王子妃セスから冒険者レノになった話

氷室 裕

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第2章 自己変革編

①カイルとの再会

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「あれ?また会ったな、レノ」

 金髪の男性が、宝石みたいにキラキラしたアイスブルーの瞳を俺に向けて話しかけてきた。
 距離が近くて、背が仰け反りそうになる。

「あ、あ・・えっと、カイルさん?こんにちは」

 カイルさんは、俺の肩に手を回して来て嬉しそうに笑った。

「嬉しいな!名前を覚えてくれたんだな。今日は何しに来たんだ?そういえば、冒険者登録は出来たのか?」

 カイルさんは生命力に溢れ、生き生きとして見えた。
 溌剌はつらつで軽快な口調に少し圧倒されながら、俺は答えた。

「はい!俺も名前、覚えてもらえて嬉しいです。あの日、冒険者登録はちゃんと出来ました。俺、ランクはF級だったんですけど、お金稼げますか?」

 カイルさんは魔法剣士だ。
 出来たらお仕事の様子、見てみたい。

「レノお前、あれからまだ何も?やり方は分かるか?」

 俺は城を出てから5日間、家具や食料を調達したり、河川敷の整備をして過ごした。

 河川敷一帯も、俺が使っても問題ないとの事だったけど、向こう岸の河川敷から続く森には魔物が出るから入ってはいけないと言われた。

 あの辺りは危険指定区域を受けているから、俺の家から近くの民家までは豆粒に見えるくらい遠くにある。
 そりゃあそうだ、好き好んで魔物が出没する危険な場所に住む者はいない。

「はい、まだ何も・・やり方は一度教わりましたからきっと大丈夫です。カイルさんは、今日は魔法剣士のお仕事ですか?」

 出来れば一緒について行って見てみたい。
 駄目と言われても、こっそりついて行こうかな。

「いや、今日は特には。俺がお前の初陣に付き合ってやろうか?」

 カイルさんはそう言って、依頼掲示板をあれこれ見始める。

「これはどうだ?一角ウサギ10匹捕獲。ウサギ肉の納品だ。角は売れば金になる。一緒に付いて行ってやるよ」

 俺はカイルさんから依頼書を受け取ると、内容を確認する。そういえば、レインが最初はウサギ狩りをしたらいいとか言っていたな。

 一本角の生えたウサギ。赤目と白毛が可愛い見た目だ。
 一般的なウサギよりひとまわりも身体が大きな獰猛どうもうな肉食ウサギで、額にらせん状の黒い角を持ち、人間を含む獲物を突き刺し貪り食う恐ろしい怪物だけど・・一応は下位種だから俺でも戦えるはず!

「こいつらは、スライムよりは少々能力が高いが、通常攻撃しかないから、少しレベルが上がれば恐れるに足りない魔物だ。この辺りの草原地帯周辺に出現する。魔力自体が少ないから、初めてのお前でも、ほとんど気にする必要は無い。何かあれば俺が助けるよ」

 そういうことで俺は、カイルさんと一緒に一角ウサギを狩りに出る事になった。

「カイルさん、本当に良かったんですか?俺に付き合って」

 俺は申し訳なさげに聞いてみる。

「レノ、カイルと呼び捨ててくれ。敬語もやめていい。年もさほど変わらない、俺は最近24才になったんだ」

 うわぁ・・大人っぽい。
 まだ24才なんだ。

「何だよ、その顔は・・もっと老けて見えたか?」
「い、いえ!いや、あの、大人っぽいなぁと思って。俺と3つしか変わらないのに」

 背も高くて、体格良いし、これだけ胸板がないと戦うには不利なんだろうか。
 腕の太さが俺とまるで違う。
 俺は今、女性の姿だけど、昔の男性だった頃の体と比べても大差があり過ぎる。
 一体どんな訓練や実践をこなして来たんだろう。

 俺はおもむろにカイルの腕を両手で掴んだ。
 筋肉がすごく盛り上がっていて、硬くしなやかで。
 レオも、同じくらい凄かった。
 胸板も厚くて、腹筋も割れて、彫刻のような裸体美だった。

 わわわぁ!!また変な風に思考が飛んだ!
 レオの事は封印しないと!

「なに、百面相してるんだ?それで?レノは俺を誘っているのか?」

 楽しそうにカイルが俺に言って、俺の肩を抱き寄せる。

「す、すみません!つい見惚れて!俺もこんな腕になりたい!カイルの訓練がどんななのか、見てみたい・・それに誘ってくれたのはカイルの方だよね?ウサギ狩り?」
「え??あ、あぁ・・ウサギ狩りな?だな?ならとっとと行くぞ」

 カイルは何とも言えないような顔をして、また歩き出す。
 身長差があるから歩調が合わず、時々小走りになる。
 カイルは笑いながら、少し歩調を俺に合わせてくれた。








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