6 / 63
流れ星は一人でやってきたのか?
しおりを挟む
「にわかには信じ難い話だが、あんな物見せられちゃな。蓮はドッキリとかするタイプでもないし」
事情を聞いた陽太の反応は意外にもあっさりとしたものだった。
逃亡中の宇宙人だなんて馬鹿げた話を聞けば、もっと大袈裟に驚いたり疑ったりするものだと思っていたが、すんなり受け入れるものだから、逆にこちらが驚かされた。
「事情はわかった……ただ、1つだけ言わせてくれ」
陽太が不機嫌そうに言うものだから「何?」と尋ねた声が自然と強張ってしまった。
「どうして俺に嘘なんてついた。人を頼るなら、ちゃんと信頼しろよ」
もっともな意見に、俺は陽太の目を真っ直ぐに見ることはできなかった。
「悪い、お前が重大な秘密を言いふらすような奴だと思ってるわけじゃない。ただ、話せばお前も巻き込むかもしれないから……」
自分でも支離滅裂なことを言っているのは分かっている。
ステラの素性を明かすか否かに関係なく、ステラに会わせ、協力を頼んだ時点で、陽太を巻き込んでいるのには変わりはない。
そもそも、協力を求めるのであれば、ステラの素性は明かした方が何かと都合が良いのだ。嘘なんていつバレるかわからない。いつ崩れるかわからない関係を続けるよりは、最初から全て明かすべきだ。
結局のところ、俺は陽太を頼りながらも、完全に信用しきることはできなかったのかもしれない。
「まあ、気軽に話せる内容じゃないのは確かだし、お前の気持ちはわかる。ただ、これからはちゃんと信頼してくれよ。俺のできることならなんでも協力するからさ」
陽太は俺の言い訳に対してまだ何か言いたそうだったが、これ以上空気を悪くしないように気を遣ったのか、話を切り上げた。
そういった気遣いのできる点で、陽太は俺より大人だ。
「それじゃあ、今度はステラちゃんに質問していい?」
陽太から突然話しかけられたステラは、ビクリと体を震わせたが、口ぶりだけは偉そうに「なんだ?」と尋ねた。
「ステラちゃんはこの星にいつからいるの?」
単純な疑問だが、俺もまだ聞いていないことだった。
「ワタシがこの星にやって来たのは、だいたい10年前らしい」
ステラの判然としない回答に、俺は「らしい?」と聞き返した。
俺の反応を見て陽太は「お前も知らないのかよ」と呆れ気味に呟いた。
俺が先にステラに会ったのにもかかわらず、何も知らないのが恥ずかしくなった。
「覚えていないのだ。その頃はまだ小さかったから。キリヤは10年前にこの星にやって来た赤ん坊のワタシを拾ったと言った」
10年前……ステラの外見は15歳くらいの歳に見えるから、5歳くらいで地球にやって来たことになるが、それだと赤ん坊という表現には違和感があるし、記憶が全くないというのも違和感がある。
だが、それはあくまで地球人の成長スピードで考えた場合だ。もしかするとステラは地球人よりも成長の早い種族で、10年前にはまだ本当に赤ん坊だったのかもしれない。
「じゃあ、どんな乗り物で地球に来たのかも知らないの? あと他に仲間は?」
陽太の質問にステラは首を横に振った。
「分からない。ワタシは地球に来たときのことや、その前のことについては何も知らないし、キリヤは教えなかった」
ステラは悲しげな表情を浮かべた。
「でも、きっとステラちゃんには仲間がいると思うよ」
陽太の発言にステラは「え?」と呟いた。
「ステラちゃんは、この星に来たとき赤ちゃんだったんだよね? それなら自力で地球に来たわけじゃないだろうし、親や仲間と一緒に来たんじゃないか?」
陽太の説は一理ある。
宇宙人がなぜ地球にやって来たのかは分からないが、赤ん坊を一人で別の星に送るとは考え難い。実はステラには仲間がいて、今もステラを探していたり、あるいはどこかに捕えられているのかもしれない。
ひょっとしたら、仲間がいるという希望が反抗の意思を芽生えさせるのではないかと懸念して、天王寺はステラに事実を隠したのかもしれない。
「そんなら、俺たちはステラちゃんの仲間を探すべきなんじゃないか? ステラちゃんだって本当の家族に会いたいだろ?」
「ワタシの家族……」
陽太は人の心に響く言葉を探すのが上手い。まだ出会って1時間も経っていない少女、それも宇宙人の少女が何を求めているのかを既に理解していて、欲しい言葉を与えている。
「でも、まだ仲間がいると決まったわけじゃないだろ?」
俺を抜きにしてステラと話を進めようとしている陽太を遮った。
陽太の言い分は理解できるが、話が飛躍し過ぎているような気がする。仲間探しより先にやるべきことがあるのではないだろうか。
「結果が出るとは限らないけど、探してみる価値はあるんじゃないか?」
「探すったって、手掛かりが……」
「10年前って情報があるし、ちょいとリスクはあるけど天王寺製薬の周りから調べることだってできる。手掛かりゼロってわけではないだろ?」
「どうせ徒労に終わると決まってる。素人が軽く調べるだけで見つかるなら、宇宙人の存在なんてとっくに公になってるだろ」
「じゃあ他になにができんだよ」
ステラの里親探しを優先する提案を口に出そうとして、喉元で抑えた。
ここでそんな提案をしてしまえば、ステラをさっさと追い出したいと考えていると思われる。ステラが宇宙人だということを隠して信頼を失いかけたばかりで、あまり悪い印象を持たれたくなかったし、どうやらステラも仲間探しに乗り気なように見える。
「わかった。まずは10年前のUFOの目撃情報でも探ってみよう」
「よし、決まりだ! ステラちゃんもそれで良いよね?」
「ああ、良いぞ!」
ステラは満面の笑顔で答えた。
俺も薄い笑みで返したが、どこか胸につっかえるような感覚があった。
事情を聞いた陽太の反応は意外にもあっさりとしたものだった。
逃亡中の宇宙人だなんて馬鹿げた話を聞けば、もっと大袈裟に驚いたり疑ったりするものだと思っていたが、すんなり受け入れるものだから、逆にこちらが驚かされた。
「事情はわかった……ただ、1つだけ言わせてくれ」
陽太が不機嫌そうに言うものだから「何?」と尋ねた声が自然と強張ってしまった。
「どうして俺に嘘なんてついた。人を頼るなら、ちゃんと信頼しろよ」
もっともな意見に、俺は陽太の目を真っ直ぐに見ることはできなかった。
「悪い、お前が重大な秘密を言いふらすような奴だと思ってるわけじゃない。ただ、話せばお前も巻き込むかもしれないから……」
自分でも支離滅裂なことを言っているのは分かっている。
ステラの素性を明かすか否かに関係なく、ステラに会わせ、協力を頼んだ時点で、陽太を巻き込んでいるのには変わりはない。
そもそも、協力を求めるのであれば、ステラの素性は明かした方が何かと都合が良いのだ。嘘なんていつバレるかわからない。いつ崩れるかわからない関係を続けるよりは、最初から全て明かすべきだ。
結局のところ、俺は陽太を頼りながらも、完全に信用しきることはできなかったのかもしれない。
「まあ、気軽に話せる内容じゃないのは確かだし、お前の気持ちはわかる。ただ、これからはちゃんと信頼してくれよ。俺のできることならなんでも協力するからさ」
陽太は俺の言い訳に対してまだ何か言いたそうだったが、これ以上空気を悪くしないように気を遣ったのか、話を切り上げた。
そういった気遣いのできる点で、陽太は俺より大人だ。
「それじゃあ、今度はステラちゃんに質問していい?」
陽太から突然話しかけられたステラは、ビクリと体を震わせたが、口ぶりだけは偉そうに「なんだ?」と尋ねた。
「ステラちゃんはこの星にいつからいるの?」
単純な疑問だが、俺もまだ聞いていないことだった。
「ワタシがこの星にやって来たのは、だいたい10年前らしい」
ステラの判然としない回答に、俺は「らしい?」と聞き返した。
俺の反応を見て陽太は「お前も知らないのかよ」と呆れ気味に呟いた。
俺が先にステラに会ったのにもかかわらず、何も知らないのが恥ずかしくなった。
「覚えていないのだ。その頃はまだ小さかったから。キリヤは10年前にこの星にやって来た赤ん坊のワタシを拾ったと言った」
10年前……ステラの外見は15歳くらいの歳に見えるから、5歳くらいで地球にやって来たことになるが、それだと赤ん坊という表現には違和感があるし、記憶が全くないというのも違和感がある。
だが、それはあくまで地球人の成長スピードで考えた場合だ。もしかするとステラは地球人よりも成長の早い種族で、10年前にはまだ本当に赤ん坊だったのかもしれない。
「じゃあ、どんな乗り物で地球に来たのかも知らないの? あと他に仲間は?」
陽太の質問にステラは首を横に振った。
「分からない。ワタシは地球に来たときのことや、その前のことについては何も知らないし、キリヤは教えなかった」
ステラは悲しげな表情を浮かべた。
「でも、きっとステラちゃんには仲間がいると思うよ」
陽太の発言にステラは「え?」と呟いた。
「ステラちゃんは、この星に来たとき赤ちゃんだったんだよね? それなら自力で地球に来たわけじゃないだろうし、親や仲間と一緒に来たんじゃないか?」
陽太の説は一理ある。
宇宙人がなぜ地球にやって来たのかは分からないが、赤ん坊を一人で別の星に送るとは考え難い。実はステラには仲間がいて、今もステラを探していたり、あるいはどこかに捕えられているのかもしれない。
ひょっとしたら、仲間がいるという希望が反抗の意思を芽生えさせるのではないかと懸念して、天王寺はステラに事実を隠したのかもしれない。
「そんなら、俺たちはステラちゃんの仲間を探すべきなんじゃないか? ステラちゃんだって本当の家族に会いたいだろ?」
「ワタシの家族……」
陽太は人の心に響く言葉を探すのが上手い。まだ出会って1時間も経っていない少女、それも宇宙人の少女が何を求めているのかを既に理解していて、欲しい言葉を与えている。
「でも、まだ仲間がいると決まったわけじゃないだろ?」
俺を抜きにしてステラと話を進めようとしている陽太を遮った。
陽太の言い分は理解できるが、話が飛躍し過ぎているような気がする。仲間探しより先にやるべきことがあるのではないだろうか。
「結果が出るとは限らないけど、探してみる価値はあるんじゃないか?」
「探すったって、手掛かりが……」
「10年前って情報があるし、ちょいとリスクはあるけど天王寺製薬の周りから調べることだってできる。手掛かりゼロってわけではないだろ?」
「どうせ徒労に終わると決まってる。素人が軽く調べるだけで見つかるなら、宇宙人の存在なんてとっくに公になってるだろ」
「じゃあ他になにができんだよ」
ステラの里親探しを優先する提案を口に出そうとして、喉元で抑えた。
ここでそんな提案をしてしまえば、ステラをさっさと追い出したいと考えていると思われる。ステラが宇宙人だということを隠して信頼を失いかけたばかりで、あまり悪い印象を持たれたくなかったし、どうやらステラも仲間探しに乗り気なように見える。
「わかった。まずは10年前のUFOの目撃情報でも探ってみよう」
「よし、決まりだ! ステラちゃんもそれで良いよね?」
「ああ、良いぞ!」
ステラは満面の笑顔で答えた。
俺も薄い笑みで返したが、どこか胸につっかえるような感覚があった。
1
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜
美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊
ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め…
※カクヨム様にも投稿しています
※イラストはAIイラストを使用しています
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる