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第10章 真実の幕開編
③カイルが帰って来ない件
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本当に、レノの元気がない。
あんまりどころか、全然話さなくなった。いつも明るいレノから、ついに笑顔も消えたな。
あの日、カイルとクリスが突然俺たちの前から消えて、レノが探しに行った。
レノの取り合いで決闘でもしたのか、戻って来たカイルの顔には殴られた跡があった。
カイルはひどく無口になって「雨宿り」で強い酒を煽っていたし、そんなカイルに俺は、声すらかけられなかった。
それからだ。レノの様子がおかしくなったのは。ついに、レノはギルドにも来なくなった。
俺はレノの様子が気になって、エルフィードとレヴィーを誘って、レノの家を訪ねた。
「あー・・先客がいるわけね・・」
そこにはすでにクリスさんがいて、セスの隣りにピッタリと張り付いて座っている。どういう事だ?カイルとレノを取り合って、クリスさんがレノを奪ったという事だろうか。しかしそれも何か違うような気がする。
ふたりが座っているソファーテーブルには、あれこれとレノの好物が所狭しと置かれていて、クリスさんもまた、レノを心配している事が伝わってくる。
「レノ、ちゃんとご飯食べてるか?何なら俺が和食でも作ろうか?」
「シュウ・・ありがとう。でもあんまり食欲がないから」
「レノ・・どうしちゃったの?やっぱり、寂しいんだね・・カイルが帰って来ないから」
エルフィードは、自分からそんな事を言っておきながら、不服そうな顔をしている。
カイルか・・クリスさんとの事があってからすぐ、『5日程で戻る』と言いおいて姿を消した。すでに2週間が経過している。どこへ行ったのかは、誰も知らない。
カイルの事だ、危険な事に巻き込まれる事はないだろうけど、帰って来れない事情があるのだろうか・・
結論は、レノの様子がおかしいのは、カイルが原因だよな?要するにそう言う事・・つまり、レノはクリスさんじゃなくて、カイルの事が好きなんだろ?
あんなに良い奴はいないよ、俺が保証する。カイルに惹かれて当然だ。
「カイルがいなくて寂しい・・5日で戻るって言ってたのに・・何かあったのかな・・怪我とか病気とかしてないかな・・心配だな・・」
正直だな、レノは。
でも、友人として心配している口ぶりでもある。そりゃあ、帰還予定が5日後だったのに、2週間経っても帰らなければ心配するだろう。
まぁ・・実は俺も、相当心配している。
「カイルが街を出る時、ちょうど俺もギルドの依頼で街を出て・・その時にカイルを見かけたんだ。数人の見た事のない奴らと一緒だった。ひとりじゃないなら大丈夫だろ?S級ランクのカイルが、みすみすやられはしないよ。それにカイル、頑丈そうだし」
知らない奴らだった。
3人の男たち、まるでカイルに従えるような装いだった。ギルドでパーティを組んだ感じには見えなかったな。
カイルは厳しい表情をしていて、いつもと違った服を纏っていた。俺は声を掛けそびれて、何も言えずにその後ろ姿を見送った。
「うん?そうなの?あぁ・・そうなんだ。なら、大丈夫かな・・?」
レノが何かを納得するみたいに、考えを巡らせるような顔を見せて、それから冷めたお茶を一口飲んだ。
「温かいお茶、淹れるね?」
レノが俺たちに向かって無理やり笑顔を作った。素足のまま歩くレノはとても小さくて、俺は慌ててレノに部屋履きを履かせた。
あんまりどころか、全然話さなくなった。いつも明るいレノから、ついに笑顔も消えたな。
あの日、カイルとクリスが突然俺たちの前から消えて、レノが探しに行った。
レノの取り合いで決闘でもしたのか、戻って来たカイルの顔には殴られた跡があった。
カイルはひどく無口になって「雨宿り」で強い酒を煽っていたし、そんなカイルに俺は、声すらかけられなかった。
それからだ。レノの様子がおかしくなったのは。ついに、レノはギルドにも来なくなった。
俺はレノの様子が気になって、エルフィードとレヴィーを誘って、レノの家を訪ねた。
「あー・・先客がいるわけね・・」
そこにはすでにクリスさんがいて、セスの隣りにピッタリと張り付いて座っている。どういう事だ?カイルとレノを取り合って、クリスさんがレノを奪ったという事だろうか。しかしそれも何か違うような気がする。
ふたりが座っているソファーテーブルには、あれこれとレノの好物が所狭しと置かれていて、クリスさんもまた、レノを心配している事が伝わってくる。
「レノ、ちゃんとご飯食べてるか?何なら俺が和食でも作ろうか?」
「シュウ・・ありがとう。でもあんまり食欲がないから」
「レノ・・どうしちゃったの?やっぱり、寂しいんだね・・カイルが帰って来ないから」
エルフィードは、自分からそんな事を言っておきながら、不服そうな顔をしている。
カイルか・・クリスさんとの事があってからすぐ、『5日程で戻る』と言いおいて姿を消した。すでに2週間が経過している。どこへ行ったのかは、誰も知らない。
カイルの事だ、危険な事に巻き込まれる事はないだろうけど、帰って来れない事情があるのだろうか・・
結論は、レノの様子がおかしいのは、カイルが原因だよな?要するにそう言う事・・つまり、レノはクリスさんじゃなくて、カイルの事が好きなんだろ?
あんなに良い奴はいないよ、俺が保証する。カイルに惹かれて当然だ。
「カイルがいなくて寂しい・・5日で戻るって言ってたのに・・何かあったのかな・・怪我とか病気とかしてないかな・・心配だな・・」
正直だな、レノは。
でも、友人として心配している口ぶりでもある。そりゃあ、帰還予定が5日後だったのに、2週間経っても帰らなければ心配するだろう。
まぁ・・実は俺も、相当心配している。
「カイルが街を出る時、ちょうど俺もギルドの依頼で街を出て・・その時にカイルを見かけたんだ。数人の見た事のない奴らと一緒だった。ひとりじゃないなら大丈夫だろ?S級ランクのカイルが、みすみすやられはしないよ。それにカイル、頑丈そうだし」
知らない奴らだった。
3人の男たち、まるでカイルに従えるような装いだった。ギルドでパーティを組んだ感じには見えなかったな。
カイルは厳しい表情をしていて、いつもと違った服を纏っていた。俺は声を掛けそびれて、何も言えずにその後ろ姿を見送った。
「うん?そうなの?あぁ・・そうなんだ。なら、大丈夫かな・・?」
レノが何かを納得するみたいに、考えを巡らせるような顔を見せて、それから冷めたお茶を一口飲んだ。
「温かいお茶、淹れるね?」
レノが俺たちに向かって無理やり笑顔を作った。素足のまま歩くレノはとても小さくて、俺は慌ててレノに部屋履きを履かせた。
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