身魔法か何かなのか?
ノアの色素の薄い金色の髪、俺はあまりにも儚く見えて目を奪われたんだ。無造作で手入れのされていない髪だと言うのに、さらさらと流れるように肩を撫でて美しかった。
あの瞳の色は何だろう・・薄桃色とは珍しい。瞳の色が目元全体をピンク色に染めるように潤んで見える。
ノアが悪魔?天使と言った方が幾分納得するというものだ。
きっと何かあるに違いない、コリン子爵家に隠された何かが。
俺はフリードに探らせている答えが出るのを、もどかしく思いながら手元にある調査書を何度も読み返した。
18年前、コリン卿は3人の息子たちの母親を病で亡くした。それと同時に不倫相手の妊娠が分かり、すぐに再婚した。生まれた息子がノアだ。
コリン子爵の血を継ぐもの達は、みな茶髪に黒い瞳をしていた。生まれたノアも当然同じ色を持って生まれた。
ノアは大きくなるにつれて複雑な魔法に興味を持つ様になり、10才になる頃には中級魔法を使えるまでになっていた。だからと言って他害に及ぶことはしなかったし、むしろ魔力も魔法属性にも優れていて学園では優秀な生徒だったようだ。
しかし生まれながらに日常的に家族から蔑まれながら育ったノアは、ほとんど人と関わりを持たなかった。屋敷でも母親と共に閉鎖的な扱いを受けていたのは、3人の兄達とその祖父母の影響だった。
兄達は母親が病になり亡くなったのは、ノアの母親とノアのせいだと責めた。本来なら生まれる子供に罪は無いが、ノアの母親は花街の女で平民、いくら蔑まれようが助けに入る後ろ盾などない。ノアの母親は教養もなく育ち、知見も魔力もほとんど持ち合わせておらず、あるとすれば容姿の美しさだけ。
そんな中、ノアの魔法が事件を引き起こした。魔力暴走を起こし、嫡男に大怪我をさせた。不運にも、その際にノアの母親はそれに巻き込まれて亡くなった。
普段大人しく、母親と共に静かに暮らしていたノアが、魔力を暴走させてしまうほどの何があったのか。
日常的に家族として受入れられていなかった母子は、コリン卿に救済される事もなく、底辺の暮らしを強いられていた。離れの小屋に押し込められるようにして過ごし、コリン家の一員としての扱いは受けていなかった。
事件以降、学園にも通わせないようにノアを抑圧し屋敷の離れに隠していた兄弟たちは、まるで優秀なノアを妬んでいるかのようだ。
いったい何があって母親は死に、長兄が怪我を負うことになった?
事件の調査書を読む限り、ノアは母親と自分への恨みを、嫡男殺害により晴らそうと闇魔法で呪術を放ったとある。その魔法の跳ね返りで嫡男は下半身に大怪我を負い、生命こそ助かったものの一生消えない後が残り、そして母親は亡くなった。
これが事実だとして、大人しく優秀なノアが唯一信頼出来る母親を巻き込んで死なせるリスクを負うのだろうか?
事件以来、ノアの髪は変色し瞳は薄桃色へと変わった。それがまた、コリン卿がノアを悪魔と呼ぶに相応しいものへと助長させた。
コリン卿は使用人たちにノアとの接触を一切禁じ、それを破ったものには罰を与えた。そして悪魔が子爵邸にいることを不快に思っていたコリン卿は、ノアを毒味役として扱う事にした。悪魔・・?悪魔って何なんだ?
その頃からさらにコリン子爵邸では秩序もなく争いにまみれ、ろくな統治をしていない事で民からの信用もなかった。何度も毒を盛られ、コリン子爵邸のもの達は安心して暮らせる状態ではなかったのだ。
コリン子爵邸でたびたび盛られた毒というものは、決定的に致命傷となるものではなかったようだが、ノアはそれを食らい続け13才にもならない幼い身体はとうとう毒に蝕まれ、身動きができる身体ではなくなってしまった。
ノアは俺が会った時、宮廷内で働くに支障がなさそうにみえた。ならばコリン邸でその後、きちんと治療を受けて回復したという事か・・?
フリードにかつてノアが起こした魔力暴走についてさらに探らせる。
何かあるはずだ。ノアがこんな扱いをされ続けてきた理由が。
ノアは生まれた時から辛い思いをしてきた。少なくとも子爵家の子息だというのに、奴隷にも劣る生活を送っていただなんて。
今、ノアを手放せば、またあの地下牢で生活をさせる事になる・・いつ命を落とすかも分からない毒味役をさせる?そんな事、許せるはずがないだろ?
闇魔法は他の魔法と比べて希少性が高く、光魔法と対となる場合が多い。闇という定義が曖昧な概念なために魔法も様々な性能を持つ場合が多い。例えば毒や呪い、死霊魔術や時空操作など・・ノアはいったいどんな闇魔法を使うんだ?
それに、1人の人間が生涯のうちに髪や瞳の色が変化するなんて聞いたことがない。変身魔法か何かなのか?
ノアの色素の薄い金色の髪、俺はあまりにも儚く見えて目を奪われたんだ。無造作で手入れのされていない髪だと言うのに、さらさらと流れるように肩を撫でて美しかった。
あの瞳の色は何だろう・・薄桃色とは珍しい。瞳の色が目元全体をピンク色に染めるように潤んで見える。
ノアが悪魔?天使と言った方が幾分納得するというものだ。
きっと何かあるに違いない、コリン子爵家に隠された何かが。
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