11 / 15
好みの顔
しおりを挟む
カランカランとドアを鳴らし、中に入った私が店内を見渡すと、カウンターに一人の女性が立っていた。
どうやら彼女がこの店の店主のようだ。
とりあえず商品を見せてもらおうと、カウンターに近付くと――
「いら゛っじゃいま゛ぜ」
かけられた女性の声はガラガラで、声にハリが全く感じられない。
驚いて彼女の様子を観察すれば、見るからに瘦せ細っていて顔色もひどいものである。
もしや、店主自身もこの店の商品を使用しているせいで、体調不良に陥っているのだろうか。
「あの、お化粧品を見せていただけますか?」
「げじょうひん゛? ……ぞんなにう゛つぐじいの゛に?」
なんだが様子がおかしい。
小刻みに震え出した彼女は、相当体調が悪いのかもしれない。
変身した私が、認識阻害のせいでどんな風に見えているのかはわからないけれど、普通だったらまず私のこの変身コスチュームに驚くと思うのよね。
我ながら自虐的だけれど、非常識なほど足を出しているんだから。
しかし、店主は客の顔しか見ていないようで、私の服装にはまるで興味を示さないのだ。
目がうつろなことを考えると、顔すらきちんと見えていない可能性もある。
「あの、大丈夫ですか?」
心配になって尋ねた言葉は……彼女に届いてはいなかったようだ。
「……い゛や゛~~~~!!」
突然金切り声をあげた店主が眉を吊り上げ、カウンターを飛び越えて掴みかかってきた。
いつの間にか彼女からは、子供を攫っていた男たちと同じ黒い靄が出ている。
咄嗟に手首を掴み返したその拍子に、彼女の意思が私に流れ込むのを感じた。
『悔しい……どうして元から美しいくせに、更に美しくなろうとするの? 私なんて頑張っても全然綺麗になれないのに。彼だって醜い私なんかより、美しいあの子と結婚したいに決まってる。ああ、悔しい……美しいお客さんが憎い……』
なんだか理解できた気がした。
なるほど、美しさを嫉妬する気持ちを悪の組織につけ込まれ、利用されてしまったわけね。
などと冷静に分析してみたはいいが、操られている彼女の力は思いのほか強く、首を絞められそうになっている。
その時、店にクラレンスが乗り込んできた。
「悲鳴が聞こえたが……お前、何をしている!?」
すぐに団長が店主の女性を私から引き離しにかかったが、細腕に反して彼女の力は異常なほど強い。
「ぐはっ」
腕を弾かれた団長が勢いよくふっ飛んでいき、化粧品が並んだ棚に背中から突っ込んだ結果、彼は化粧水を頭から浴びてしまった。
大変、早く拭かないと団長様の肌が!
この女性を何とかしないといけないのに、扇子を取り出す余裕がないせいでミルキーサンシャインも使えないじゃない。
焦る私にペロペロが耳打ちをしてくる。
「レナ、新しい呪文を使うのじゃ」
新しい呪文……?
またしても私の中に自信が漲る気配がして、口が自然と動き始めた。
「愚かなる者よ、ただちにその目を覚まし、わたくしの姿を瞳に映しなさい! ミルキーヒーリング!」
私の指先から溢れた光が女性の肌を伝っていき、やがて全身を発光させた彼女は静かに膝を突いた。
黒い靄が消え去った店主は、何が起こったのかわからない顔で私をパチパチと瞬きをして見つめている。
もう大丈夫そうだ。
「ごめんあそばせ」と店主をその場に座らせ、私は背中を強く打ちつけたまま棚にもたれかかるクラレンスの元へと駆け寄った。
「団長様、大丈夫ですか? 今すぐ拭いて……いえ、それより洗い流した方が」
「いや、俺のことはいい。男だし、たとえ爛れようと別に構わない。君こそ俺にあまり近付くな。触れると危険だ」
「構うに決まっているでしょう! そりゃあ、騎士は見た目じゃないと思いますけど、こんな素敵なお顔なのに」
「……君は俺の顔が好みなのか?」
「それは好みも好み、ど真ん中です! もちろん顔意外も素敵ですけど」
あれ?
私、何を言っているのかしら?
ボフンと赤くなった私に、ペロペロが呆れたように囁く。
「盛り上がっているところ悪いが、ミルキーヒーリングの効果で化粧品の毒素は浄化されておる。今はただの化粧水じゃ」
え、じゃあ心配する必要はないってこと?
「団長様、その化粧水は体に悪くないみたいです。良かったですね!……って?」
クラレンスはなぜか耳まで真っ赤にして、明後日の方向を見ている。
そこで私は自分の大胆な発言を思い出した。
うわわ、私ってばなんて事を!
あんなことを口走るくらいなら、悪役令嬢っぽいキャラのほうがまだマシだったんじゃ……。
戦いの後で気分が高揚していたのか、おかしなことを言ってしまった私は居た堪れずに逃げようとしたのだが。
「待ってくれ、ミルキーレナ」
切なげに呼び止められ、つい足が止まってしまう。
しばらく見つめ合っていた私たちだが、騎士たちが店になだれこんできたことで時間が動き出した。
「それでは団長様、これにて失礼いたしますわ」
団長にカーテシーをして振り返ると、私に驚いたのか、騎士たちが戸惑ったように立ち尽くしている。
にっこりと微笑んだら、自然と道を開けてくれた。
私は悠々と騎士の間を通り、店を後にしたのだった。
どうやら彼女がこの店の店主のようだ。
とりあえず商品を見せてもらおうと、カウンターに近付くと――
「いら゛っじゃいま゛ぜ」
かけられた女性の声はガラガラで、声にハリが全く感じられない。
驚いて彼女の様子を観察すれば、見るからに瘦せ細っていて顔色もひどいものである。
もしや、店主自身もこの店の商品を使用しているせいで、体調不良に陥っているのだろうか。
「あの、お化粧品を見せていただけますか?」
「げじょうひん゛? ……ぞんなにう゛つぐじいの゛に?」
なんだが様子がおかしい。
小刻みに震え出した彼女は、相当体調が悪いのかもしれない。
変身した私が、認識阻害のせいでどんな風に見えているのかはわからないけれど、普通だったらまず私のこの変身コスチュームに驚くと思うのよね。
我ながら自虐的だけれど、非常識なほど足を出しているんだから。
しかし、店主は客の顔しか見ていないようで、私の服装にはまるで興味を示さないのだ。
目がうつろなことを考えると、顔すらきちんと見えていない可能性もある。
「あの、大丈夫ですか?」
心配になって尋ねた言葉は……彼女に届いてはいなかったようだ。
「……い゛や゛~~~~!!」
突然金切り声をあげた店主が眉を吊り上げ、カウンターを飛び越えて掴みかかってきた。
いつの間にか彼女からは、子供を攫っていた男たちと同じ黒い靄が出ている。
咄嗟に手首を掴み返したその拍子に、彼女の意思が私に流れ込むのを感じた。
『悔しい……どうして元から美しいくせに、更に美しくなろうとするの? 私なんて頑張っても全然綺麗になれないのに。彼だって醜い私なんかより、美しいあの子と結婚したいに決まってる。ああ、悔しい……美しいお客さんが憎い……』
なんだか理解できた気がした。
なるほど、美しさを嫉妬する気持ちを悪の組織につけ込まれ、利用されてしまったわけね。
などと冷静に分析してみたはいいが、操られている彼女の力は思いのほか強く、首を絞められそうになっている。
その時、店にクラレンスが乗り込んできた。
「悲鳴が聞こえたが……お前、何をしている!?」
すぐに団長が店主の女性を私から引き離しにかかったが、細腕に反して彼女の力は異常なほど強い。
「ぐはっ」
腕を弾かれた団長が勢いよくふっ飛んでいき、化粧品が並んだ棚に背中から突っ込んだ結果、彼は化粧水を頭から浴びてしまった。
大変、早く拭かないと団長様の肌が!
この女性を何とかしないといけないのに、扇子を取り出す余裕がないせいでミルキーサンシャインも使えないじゃない。
焦る私にペロペロが耳打ちをしてくる。
「レナ、新しい呪文を使うのじゃ」
新しい呪文……?
またしても私の中に自信が漲る気配がして、口が自然と動き始めた。
「愚かなる者よ、ただちにその目を覚まし、わたくしの姿を瞳に映しなさい! ミルキーヒーリング!」
私の指先から溢れた光が女性の肌を伝っていき、やがて全身を発光させた彼女は静かに膝を突いた。
黒い靄が消え去った店主は、何が起こったのかわからない顔で私をパチパチと瞬きをして見つめている。
もう大丈夫そうだ。
「ごめんあそばせ」と店主をその場に座らせ、私は背中を強く打ちつけたまま棚にもたれかかるクラレンスの元へと駆け寄った。
「団長様、大丈夫ですか? 今すぐ拭いて……いえ、それより洗い流した方が」
「いや、俺のことはいい。男だし、たとえ爛れようと別に構わない。君こそ俺にあまり近付くな。触れると危険だ」
「構うに決まっているでしょう! そりゃあ、騎士は見た目じゃないと思いますけど、こんな素敵なお顔なのに」
「……君は俺の顔が好みなのか?」
「それは好みも好み、ど真ん中です! もちろん顔意外も素敵ですけど」
あれ?
私、何を言っているのかしら?
ボフンと赤くなった私に、ペロペロが呆れたように囁く。
「盛り上がっているところ悪いが、ミルキーヒーリングの効果で化粧品の毒素は浄化されておる。今はただの化粧水じゃ」
え、じゃあ心配する必要はないってこと?
「団長様、その化粧水は体に悪くないみたいです。良かったですね!……って?」
クラレンスはなぜか耳まで真っ赤にして、明後日の方向を見ている。
そこで私は自分の大胆な発言を思い出した。
うわわ、私ってばなんて事を!
あんなことを口走るくらいなら、悪役令嬢っぽいキャラのほうがまだマシだったんじゃ……。
戦いの後で気分が高揚していたのか、おかしなことを言ってしまった私は居た堪れずに逃げようとしたのだが。
「待ってくれ、ミルキーレナ」
切なげに呼び止められ、つい足が止まってしまう。
しばらく見つめ合っていた私たちだが、騎士たちが店になだれこんできたことで時間が動き出した。
「それでは団長様、これにて失礼いたしますわ」
団長にカーテシーをして振り返ると、私に驚いたのか、騎士たちが戸惑ったように立ち尽くしている。
にっこりと微笑んだら、自然と道を開けてくれた。
私は悠々と騎士の間を通り、店を後にしたのだった。
65
あなたにおすすめの小説
メイド令嬢は毎日磨いていた石像(救国の英雄)に求婚されていますが、粗大ゴミの回収は明日です
有沢楓花
恋愛
エセル・エヴァット男爵令嬢は、二つの意味で名が知られている。
ひとつめは、金遣いの荒い実家から追い出された可哀想な令嬢として。ふたつめは、何でも綺麗にしてしまう凄腕メイドとして。
高給を求めるエセルの次の職場は、郊外にある老伯爵の汚屋敷。
モノに溢れる家の終活を手伝って欲しいとの依頼だが――彼の偉大な魔法使いのご先祖様が残した、屋敷のガラクタは一筋縄ではいかないものばかり。
高価な絵画は勝手に話し出し、鎧はくすぐったがって身よじるし……ご先祖様の石像は、エセルに求婚までしてくるのだ。
「毎日磨いてくれてありがとう。結婚してほしい」
「石像と結婚できません。それに伯爵は、あなたを魔法資源局の粗大ゴミに申し込み済みです」
そんな時、エセルを後妻に貰いにきた、という男たちが現れて連れ去ろうとし……。
――かつての救国の英雄は、埃まみれでひとりぼっちなのでした。
この作品は他サイトにも掲載しています。
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
【完結】氷の王太子に嫁いだら、毎晩甘やかされすぎて困っています
22時完結
恋愛
王国一の冷血漢と噂される王太子レオナード殿下。
誰に対しても冷たく、感情を見せることがないことから、「氷の王太子」と恐れられている。
そんな彼との政略結婚が決まったのは、公爵家の地味な令嬢リリア。
(殿下は私に興味なんてないはず……)
結婚前はそう思っていたのに――
「リリア、寒くないか?」
「……え?」
「もっとこっちに寄れ。俺の腕の中なら、温かいだろう?」
冷酷なはずの殿下が、新婚初夜から優しすぎる!?
それどころか、毎晩のように甘やかされ、気づけば離してもらえなくなっていた。
「お前の笑顔は俺だけのものだ。他の男に見せるな」
「こんなに可愛いお前を、冷たく扱うわけがないだろう?」
(ちょ、待ってください! 殿下、本当に氷のように冷たい人なんですよね!?)
結婚してみたら、噂とは真逆で、私にだけ甘すぎる旦那様だったようです――!?
好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が
和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」
エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。
けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。
「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」
「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」
──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜
咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。
もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。
一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…?
※これはかなり人を選ぶ作品です。
感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。
それでも大丈夫って方は、ぜひ。
美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛
らがまふぃん
恋愛
こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。10~15話前後の短編五編+番外編のお話です。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。※R6.5/18お気に入り登録300超に感謝!一話書いてみましたので是非是非!
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。 ※R7.2/22お気に入り登録500を超えておりましたことに感謝を込めて、一話お届けいたします。本当にありがとうございます。 ※R7.10/13お気に入り登録700を超えておりました(泣)多大なる感謝を込めて一話お届けいたします。 *らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.10/30に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。 ※R7.12/8お気に入り登録800超えです!ありがとうございます(泣)一話書いてみましたので、ぜひ!
氷の騎士と陽だまりの薬師令嬢 ~呪われた最強騎士様を、没落貴族の私がこっそり全力で癒します!~
放浪人
恋愛
薬師として細々と暮らす没落貴族の令嬢リリア。ある夜、彼女は森で深手を負い倒れていた騎士団副団長アレクシスを偶然助ける。彼は「氷の騎士」と噂されるほど冷徹で近寄りがたい男だったが、リリアの作る薬とささやかな治癒魔法だけが、彼を蝕む古傷の痛みを和らげることができた。
「……お前の薬だけが、頼りだ」
秘密の治療を続けるうち、リリアはアレクシスの不器用な優しさや孤独に触れ、次第に惹かれていく。しかし、彼の立場を狙う政敵や、リリアの才能を妬む者の妨害が二人を襲う。身分違いの恋、迫りくる危機。リリアは愛する人を守るため、薬師としての知識と勇気を武器に立ち向かうことを決意する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる