25 / 37
恋愛禁止のルール
しおりを挟む
会議終盤、今後の我が国の方針が決まった。
まずは禁忌魔法が使われた証拠を集めること、そして調査委員会が不正の隠蔽を行った証明と、不正に加担したメンバーの洗い出しである。
しかし、すべてがすぐに結果が出るものでもない上、上手くいく保証もない。
騎士団長は念の為、いつでも騎士を動かせるようにしておくと発言し、密偵が隣国の様子を逐一伝えてくれることになった。
「アイリスちゃん、何か言っておくことはあるかしら? チェスターズに関することで」
王妃様が私に話を振ってくれた。
少し悩んで、私は立ち上がる。
「あの、たいしたことではないのですが、チェスターズには恋愛禁止のルールがあるので、オズナリー王国の王女様たちにも守っていただきたいと……」
「は!? 恋愛禁止? なんで?」
なぜか騎士団長が慌てている。
「なんでとおっしゃられましても、アイドルとはそういうものですから」
「へ? アイドルって恋愛禁止なのか?」
「そうですね。ファンが恋人みたいなものなので」
「……そ、そうか。ちなみにうちの息子はそのことを知っているのかな?」
「もちろんお話しましたよ」
「納得はしていませんでしたが……」という言葉は省略しておく。
「ふーん、アイドルは恋愛禁止なのか……。ブハッ! なんだよ、キースのやつ不憫で笑えるな! ハハッ。いやー、アイリスちゃんってば可愛い顔して結構ドS……ブハハハ!」
またもや笑いが止まらなくなったのか、騎士団長は机を叩いて笑っている。
見れば、国王夫妻と魔術師団長は苦笑いをしているし、他の人は気の毒そうな顔をしていた。
お父様だけが勝ち誇ったように微笑んでいるのが気になるところだ。
この反応は一体……。
しかもドSって言われませんでした?
え、私ってドSだったの?
皆さん、国の一大事にチェスターズに恋愛をさせたかったのかしら。
私が付いていけずに困っていると、王妃様が助け舟を出してくれた。
「あの子たちには悪いけれど、ここは恋愛禁止のルールを上手く利用して王女からの婚約の打診を断りましょう。しばらくの間は使えるでしょう。いい口実になるわ」
皆が承諾すると、国王様が最後に立ち上がった。
「今回のこと、皆には苦労をかけて申し訳なく思っている。くれぐれもよろしく頼む。……アイリス嬢、今日君を呼んだのはプレッシャーをかけるつもりではなく、君意外にも動いている人間が多くいることを知ってもらいたかっただけなのだ。気負わずにやってほしい」
特に負担にも思っていないアイドル計画だったが、失敗しても責任を取らなくていいのはありがたい。
私の表情が綻んだことに気付いたのか、続々と声をかけられた。
「アイドル計画の成功は楽しみですが、その前に私が不正を暴くので安心してください」
「いざとなったら俺が一人でも隣国をぶっ潰すから大丈夫だって!」
「国としても動いていますから、出来る範囲で頑張っていただければ」
「もちろんアイドル計画にも協力は惜しみませんからご安心を」
魔術師団長、騎士団長を始めとするおじさま集団に激励されてしまった。
初めは緊張していた会議だったが、終わってみれば有意義で、ボッコボコにされるどころか背中を押されただけだった。
これはますますやる気が出ましたよ~!
「ありがとうございます! どうか皆様のお力を私とチェスターズにお貸しくださいませ!」
頭を下げると温かい拍手までいただいてしまった。
会議終了後、私の踊っている水晶を欲しがる大臣たちを、騎士団長が鬼の形相でつっぱねていたことを私は知らない。
まずは禁忌魔法が使われた証拠を集めること、そして調査委員会が不正の隠蔽を行った証明と、不正に加担したメンバーの洗い出しである。
しかし、すべてがすぐに結果が出るものでもない上、上手くいく保証もない。
騎士団長は念の為、いつでも騎士を動かせるようにしておくと発言し、密偵が隣国の様子を逐一伝えてくれることになった。
「アイリスちゃん、何か言っておくことはあるかしら? チェスターズに関することで」
王妃様が私に話を振ってくれた。
少し悩んで、私は立ち上がる。
「あの、たいしたことではないのですが、チェスターズには恋愛禁止のルールがあるので、オズナリー王国の王女様たちにも守っていただきたいと……」
「は!? 恋愛禁止? なんで?」
なぜか騎士団長が慌てている。
「なんでとおっしゃられましても、アイドルとはそういうものですから」
「へ? アイドルって恋愛禁止なのか?」
「そうですね。ファンが恋人みたいなものなので」
「……そ、そうか。ちなみにうちの息子はそのことを知っているのかな?」
「もちろんお話しましたよ」
「納得はしていませんでしたが……」という言葉は省略しておく。
「ふーん、アイドルは恋愛禁止なのか……。ブハッ! なんだよ、キースのやつ不憫で笑えるな! ハハッ。いやー、アイリスちゃんってば可愛い顔して結構ドS……ブハハハ!」
またもや笑いが止まらなくなったのか、騎士団長は机を叩いて笑っている。
見れば、国王夫妻と魔術師団長は苦笑いをしているし、他の人は気の毒そうな顔をしていた。
お父様だけが勝ち誇ったように微笑んでいるのが気になるところだ。
この反応は一体……。
しかもドSって言われませんでした?
え、私ってドSだったの?
皆さん、国の一大事にチェスターズに恋愛をさせたかったのかしら。
私が付いていけずに困っていると、王妃様が助け舟を出してくれた。
「あの子たちには悪いけれど、ここは恋愛禁止のルールを上手く利用して王女からの婚約の打診を断りましょう。しばらくの間は使えるでしょう。いい口実になるわ」
皆が承諾すると、国王様が最後に立ち上がった。
「今回のこと、皆には苦労をかけて申し訳なく思っている。くれぐれもよろしく頼む。……アイリス嬢、今日君を呼んだのはプレッシャーをかけるつもりではなく、君意外にも動いている人間が多くいることを知ってもらいたかっただけなのだ。気負わずにやってほしい」
特に負担にも思っていないアイドル計画だったが、失敗しても責任を取らなくていいのはありがたい。
私の表情が綻んだことに気付いたのか、続々と声をかけられた。
「アイドル計画の成功は楽しみですが、その前に私が不正を暴くので安心してください」
「いざとなったら俺が一人でも隣国をぶっ潰すから大丈夫だって!」
「国としても動いていますから、出来る範囲で頑張っていただければ」
「もちろんアイドル計画にも協力は惜しみませんからご安心を」
魔術師団長、騎士団長を始めとするおじさま集団に激励されてしまった。
初めは緊張していた会議だったが、終わってみれば有意義で、ボッコボコにされるどころか背中を押されただけだった。
これはますますやる気が出ましたよ~!
「ありがとうございます! どうか皆様のお力を私とチェスターズにお貸しくださいませ!」
頭を下げると温かい拍手までいただいてしまった。
会議終了後、私の踊っている水晶を欲しがる大臣たちを、騎士団長が鬼の形相でつっぱねていたことを私は知らない。
40
あなたにおすすめの小説
契約妻に「愛さない」と言い放った冷酷騎士、一分後に彼女の健気さが性癖に刺さって理性が崩壊した件
水月
恋愛
冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件の旦那様視点短編となります。
「君を愛するつもりはない」
結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。
出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。
愛を期待されないのなら、失望させることもない。
契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。
ただ「役に立ちたい」という一心だった。
――その瞬間。
冷酷騎士の情緒が崩壊した。
「君は、自分の価値を分かっていない」
開始一分で愛さない宣言は撤回。
無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。
モブでいたはずの私が、ただひとりに溺愛されるまで
ChaCha
恋愛
乙女ゲームの世界に転生したことに気づいたアイナ・ネルケ。
だが彼女はヒロインではない――ただの“モブ令嬢”。
「私は観る側。恋はヒロインのもの」
そう決めて、治癒魔術科で必死に学び、気合いと根性で仲間を癒し続けていた。
筋肉とビンタと回復の日々。
それなのに――
「大丈夫だ。俺が必ず君を守る」
野外訓練で命を救った騎士、エルンスト・トゥルぺ。
彼の瞳と声が、治癒と共に魂に触れた瞬間から、世界が静かに変わり始める。
幼馴染ヴィルの揺れる視線。
家族の温かな歓迎。
辺境伯領と学園という“日常の戦場”。
「……好き」
「これは恋だ。もう、モブではいたくない」
守られるだけの存在ではなく、選ばれる覚悟を決めたモブ令嬢と、
現実しか知らない騎士の、静かで激しい溺愛の始まり。
これは――
モブでいたはずの私が、ただひとりに溺愛されるまでの物語。
※溺愛表現は後半からです。のんびり更新します。
※作者の好みにより筋肉と気合い…ヤンデレ落ち掛けが踊りながらやって来ます。
※これは恋愛ファンタジーです。ヒロインと違ってモブは本当に大変なんです。みんなアイナを応援してあげて下さい!!
過労薬師です。冷酷無慈悲と噂の騎士様に心配されるようになりました。
黒猫とと
恋愛
王都西区で薬師として働くソフィアは毎日大忙し。かかりつけ薬師として常備薬の準備や急患の対応をたった1人でこなしている。
明るく振舞っているが、完全なるブラック企業と化している。
そんな過労薬師の元には冷徹無慈悲と噂の騎士様が差し入れを持って訪ねてくる。
………何でこんな事になったっけ?
ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく
犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。
「絶対駄目ーー」
と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。
何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。
募集 婿入り希望者
対象外は、嫡男、後継者、王族
目指せハッピーエンド(?)!!
全23話で完結です。
この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。
身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)
柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!)
辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。
結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。
正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。
さくっと読んでいただけるかと思います。
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
男装獣師と妖獣ノエル ~騎士団で紅一点!? 幼馴染の副隊長が過保護です~
百門一新
恋愛
幼い頃に両親を失ったラビィは、男装の獣師だ。実は、動物と話せる能力を持っている。この能力と、他の人間には見えない『黒大狼のノエル』という友達がいることは秘密だ。
放っておかないしむしろ意識してもらいたいのに幼馴染枠、の彼女を守りたいし溺愛したい副団長のセドリックに頼まれて、彼の想いに気付かないまま、ラビは渋々「少年」として獣師の仕事で騎士団に協力することに。そうしたところ『依頼』は予想外な存在に結び付き――えっ、ノエルは妖獣と呼ばれるモノだった!?
大切にしたすぎてどう手を出していいか分からない幼馴染の副団長とチビ獣師のラブ。
※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ」「カクヨム」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる