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25 ソルヴィン殿下に相談した事
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僕の目の前に、ソルヴィン殿下が立っている。腕を組みながら、僕をじっと見つめている。
怖い顔はしていなくて、でもきっと僕が悪い事をしたと思っているのだと思う。
「それで?ノアは部屋を抜け出してどこに行っていたのかを、私に言えないのかな?」
「ご、ごめんなさい!僕、ううぅ・・ふぇ」
殿下はとても優しいお方だし、決して怖くないのに、どうしても涙が出てきて止まらなかった。
「ノア?泣いちゃったね。私が怖かったかな。困ったね・・おいで?お菓子をあげよう。ほら、口を開けて?美味しいね、幸せだね、ノア」
「うぅ・・おいし、です・・」
「ね、美味しい美味しい。ふふっ。さてと、今日はもう意地悪をするのはやめておこうかな」
ソルヴィン殿下はそう言って、僕の頭を優しく撫でてくる。
殿下は僕に意地悪なんてしたことはないのに、それに僕がどこに行っていたかも答えていないのに、無理矢理に何かを聞いてこようとしてこない。
ソルヴィン殿下は、いつもそうやって穏やかに僕を甘やかしてくれる。甘い声で、綺麗で優しい顔で。
「先にお湯に浸かっておいで?食事の準備をしておくからね、ノア」
「はい・・」
「いい子だね、よく温まるんだよ?」
僕はいい香りのするお湯に浸かって、ソルヴィン殿下とふたりで食事をする。こうやって、毎日のように。
僕はあまり食欲が湧かなくて、残すと勿体ないから朝に少しだけ食べられたらいいと言って断った。だけど、それは許してもらえなかった。
毎食、ソルヴィン殿下が僕の口に食べ物を入れてきてくれるから、申し訳なくて堪らなかった。
僕は少しずつ食事を食べれるようになって、ほとんどソルヴィン殿下の手を煩わせる事をしなくて済むようになった。
夜はソルヴィン殿下の寝台で寝かせてもらった。殿下の寝台を汚すなんて、最初は激しく抵抗したのだけど、やっぱり殿下の言う事を聞くように言われてしまった。
「ノア?ほら、暖かくしておやすみ?いい子だね。大丈夫、大丈夫」
ソルヴィン殿下は、毎日必ず僕の頭を撫でて僕を寝かせてくれた。
いつもなら、その優しい声色にすぐに眠ってしまうのだけれど、でも今日は、寝てはいけない大切な日だから、僕は勢い良く体を起こして殿下に声を掛けた。
「あの!あの・・」
「ノア?どうかした?眠れないのかな?」
「う・・」
「ああ・・さっきの?怖がらせて悪かったね?いいんだよ、また明日にでも今日の事を教えてくれるかな?楽しい事があったなら、私にも聞かせて欲しい。今日は何も気にしないで、ゆっくり眠ればいいよ」
「えっと!僕、今日、女の子に会いました・・」
「女の子・・?」
「こ、恋の、お話をしました。その女の子は、好きな人が、いるって・・」
「そうか」
ソルヴィン殿下はもっと話を聞いて来てくれるだろうか・・僕は少し黙って、殿下の言葉を待った。
「その女の子の名は?」
「えっと・・アリーです」
「アリー・・」
「アリーは、好きになっちゃいけない人に、恋をしているんです・・僕とおんなじ、です・・」
ソルヴィン殿下は、アリーとは会ったことがあるのだろうか・・アリーの名前を聞いても、特に驚いたような顔をしていない。アリーとは、面識はないのだろうか。
「恋をしてはいけない人がいるなんて、悲しい事だ・・ノア、すまないな。お前にも辛い思いをさせているな」
「お、お庭の、お仕事をしている人です。黒い髪をした、ダンスがとても上手な人だって言っていました。あの!アリーの為に、その人を探してもらえませんか?」
「え・・お庭・・アリーという娘が、その、庭師を好きだと言ったのか?」
「はい、アリーは、もう時間がないって言って・・どこかに行ってしまうからって!」
ソルヴィン殿下は僕を見つめたまま、何かを考えているような顔をした。
「その娘は、どこに行くのかな。もう時間がないのなら、探すのは難しいな」
「そんな!お願いです!助けて、下さい!」
「ノア、私には難しい・・この話はユージーンに任せるから、だから心配しなくていい。ほら、今日はこのまま眠りなさい」
ソルヴィン殿下は、また何かを考えているように、静かに寝台のそばに座った。
僕はソルヴィン殿下によってユージーン殿下から引き離されてしまったけど、ソルヴィン殿下は僕にとても優しくしてくれる。
僕はまだソルヴィン殿下にお礼も言えなくて、いつかちゃんとお礼が言いたかった。
いつもはなかなか言い出せなくて、だけど今日は、ソルヴィン殿下がとても考え込んでいる顔をするから、僕はソルヴィン殿下に声を掛けたくなった。
「あの・・殿下!ソルヴィン殿下・・僕に、いつも、親切にして下さって、感謝しています。ソルヴィン殿下・・優しくしてくれて、僕、嬉しいです・・ありがとう、ございます」
僕が話を始めると、殿下は顔を上げて僕に微笑みながら聞いてくれた。それから、また僕の頭を優しく撫でてくれて、「私がユージーンの兄だと知っていたのか。そうか・・」と言って笑った。
怖い顔はしていなくて、でもきっと僕が悪い事をしたと思っているのだと思う。
「それで?ノアは部屋を抜け出してどこに行っていたのかを、私に言えないのかな?」
「ご、ごめんなさい!僕、ううぅ・・ふぇ」
殿下はとても優しいお方だし、決して怖くないのに、どうしても涙が出てきて止まらなかった。
「ノア?泣いちゃったね。私が怖かったかな。困ったね・・おいで?お菓子をあげよう。ほら、口を開けて?美味しいね、幸せだね、ノア」
「うぅ・・おいし、です・・」
「ね、美味しい美味しい。ふふっ。さてと、今日はもう意地悪をするのはやめておこうかな」
ソルヴィン殿下はそう言って、僕の頭を優しく撫でてくる。
殿下は僕に意地悪なんてしたことはないのに、それに僕がどこに行っていたかも答えていないのに、無理矢理に何かを聞いてこようとしてこない。
ソルヴィン殿下は、いつもそうやって穏やかに僕を甘やかしてくれる。甘い声で、綺麗で優しい顔で。
「先にお湯に浸かっておいで?食事の準備をしておくからね、ノア」
「はい・・」
「いい子だね、よく温まるんだよ?」
僕はいい香りのするお湯に浸かって、ソルヴィン殿下とふたりで食事をする。こうやって、毎日のように。
僕はあまり食欲が湧かなくて、残すと勿体ないから朝に少しだけ食べられたらいいと言って断った。だけど、それは許してもらえなかった。
毎食、ソルヴィン殿下が僕の口に食べ物を入れてきてくれるから、申し訳なくて堪らなかった。
僕は少しずつ食事を食べれるようになって、ほとんどソルヴィン殿下の手を煩わせる事をしなくて済むようになった。
夜はソルヴィン殿下の寝台で寝かせてもらった。殿下の寝台を汚すなんて、最初は激しく抵抗したのだけど、やっぱり殿下の言う事を聞くように言われてしまった。
「ノア?ほら、暖かくしておやすみ?いい子だね。大丈夫、大丈夫」
ソルヴィン殿下は、毎日必ず僕の頭を撫でて僕を寝かせてくれた。
いつもなら、その優しい声色にすぐに眠ってしまうのだけれど、でも今日は、寝てはいけない大切な日だから、僕は勢い良く体を起こして殿下に声を掛けた。
「あの!あの・・」
「ノア?どうかした?眠れないのかな?」
「う・・」
「ああ・・さっきの?怖がらせて悪かったね?いいんだよ、また明日にでも今日の事を教えてくれるかな?楽しい事があったなら、私にも聞かせて欲しい。今日は何も気にしないで、ゆっくり眠ればいいよ」
「えっと!僕、今日、女の子に会いました・・」
「女の子・・?」
「こ、恋の、お話をしました。その女の子は、好きな人が、いるって・・」
「そうか」
ソルヴィン殿下はもっと話を聞いて来てくれるだろうか・・僕は少し黙って、殿下の言葉を待った。
「その女の子の名は?」
「えっと・・アリーです」
「アリー・・」
「アリーは、好きになっちゃいけない人に、恋をしているんです・・僕とおんなじ、です・・」
ソルヴィン殿下は、アリーとは会ったことがあるのだろうか・・アリーの名前を聞いても、特に驚いたような顔をしていない。アリーとは、面識はないのだろうか。
「恋をしてはいけない人がいるなんて、悲しい事だ・・ノア、すまないな。お前にも辛い思いをさせているな」
「お、お庭の、お仕事をしている人です。黒い髪をした、ダンスがとても上手な人だって言っていました。あの!アリーの為に、その人を探してもらえませんか?」
「え・・お庭・・アリーという娘が、その、庭師を好きだと言ったのか?」
「はい、アリーは、もう時間がないって言って・・どこかに行ってしまうからって!」
ソルヴィン殿下は僕を見つめたまま、何かを考えているような顔をした。
「その娘は、どこに行くのかな。もう時間がないのなら、探すのは難しいな」
「そんな!お願いです!助けて、下さい!」
「ノア、私には難しい・・この話はユージーンに任せるから、だから心配しなくていい。ほら、今日はこのまま眠りなさい」
ソルヴィン殿下は、また何かを考えているように、静かに寝台のそばに座った。
僕はソルヴィン殿下によってユージーン殿下から引き離されてしまったけど、ソルヴィン殿下は僕にとても優しくしてくれる。
僕はまだソルヴィン殿下にお礼も言えなくて、いつかちゃんとお礼が言いたかった。
いつもはなかなか言い出せなくて、だけど今日は、ソルヴィン殿下がとても考え込んでいる顔をするから、僕はソルヴィン殿下に声を掛けたくなった。
「あの・・殿下!ソルヴィン殿下・・僕に、いつも、親切にして下さって、感謝しています。ソルヴィン殿下・・優しくしてくれて、僕、嬉しいです・・ありがとう、ございます」
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