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会えない時間と僕色のドレス。(第3王子視点)
しおりを挟むリリーの誕生パーティーから遡ること約一月。
意気消沈している第3王子のラインハルトは、自室のソファーの上で丸まっていた。
あぁ、リリーに会ったのはまだ一昨日のことなのに、もう会いたい。今すぐ会いたい。
くるくる変わる表情や、無邪気にスープを頬張る横顔を思い出しては更に思いが募る。
次に会う約束もないし、お忍びで町をブラブラしても、母上みたいに偶然出くわすこともないだろうし。
少しでもリリーの情報を得ようと、昨日、今日とリリーの父親の伯爵を入り口で待ち伏せし、リリーの様子を訊いてみたラインハルトだったが、2日とも答えは『娘は元気にしています』という簡素なものだった。
あの答え方は絶対、嫌がらせだよな。
リリーから僕を遠ざけようとしているに決まってる。
もう、いっそのこと直接屋敷に会いに行っちゃうか!?
考えて、ラインハルトは丸まったまま横に倒れた。
ダメに決まってるよな。
僕、王子だし、リリーはまだ婚約者じゃないし。
もーーーー、なんで僕は王子なんだ!!
大体、仲のいい幼馴染みの男がいるっていう噂は本当なのか!?
ラインハルトがやきもきしながらソファの上でゴロゴロしていると、ノックの音が聞こえ、王妃が顔を出した。
「あらあら、思った通りにうだうだ腐っているわね。」
「母上、なんの御用ですか。ご覧の通り腐っていますので、僕のことはしばらく放って置いてください。」
すっかりやさぐれているラインハルトは、王妃に冷たく言い返す。
「あらぁ、そんなこと言っていいのかしら?リリーちゃんに関する素敵なお話を教えてあげようと思ったのだけれど。じゃあ、好きなだけそうしていなさい。」
意味ありげな微笑みで告げ、去りかけた王妃をラインハルトはなんとか繋ぎ止めた。
「それで?リリーがどうしましたか?」
きちんとソファーに座り直し、真面目な顔で問いかける息子に、母は「仕方ないわねぇ」と言いながら、さきほど仕入れたばかりのとっておきの情報を教えた。
「リリーの誕生パーティー!?この前はそんなこと全然言っていなかったのに・・・」
「リリーちゃんも知ったばかりだと思うわ。本人以外で話を進めていたみたいよ。」
「でも母上、僕がパーティーに呼ばれることはないですし、しばらくリリーは忙しいってことですよね?」
段々声に覇気がなくなり、萎れていくラインハルト。
この子ってば、要領のいい子だと思っていたけど、恋をするとこんなにダメになるのねぇ。
面白すぎるわ。
王妃は笑いそうになるのを堪えつつ、ラインハルトに提案した。
「だから、直接は会えないけれどドレスを贈ったらどうかしら?」
「ドレス?」
ラインハルトは考えてみた。
リリーにドレス・・・
リリーに僕の選んだドレスを着てもらう・・・
だったら幼馴染みや、他の男達を牽制するように、僕の色で僕のリリーだと主張出来るような・・・
ふふふふふと悪い顔をしながら笑っている息子を、母は困ったように見つめていた。
なんでこの家の男ってみんなこうなのかしらねぇ。
ま、リリーちゃんなら私も大歓迎だから、お手伝いしましょうか。
「私の専属の職人を貸してあげるわ。日にちがあまりないから、今回は少しは妥協しなさいね。」
聞いているのかいないのか、ラインハルトはリリーのドレスをイメージするのに忙しい。
「私達からは逃げられないわよ、リリーちゃん。」
ラインハルトとそっくりな悪い顔で笑いながら、王妃が呟いた。
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