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準備は万端
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借り物競争実行委員が全員揃い、顔合わせも終わったので、ようやく競技――じゃなかった、余興であるゲームの説明に入れそうだ。
ちなみに「借り物競争実行委員」は私が勝手に命名しただけなのに、早くも正式名称となりつつある。
アレクシスなんて、自分の委員長と言う呼び名が気に入ったのかやたら呼ばせようとしてくるし、私はやはり副委員長で決定らしい。
役職(?)が決まったところで、先に口頭でルールについて簡単に説明することにした。
私とアレクシス以外はここに集められただけで、何をやるかはまだ聞かされていないのだ。
「……以上が、『借り物競争』についての説明ですが、あまりピンとこないと思います」
「副委員長、前回のカードは持ってきているんだろう? 僕たちでやってみせよう」
「ええ、そのつもりよ」
アレクにしっかり「副委員長」と呼ばれてしまったわ。
どれだけ乗り気なのよ……。
なんて思いつつ、私たち二人は国王夫妻の前でデモンストレーションをした時と同じようにテーブルから距離を取り、「よーいドン」で走り、カードを選ぶ。
すると今回のカードには、私は『扇子』、アレクシスは『髪を編み込んだ女性』と書いてあった。
「どなたか、私に扇子を貸していただけます?」
「それならこちらをどうぞ」
シュナイダー夫人がべっ甲の飾りが揺れる扇子を私に手渡してくれる。
一方、アレクシスは髪を綺麗に編み込んでいるヴァレリー夫人に、エスコートをするべく手を差し出した。
「夫人、僕の手を取りゴールまで共に来てもらえますか?」
「喜んで!!」
おおっ、ヴァレリー夫人の目がハートになっているわ……。
確かにこれは恋が芽生えそうね。
……夫人は既婚者だから芽生えちゃマズイだろうけど。
扇子を持った私、アレクシスとヴァレリー夫人がゴールと決めた場所まで移動して振り返った。
「ここまでが一連の流れとなります」
「なるほど。俊敏性だけでなく、咄嗟の判断力、運も大事な要素なのですね」
「素晴らしいわ! 常に全員がゲームに参加出来るのね」
見ていたロイバーとグレースが感心したように頷いている。
確かに小物を貸すだけなら高齢や足腰が弱い人でも可能なのだから、みんなで楽しむことが出来ると言えるかもしれない。
おや?
思ったよりもこれっていい案だったんじゃないの?
ナイス、私!
自画自賛していると、アレクシスが国王からの伝言を伝え始めた。
「『このゲームは早さを競うものである。よって、各レースで一位を取った者には私の秘蔵のワインを贈呈しよう』だそうだ」
うわっ、おじさまのワインって他国から献上されたやつじゃないの?
レアよ、レア!!
「陛下の秘蔵ワインなんて、目の色を変える人が出てきそうね」
「ますます注目度が高まって、絶対失敗出来ないわ」
夫人たちも一層気合が入ったようで、アレクシスを中心に様々なことを決めていく。
借り物競争は、全部で四つの部に分けて行うことにした。
初めは男女分かれての二部体制にしようとしたのだが、ヴァレリー夫人が未婚の令嬢と令息の部をそれぞれ作った方が、ドキドキする展開があって面白いと言い張ったのである。
その姿は、もはや『くっ付けおばさん』にしか見えない。
「では、一般女性の部、一般男性の部、令嬢の部、令息の部の順番で四つの部に分かれて進行します」
私が改めて決定事項を繰り返す。
レディーファーストなので女性から始まり、これからの貴族社会の担い手となる令息が最後という、盛り上がること間違いなしの順番だ。
既婚や未婚で分けるのは、日本の記憶が多少残っている私には非常にナンセンスに思えるが仕方ない。
まあ、あくまで大雑把な分け方であり、どのレースに出場するかは個人の選択の自由なので、その辺はお好きにどうぞという感じである。
続いて、当日は『司会進行』、『カードを並べる係』、『スタート地点の整列係』、『ゴールでカードと借り物を確認する係』をそれぞれ一人以上置くことにし、六名が各部を順番に担当することにした。
委員もゲームに参加出来るように、係を抜けられるような体制も作っておいた。
「では、肝心のカードに記載する、調達する物や人についての意見を聞きたい」
「思ったんだけれど、私とグレースで令息用のカードを考えるのはどうかしら? 出会いを演出できるような」
「いいと思うわ。私たちなら令嬢が貸しやすい小物とかがわかるし、ときめきを演出するような指令が出せそうだもの」
グレースがすぐさま賛成してくれるが、まさにその通りだと思う。
カードの書きようによってイメージは変わる。
ただ『青い瞳の女性』と書くより、『吸い込まれそうな青い瞳の女性』のほうが選ばれた者のときめき度が高いはずだ。
……多分。
結局、私とグレースが令息用、アレクシスとロイバーが令嬢用、夫人らが一般男性と一般女性用のカードを作ることに決定した。
そして何度か打ち合わせを行い、私たちは夜会当日を迎えたのである。
ちなみに「借り物競争実行委員」は私が勝手に命名しただけなのに、早くも正式名称となりつつある。
アレクシスなんて、自分の委員長と言う呼び名が気に入ったのかやたら呼ばせようとしてくるし、私はやはり副委員長で決定らしい。
役職(?)が決まったところで、先に口頭でルールについて簡単に説明することにした。
私とアレクシス以外はここに集められただけで、何をやるかはまだ聞かされていないのだ。
「……以上が、『借り物競争』についての説明ですが、あまりピンとこないと思います」
「副委員長、前回のカードは持ってきているんだろう? 僕たちでやってみせよう」
「ええ、そのつもりよ」
アレクにしっかり「副委員長」と呼ばれてしまったわ。
どれだけ乗り気なのよ……。
なんて思いつつ、私たち二人は国王夫妻の前でデモンストレーションをした時と同じようにテーブルから距離を取り、「よーいドン」で走り、カードを選ぶ。
すると今回のカードには、私は『扇子』、アレクシスは『髪を編み込んだ女性』と書いてあった。
「どなたか、私に扇子を貸していただけます?」
「それならこちらをどうぞ」
シュナイダー夫人がべっ甲の飾りが揺れる扇子を私に手渡してくれる。
一方、アレクシスは髪を綺麗に編み込んでいるヴァレリー夫人に、エスコートをするべく手を差し出した。
「夫人、僕の手を取りゴールまで共に来てもらえますか?」
「喜んで!!」
おおっ、ヴァレリー夫人の目がハートになっているわ……。
確かにこれは恋が芽生えそうね。
……夫人は既婚者だから芽生えちゃマズイだろうけど。
扇子を持った私、アレクシスとヴァレリー夫人がゴールと決めた場所まで移動して振り返った。
「ここまでが一連の流れとなります」
「なるほど。俊敏性だけでなく、咄嗟の判断力、運も大事な要素なのですね」
「素晴らしいわ! 常に全員がゲームに参加出来るのね」
見ていたロイバーとグレースが感心したように頷いている。
確かに小物を貸すだけなら高齢や足腰が弱い人でも可能なのだから、みんなで楽しむことが出来ると言えるかもしれない。
おや?
思ったよりもこれっていい案だったんじゃないの?
ナイス、私!
自画自賛していると、アレクシスが国王からの伝言を伝え始めた。
「『このゲームは早さを競うものである。よって、各レースで一位を取った者には私の秘蔵のワインを贈呈しよう』だそうだ」
うわっ、おじさまのワインって他国から献上されたやつじゃないの?
レアよ、レア!!
「陛下の秘蔵ワインなんて、目の色を変える人が出てきそうね」
「ますます注目度が高まって、絶対失敗出来ないわ」
夫人たちも一層気合が入ったようで、アレクシスを中心に様々なことを決めていく。
借り物競争は、全部で四つの部に分けて行うことにした。
初めは男女分かれての二部体制にしようとしたのだが、ヴァレリー夫人が未婚の令嬢と令息の部をそれぞれ作った方が、ドキドキする展開があって面白いと言い張ったのである。
その姿は、もはや『くっ付けおばさん』にしか見えない。
「では、一般女性の部、一般男性の部、令嬢の部、令息の部の順番で四つの部に分かれて進行します」
私が改めて決定事項を繰り返す。
レディーファーストなので女性から始まり、これからの貴族社会の担い手となる令息が最後という、盛り上がること間違いなしの順番だ。
既婚や未婚で分けるのは、日本の記憶が多少残っている私には非常にナンセンスに思えるが仕方ない。
まあ、あくまで大雑把な分け方であり、どのレースに出場するかは個人の選択の自由なので、その辺はお好きにどうぞという感じである。
続いて、当日は『司会進行』、『カードを並べる係』、『スタート地点の整列係』、『ゴールでカードと借り物を確認する係』をそれぞれ一人以上置くことにし、六名が各部を順番に担当することにした。
委員もゲームに参加出来るように、係を抜けられるような体制も作っておいた。
「では、肝心のカードに記載する、調達する物や人についての意見を聞きたい」
「思ったんだけれど、私とグレースで令息用のカードを考えるのはどうかしら? 出会いを演出できるような」
「いいと思うわ。私たちなら令嬢が貸しやすい小物とかがわかるし、ときめきを演出するような指令が出せそうだもの」
グレースがすぐさま賛成してくれるが、まさにその通りだと思う。
カードの書きようによってイメージは変わる。
ただ『青い瞳の女性』と書くより、『吸い込まれそうな青い瞳の女性』のほうが選ばれた者のときめき度が高いはずだ。
……多分。
結局、私とグレースが令息用、アレクシスとロイバーが令嬢用、夫人らが一般男性と一般女性用のカードを作ることに決定した。
そして何度か打ち合わせを行い、私たちは夜会当日を迎えたのである。
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