【完結】国の借金返済のためにアイドルグループ作ります!なぜかメンバーに口説かれていますが、恋愛禁止ですよ?

櫻野くるみ

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私の幼馴染たち

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私は王妃様に見送られながら退室すると、まずはルカリオ王子の部屋に向かった。
ルカリオはチェスター王国の王太子で、次期国王となる人物だ。
――この国が乗っ取られなければの話だけれど。

最悪、借金が返せなくても隣国の第一王女と結婚すれば、国王にはなれるのですよね。
……あぁ、想像しただけでムカムカするのはなぜかしら。

根っからの真面目であるルカリオは、立派な国王となるべく日々懸命に学び、公務をこなしてきた。
そのひたむきな姿が国民にも愛され、その人気は既にアイドル級である。

コンコココンコン コンコン

ルカリオ用のノックをする。
王妃様専用より無駄に長いが、ルカリオが気に入っているから止め時がわからないまま今に至る。

「ん? アイリスかい? 入っておいで」

すぐに私だと気付き、ルカリオは入室を許可してくれた。
扉を開けると、騎士団長息子のキースと、魔術師団長息子のレンの姿もあった。
ここで三人が揃っているのを見るのは久しぶりな気がする。

「あら、二人もいらしていたのですね」
「おう、借金の話を聞いちまったからな。そういうアイリスだってルカリオを心配して顔を見に来たんだろ?」
「この国始まって以来の危機ですからね。心配にもなりますよね」

キースとレンはルカリオを案じてやってきたらしい。
三人の絆を感じて私は思わず笑みを零した。

騎士団長息子のキースは、現在彼の父と同じ騎士団に所属し、一人前の騎士になろうと奮闘中だ。
勇猛果敢なところが父親そっくりだと評判である。

レンも父が団長を務める宮廷魔術師の一員として働いているが、魔術の実力が子供の頃から群を抜いていた為、若手のホープと呼ばれている。

熱血で明るいキースと、物静かで繊細なレンは全くタイプは違うが、その才能や優れた容姿、家柄からそれぞれに根強いファンが付いていて、社交界ではとりわけ有名な存在だった。

「うーん、もちろん心配はしているのですけれど――それより、借金返済に向けての前向きな相談に伺ったといいますか」
「「「は?」」」

三人の声がハモった。
揃って目を丸くするイケメンが可愛らしい。

「借金返済計画? そんなものがあるんですか?」
「アイリス……もしかして君の前世の記憶でどうにかしようとか考えていないよね?」
「うわ、それは嫌な予感しかしねーな」

レン、ルカリオ、キースの順で喋り出したが、なんだか若干しかめ面をしている。

嫌な予感だなんて、キースったら失礼しちゃうわ。
でもルカリオはさすが長い付き合いだけあって、理解が早くて助かりますね。
思いっきり前世の記憶を活用する気ですから。

「王妃様には先に許可をいただいちゃいました。私の計画が嫌だったら三人とも結婚ですって」
「はあ? ルカリオだけじゃなく、レンと俺も結婚しなきゃなんねーのか?」
「はい。ルカリオ大好きな隣国のお姫様の妹たちが、キースとレンにぞっこんなのでしょう? 第二王女がキース、第三王女がレンと結婚したがっていると聞きました」
「やめてくださいよ。僕はその三女と結婚なんてしませんよ」
「俺だって次女の姫なんてごめんだぜ」
「いやいや、僕も第一王女との結婚なんて考えてないよ!」

三人ともお姫様との結婚には気が乗らないらしく、必死に否定している。
私は呑気にも、三人が三姉妹と結婚したらみんな義理の兄弟になるのねぇなんて考えていたのだが、ふとあることに気付いてしまった。

「そういえば三人ともモテるのに、いまだに婚約者すらいませんものね」

『『『誰のせいだと!!』』』

三人が何かを言いたげな反応を見せたが、意味がわからない私はただ首を傾げていた。

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