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悪役令嬢トリオを味方に?
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「だから謝ってるじゃないですかー」
「そんなこと言って、全然反省してないよね!?」
現在はお昼休み。
私は教室でチェルシーを問い詰めているところだ。
騙されて、もう2人も攻略対象者に出会ってしまったではないか!
どうしてくれる!!
「アリス様がターゲットの皆様と出会うのは運命であり、必然ですからね。私が何もしなくたってどうせ出会ってますって」
「いやいや、学園までついてきたくらい、やる気満々だったよね?」
そう言ってやれば、てへっと舌を出している。
懐かしい反応だが、そういえばチェルシーが何歳なのかも訊いていなかった。
「チェルシーって一体歳はいくつ」
問いかけた途中で邪魔が入った。
また例の悪役令嬢、オフィーリアである。
今度は取り巻きの令嬢を2人も連れていた。
「田舎娘さん、少しよろしいかしら?」
全然よくない……。
今からカフェテリアでお昼を食べるつもりだったのに。
でもよくはないけれど、このまま1日に何度も絡まれるのも正直面倒だ。
ここは一気に片をつけようと、私は誘いに乗ることにした。
「オフィーリア様、ごきげんよう。もちろんいいですよ。ここだと人が多いので、外に行きましょうか。そうだわ、ちょっと校舎裏までお付き合い願えます?お2人もご一緒に。さあさあどうぞ」
私は『オフィーリアと愉快な仲間たち』の背中をグイグイと押して、強引に教室から出ようとするが、彼女達は移動したくないようで駄々を捏ね始めた。
「ちょっと、なんで校舎裏なんかに……。人前で虐めないと、今回の嫌がらせの意味がないじゃない!!」
「そうですわ、今は悪役令嬢達がアリスに釘を刺しにくる、大切なシーンなのですから!」
「私達だって影でまで虐めたくはないわよ!!陰湿じゃないっ」
なるほどね、やっぱりこのトリオも与えられた役に忠実なだけか。
「大丈夫だから話をさせてくれませんか?悪いようにはしませんって」
まるでこちらが悪役のような台詞を吐くと、前世のヤンキーからの呼び出しのように、彼女らを校舎裏へと引っ張っていった。
「それで?私達に話って何かしら?」
ここまで来て、人目がなくてもちゃんとふんぞり返り、偉そうな態度を貫く根性は見上げたものだと思う。
その威圧的な様子では、私が因縁をつけられてしまった、か弱い下級生のように周りからは見えるに違いない。
今は誰もいないが。
「あ、わざと悪役令嬢っぽく振る舞わなくて大丈夫なんで。単刀直入に言います。私、『ときラビ』を知らないので、攻略にも興味ないですから。婚約者さんを奪ったりしないので、安心してください」
「「「は?」」」
トリオが間抜けな声を出し、固まってしまった。
しばらく復活しそうにない。
やれやれ、またこのパターンか。
チェルシーが授業中に回してた手紙、馬鹿馬鹿しいと思ってたけど、いっそのこと学園中に回覧してやろうかな。
『未プレイだから放っておいてネ』に文面を変えて。
くだらないことを考えながら待っていたら、最初にオフィーリアが立ち直った。
さすが王太子の婚約者である。
「どういうことですの?あなた、プレイしたこともないのにヒロインですの?」
「仰る通りです。私も好きでヒロインに生まれた訳ではないので……」
「じゃあ攻略はどうするつもりですの?ユリウス様と、ジェイル様の出会いイベントはもう発生していたはず……。あ、私はジェイル様の婚約者ですの」
取り巻き番号1番の赤い髪の令嬢が言った。
取り巻き番号1番が騎士団長の息子、ジェイルの婚約者だということは……。
勝手に名付けた、取り巻き番号2番の令嬢を見たら、ツンとした表情で教えてくれた。
「私は宰相の息子、ルード様の婚約者ですわ」
ですよね。
取り巻きの2人も、攻略対象者の婚約者ってわけね。
でもこの2人、いくら取り巻きだからって、名前くらいちゃんとあるんだよね?
別にいいけどさ。
宰相の息子はルードという名前らしい。
そんなことすら知らない私は、やっぱりヒロイン失格だろう。
「私、攻略する予定も願望も無かったのに、たまたま2人も出会いイベントが起こってしまって困っているんです。これ以上イベントが起こらないように協力してくれませんか?」
きっとこのトリオはーーいや、普通の人なら悪役令嬢なんて嫌に決まっているし、私に協力してくれるはず。
私が何もしなければ、彼女達はきっと婚約者とうまくいくだろうし、私を虐める必要もなくなるもんね。
元々はいい人みたいだし。
しかし、その考えは甘かったらしい。
私はまだこの世界の住人について、十分理解出来ていなかったようだ。
「そんなこと出来ませんわ!!」
「私達がどれほどの思いで、『悪役令嬢とその取り巻き』を全うしようと思っているのかおわかり?」
「確かに断罪は軽めにして欲しいと望んでいますけれど、嫌がらせはきっちりこなして、婚約者を幸せにしてみせますわ!!」
出たよ……出ちゃったよ、またしてもモブのプライド。
もう、みんなして何なの?
自分で婚約者を幸せにしたらいいじゃん。
やっと味方が出来ると期待していた私は、ガックリと肩を落としたのだったーーが、ふと気付いた。
攻略対象者に直接、「私、攻略しないので!」って言えばいいんじゃない?
私は自分の思い付きに、自画自賛するのを止められなかった。
「そんなこと言って、全然反省してないよね!?」
現在はお昼休み。
私は教室でチェルシーを問い詰めているところだ。
騙されて、もう2人も攻略対象者に出会ってしまったではないか!
どうしてくれる!!
「アリス様がターゲットの皆様と出会うのは運命であり、必然ですからね。私が何もしなくたってどうせ出会ってますって」
「いやいや、学園までついてきたくらい、やる気満々だったよね?」
そう言ってやれば、てへっと舌を出している。
懐かしい反応だが、そういえばチェルシーが何歳なのかも訊いていなかった。
「チェルシーって一体歳はいくつ」
問いかけた途中で邪魔が入った。
また例の悪役令嬢、オフィーリアである。
今度は取り巻きの令嬢を2人も連れていた。
「田舎娘さん、少しよろしいかしら?」
全然よくない……。
今からカフェテリアでお昼を食べるつもりだったのに。
でもよくはないけれど、このまま1日に何度も絡まれるのも正直面倒だ。
ここは一気に片をつけようと、私は誘いに乗ることにした。
「オフィーリア様、ごきげんよう。もちろんいいですよ。ここだと人が多いので、外に行きましょうか。そうだわ、ちょっと校舎裏までお付き合い願えます?お2人もご一緒に。さあさあどうぞ」
私は『オフィーリアと愉快な仲間たち』の背中をグイグイと押して、強引に教室から出ようとするが、彼女達は移動したくないようで駄々を捏ね始めた。
「ちょっと、なんで校舎裏なんかに……。人前で虐めないと、今回の嫌がらせの意味がないじゃない!!」
「そうですわ、今は悪役令嬢達がアリスに釘を刺しにくる、大切なシーンなのですから!」
「私達だって影でまで虐めたくはないわよ!!陰湿じゃないっ」
なるほどね、やっぱりこのトリオも与えられた役に忠実なだけか。
「大丈夫だから話をさせてくれませんか?悪いようにはしませんって」
まるでこちらが悪役のような台詞を吐くと、前世のヤンキーからの呼び出しのように、彼女らを校舎裏へと引っ張っていった。
「それで?私達に話って何かしら?」
ここまで来て、人目がなくてもちゃんとふんぞり返り、偉そうな態度を貫く根性は見上げたものだと思う。
その威圧的な様子では、私が因縁をつけられてしまった、か弱い下級生のように周りからは見えるに違いない。
今は誰もいないが。
「あ、わざと悪役令嬢っぽく振る舞わなくて大丈夫なんで。単刀直入に言います。私、『ときラビ』を知らないので、攻略にも興味ないですから。婚約者さんを奪ったりしないので、安心してください」
「「「は?」」」
トリオが間抜けな声を出し、固まってしまった。
しばらく復活しそうにない。
やれやれ、またこのパターンか。
チェルシーが授業中に回してた手紙、馬鹿馬鹿しいと思ってたけど、いっそのこと学園中に回覧してやろうかな。
『未プレイだから放っておいてネ』に文面を変えて。
くだらないことを考えながら待っていたら、最初にオフィーリアが立ち直った。
さすが王太子の婚約者である。
「どういうことですの?あなた、プレイしたこともないのにヒロインですの?」
「仰る通りです。私も好きでヒロインに生まれた訳ではないので……」
「じゃあ攻略はどうするつもりですの?ユリウス様と、ジェイル様の出会いイベントはもう発生していたはず……。あ、私はジェイル様の婚約者ですの」
取り巻き番号1番の赤い髪の令嬢が言った。
取り巻き番号1番が騎士団長の息子、ジェイルの婚約者だということは……。
勝手に名付けた、取り巻き番号2番の令嬢を見たら、ツンとした表情で教えてくれた。
「私は宰相の息子、ルード様の婚約者ですわ」
ですよね。
取り巻きの2人も、攻略対象者の婚約者ってわけね。
でもこの2人、いくら取り巻きだからって、名前くらいちゃんとあるんだよね?
別にいいけどさ。
宰相の息子はルードという名前らしい。
そんなことすら知らない私は、やっぱりヒロイン失格だろう。
「私、攻略する予定も願望も無かったのに、たまたま2人も出会いイベントが起こってしまって困っているんです。これ以上イベントが起こらないように協力してくれませんか?」
きっとこのトリオはーーいや、普通の人なら悪役令嬢なんて嫌に決まっているし、私に協力してくれるはず。
私が何もしなければ、彼女達はきっと婚約者とうまくいくだろうし、私を虐める必要もなくなるもんね。
元々はいい人みたいだし。
しかし、その考えは甘かったらしい。
私はまだこの世界の住人について、十分理解出来ていなかったようだ。
「そんなこと出来ませんわ!!」
「私達がどれほどの思いで、『悪役令嬢とその取り巻き』を全うしようと思っているのかおわかり?」
「確かに断罪は軽めにして欲しいと望んでいますけれど、嫌がらせはきっちりこなして、婚約者を幸せにしてみせますわ!!」
出たよ……出ちゃったよ、またしてもモブのプライド。
もう、みんなして何なの?
自分で婚約者を幸せにしたらいいじゃん。
やっと味方が出来ると期待していた私は、ガックリと肩を落としたのだったーーが、ふと気付いた。
攻略対象者に直接、「私、攻略しないので!」って言えばいいんじゃない?
私は自分の思い付きに、自画自賛するのを止められなかった。
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