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女子会参加のはずだったのですが・・・その3
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「分かりました。あなたを契約夫と認めます」
渋々といった感じでそう言ったものの、記憶を失っていた間もチラチラと脳裏を過ったこの人に一緒に暮らすうちに少しずつ絆されていたのだという自覚が今はあった。
そのせいで無意識のうちにあちらの世界には帰らずにこちらのキヌアに留まったのだろうと思う。
でも・・・
「私にだって譲れない一線はあるんです」
「何?」
取り出した女子会参加のチケットを彼の目の前でプラプラと振ってみる。
苦労して手に入れてやっとの思いでここまで来たのだ。
気の合う女友達をゲットせずに帰れるものか。
「私はこれから女子会に行くんです。もちろん男性は参加できませんからあなたと一緒というのは無理ですよ」
ここでお別れですねと、出来るだけ上品にニッコリと微笑んで見せる。
とたん獲物捕獲の上から目線を向けられ立て板に水のごとく返された。
「今年の12月24日は人気スポットを観光して雰囲気満載なレストランでディナーを食べて、ホテル選びは僕に任せてくれるお泊りデートの約束だっただろう」
「ええっと、そんな約束をした覚えは、それに今日は25日で」
「日にちは都合で順延。記憶が戻ったのなら無いとは言わせないよ」
うっ・・・
薄っすらだけど、何だか内容が変化した気はしますが。
覚えがあるような?
しどろもどろで、語尾を濁すと、ニッコリと笑って速攻で返された。
「あるよね」
でもでもでも!
往生際の悪い私はそれでも食い下がる。
「行きたい!どうしても行きたいんです!女子会!」
「へぇ~。約束、破るんだ」
でもでも行きたい、だめだよ行かせない、とお互いの言い分を主張しばらく言い合ったが纏まるはずもなく。 結果的にミセイエルが大きなため息を吐いて妥協案を出した。
女子会に参加して気心の知れた女子友を作りたいと繰り返す私に、では優秀でハイスペックな男女が沢山参加している会合に2人で参加しようというものだ。
「なんだったら、ハナと気が合いそうな女性を紹介するよ。ただし男は無しだから」
キッパリハッキリ爽やか笑顔でそう言われてちょっと考えた。
どんな会の出会いでも素敵な女子友をゲットできるならそれでいい。
ついでに高い特殊能力を自在に使う契約夫にもう一方の目標の特殊能力の使い方を伝授してもらおう。
「分かりました。それで手を打ちますから特殊能力の使い方を教えてくれませんか」
「特殊能力の使い方?どんな?」
どんな?と言われても何があるのかがまずわからないのだが、そうだ。
「さっきの空間移動とか。自分の行きたいところにパパッと行けたら便利そうだし」
そう言うとミセイエルの顔が難しいものに変わる。
「空間移動は慣れないうちは危険が伴うんだ。とんでもない所に着地したり、力を使った瞬間に誰かに干渉されればその人物の意のままに動かされることもある。慣れるまでは能力の高い指導者が必要だ。日を改めてノアをつけるから彼から指導を受けるといい」
そこをなんとか今お願いと拝み倒す。
私の夫でこの世界の最高権力者で最大の特殊能力の使い手さんが一緒なら問題は無いよね、とニッコリと上目遣いで微笑んでみる。
全く、惚れた方が負けだとは思っているけれど、と諦め半分呆れ半分の声色で呟き、必ず僕のいる前で使うんだよと念を押しされた。
もちろんです~
「じゃあ、まずは近場から練習しよう」
10mほど後ろに下がり、頭の中でミセイエルさんの前に立っている映像を作り、行きたいと思えという。
これが中々難しい。
行きたいと思えても、日頃頭の中に明瞭な映像を浮かべた経験がないから映像がうまく作れない。
夢で見るような映像を作るんだとアドバイスされても、慣れない自分には映像を形にするまで相当な時間がかかる。
おまけにそれをクリアにするためにはかなりの集中力が必要で雑音や視界に動くものが目に入るとすぐに意識がそちらに引きずられてしまいせっかく作った映像が弾けてしまう。
「何とか映像を作れてもちょっとした外からの刺激があるとすぐに壊れてしまう。集中力が続かない」
そう零すと、ミセイエルさんがゆっくりと瞬きをした。
『消音障壁バリアをハナの周りに張ってみたんだけどこれでどう?』
頭の中に直接彼の声が響いた途端に頭の中がすっきりした。
今視界にある彼の映像に先ほどの試着室の鏡に写った自分の姿を彫り付けた瞬間に身体が浮いて気がつけば両手を広げた彼の右隣に立っていた。
さすが、最高峰の特殊能力をお持ちのゼウス様だと褒めて小さなガッツポーズをとってみたが。
僕が抱き留めようと腕を開いているのにどうしてわざわざ隣に立つ!出来はマイナス50点だと隣で愚痴られた。
なぜだ?、空間移動は完璧だったはずなのに。
「100点取れるまで練習します。もう少し遠くまで飛びますか?」
「イメージは掴めたみたいだから後は練習あるのみだけど、空間移動は本当に危ないんだ。だから今日は僕の視界内の移動だけに留めておいて」
それなりにあった達成感とやる気が急にしぼんで八の字になった眉にミセイエルの唇か落ちる。
「ハナは高い能力持ちだから慣れればすぐに他人の干渉を跳ね返せるようになるよ。だけどそれまでは自粛して、ね」
さっきからスキンシップ多いよねと文句を垂れる前に、慰めの言葉を貰い心配そうな顔で念を押されれば素直に頷くしかない。
そしてミセイエルに抱きしめられたまま空間移動で着地したその場所の受付にはデッカイ張り紙があった。
【上級者合同コンペティション会場に入室されるにはパスポートの他にレベルチェックが必要です】
合コンって、・・・聞いてないんですけど。
あなたの一人舞台になりませんか?ミセイエルさん。
便宜上の夫(絆されつつある男性と自覚はあるが認めたくない)に連れられてやって来たのは高層ビルの63階で、特別なICカードが無ければエレベーターにも乗れない場所。
エレベーターを降りると先に着いた人たちが順番にドアの前にある認証版に右手を翳していて。
その度に何もない空間にAとかBとかたまにSの字が浮かび上がり、ドアが開けば各自中に入って行く。
たまにCやDと表示され、ドアが開かずに帰って行く人もいて。
何々、どんな仕組み?何かの呪文?開けゴマ?
ミセイエルの番になり、彼が右手を翳すとSの文字に∞がくっ付いている。
あれ、何か変なのくっ付いてるよ?何だ?て思っていると、後ろで雑談をしていた人達が息を飲む気配がする。
ミセイエルは進行方向を向いたまま首だけを後ろに回し自分の口に人指し指を立てた。
つまりは、何も言うな、ということのようだ。
もはやイエスマンの首振り人形と化した後ろの彼らは即口を閉じた。
なに?じっくり見ようにも便宜上の夫に頭をガッツリ抱き込まれて場の様が見られない。
じたばたとしているうちにドアが開いて歩き出し、そのまま連れ込もうとする。
チョッと、私まだ、開けゴマしてないけど!
急いで掲げたをサクラの右手を左手で攫らったミセイエルはその手を口元に運んでニッコリと意味深な笑みを浮かべた。
『パスポートのないハナは僕の付属物扱いでないと入れない。だから認証なんて必要ないよ。可愛い奥さんは常に僕にくっ付いてずっとイチャイチャしてて』
『問題大あり!人前でイチャイチャなんてしたくないし、それにミセイエルさんこそパスポートをどこで手に入れたの?』
『天界で僕が入れない施設や会合なんてまずないよ』
文句と疑問を口にすれば、黒い笑顔と念話を返された。
コートを脱いだ彼を見れば一目でわかるピタリと張り付くような超高級オーダーメードのシャツとズボン。
歩く姿はもはやスパーモデルと化している。
彼の一挙手一投足に会場内から向けられる賞賛と憧れの眼差しに対して、値踏みするように向けられる私への視線が痛い。
デンタル衣装で鶏ガラ寄りの並体型の私が隣に立つのは落差あり過ぎて不釣り合いなのは認めますよ。
そう思って、距離を取ろうとするのだけれど、腰を大きな手にガッツリ腰を掴まれてピッタリくっ付き虫状態。
愛する奥さんにはいつもくっ付いていて欲しいな、と甘い声で側頭部から囁かれるとか、なんかいたたまれないんですけど。
二重扉をくぐった先は生演奏が響く広いフロアーで、中は立食パーティー真っ盛りという状況。
普段はなかなかお目にかかれない煌びやかでオーラの強い若い男女が飲食と会話を楽しんでいる。
ここは何処?あなた方は誰?と叫びたいところだが何とか現実を取り戻し、隣の契約夫に質問してみた。
「さっきのあれって何」
「さっきのあれって?」
「何か、魔法みたいに変な文字が空中に浮かび上がったよね」
「認証版にレベルが表示されただけだよ」
「レベル?」
「手を翳した人物がどこの誰かを認証されてその能力が表示されたってことだ。特殊能力のレベルはF~Sの7段階に分けられていてランやジュべりあたりがA。ヨンサンやヨンジュン、5族当主辺りが大概Sランクだ。ここはBランク以上ないと入れない」
なるほど、それでC表示の人は門前払いを受けて、ここに入れた人は特に高い特殊能力をお持ちの天界人さんたちという訳ね。
「じゃあ、あなたが査定を受けた時にSに付いた尻尾の∞の意味は?」
「そんなのあったかな」
「ありました。後ろの人があれから急に無言になったわよね。何で?」
「・・・」
言いたくないのか目をそらす。
「じゃほかの人に聞きますから。もしもし、ちょっとそこのあなた、∞の意味」
少々語気を強め、遠巻きに見ている彼女さんに声をかけると、グイッと引き戻され、渋々といった感じに白状した。
「ゼウスの能力持ちって意味だ。測定不能の能力持ちはSに無限大を表わす∞が付く。僕以外にヨンハ、ノア、きっとアサファあたりもその査定だろうね。今日は主だった能力者は皇宮で僕の誕生日を祝っているはずなのに目の前にいるS∞は誰だ!って驚いた訳だ」
あ、そう言えば。
「ミセイエルさん。今日はお誕生日だったっけ。お誕生日おめでとうございます」
「今頃?言うまで気がつかないなんて。誕生日もすっかり忘れられて寂しい限りだ」
流し目でそう言われれば、ごめんなさいと謝るしかない。
お詫びの印にと、ちょっと気取ってマチルダ侍女長に習った天界式の祇家の儀礼所作で頭を下げようとして即座に止められた。
「僕たちは夫婦だよ。家臣がするような天界儀礼なんてやめてくれ。まして祇家の所作なんて絶対に見たくない」
あ、私祇家の所属じゃないんだっけ?俯けば顔を下から覗き込まれる。
お詫びの印がほしいなと、囁かれればその甘さと後ろめたさに絡め取られて動けなかった。
捕獲者の色を濃くした瞳が視点が合わないところまで近づいて来て唇が重なると同時に後頭部と腰に回された腕に力が入りホールドがきつくなる。
『もうどこにもいかないで。これ以上行方不明になる事は許さないから。愛している!愛してる!愛している』
頭の中には彼の切ない声が、唇には啄む柔らかな感触がエンドレスで送られてきて。
ちょっと、恋愛初心者一歩目の私には重すぎて、息が切れて目が回りそうなんですけど!!!
渋々といった感じでそう言ったものの、記憶を失っていた間もチラチラと脳裏を過ったこの人に一緒に暮らすうちに少しずつ絆されていたのだという自覚が今はあった。
そのせいで無意識のうちにあちらの世界には帰らずにこちらのキヌアに留まったのだろうと思う。
でも・・・
「私にだって譲れない一線はあるんです」
「何?」
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苦労して手に入れてやっとの思いでここまで来たのだ。
気の合う女友達をゲットせずに帰れるものか。
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ここでお別れですねと、出来るだけ上品にニッコリと微笑んで見せる。
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「ええっと、そんな約束をした覚えは、それに今日は25日で」
「日にちは都合で順延。記憶が戻ったのなら無いとは言わせないよ」
うっ・・・
薄っすらだけど、何だか内容が変化した気はしますが。
覚えがあるような?
しどろもどろで、語尾を濁すと、ニッコリと笑って速攻で返された。
「あるよね」
でもでもでも!
往生際の悪い私はそれでも食い下がる。
「行きたい!どうしても行きたいんです!女子会!」
「へぇ~。約束、破るんだ」
でもでも行きたい、だめだよ行かせない、とお互いの言い分を主張しばらく言い合ったが纏まるはずもなく。 結果的にミセイエルが大きなため息を吐いて妥協案を出した。
女子会に参加して気心の知れた女子友を作りたいと繰り返す私に、では優秀でハイスペックな男女が沢山参加している会合に2人で参加しようというものだ。
「なんだったら、ハナと気が合いそうな女性を紹介するよ。ただし男は無しだから」
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どんな会の出会いでも素敵な女子友をゲットできるならそれでいい。
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「分かりました。それで手を打ちますから特殊能力の使い方を教えてくれませんか」
「特殊能力の使い方?どんな?」
どんな?と言われても何があるのかがまずわからないのだが、そうだ。
「さっきの空間移動とか。自分の行きたいところにパパッと行けたら便利そうだし」
そう言うとミセイエルの顔が難しいものに変わる。
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そこをなんとか今お願いと拝み倒す。
私の夫でこの世界の最高権力者で最大の特殊能力の使い手さんが一緒なら問題は無いよね、とニッコリと上目遣いで微笑んでみる。
全く、惚れた方が負けだとは思っているけれど、と諦め半分呆れ半分の声色で呟き、必ず僕のいる前で使うんだよと念を押しされた。
もちろんです~
「じゃあ、まずは近場から練習しよう」
10mほど後ろに下がり、頭の中でミセイエルさんの前に立っている映像を作り、行きたいと思えという。
これが中々難しい。
行きたいと思えても、日頃頭の中に明瞭な映像を浮かべた経験がないから映像がうまく作れない。
夢で見るような映像を作るんだとアドバイスされても、慣れない自分には映像を形にするまで相当な時間がかかる。
おまけにそれをクリアにするためにはかなりの集中力が必要で雑音や視界に動くものが目に入るとすぐに意識がそちらに引きずられてしまいせっかく作った映像が弾けてしまう。
「何とか映像を作れてもちょっとした外からの刺激があるとすぐに壊れてしまう。集中力が続かない」
そう零すと、ミセイエルさんがゆっくりと瞬きをした。
『消音障壁バリアをハナの周りに張ってみたんだけどこれでどう?』
頭の中に直接彼の声が響いた途端に頭の中がすっきりした。
今視界にある彼の映像に先ほどの試着室の鏡に写った自分の姿を彫り付けた瞬間に身体が浮いて気がつけば両手を広げた彼の右隣に立っていた。
さすが、最高峰の特殊能力をお持ちのゼウス様だと褒めて小さなガッツポーズをとってみたが。
僕が抱き留めようと腕を開いているのにどうしてわざわざ隣に立つ!出来はマイナス50点だと隣で愚痴られた。
なぜだ?、空間移動は完璧だったはずなのに。
「100点取れるまで練習します。もう少し遠くまで飛びますか?」
「イメージは掴めたみたいだから後は練習あるのみだけど、空間移動は本当に危ないんだ。だから今日は僕の視界内の移動だけに留めておいて」
それなりにあった達成感とやる気が急にしぼんで八の字になった眉にミセイエルの唇か落ちる。
「ハナは高い能力持ちだから慣れればすぐに他人の干渉を跳ね返せるようになるよ。だけどそれまでは自粛して、ね」
さっきからスキンシップ多いよねと文句を垂れる前に、慰めの言葉を貰い心配そうな顔で念を押されれば素直に頷くしかない。
そしてミセイエルに抱きしめられたまま空間移動で着地したその場所の受付にはデッカイ張り紙があった。
【上級者合同コンペティション会場に入室されるにはパスポートの他にレベルチェックが必要です】
合コンって、・・・聞いてないんですけど。
あなたの一人舞台になりませんか?ミセイエルさん。
便宜上の夫(絆されつつある男性と自覚はあるが認めたくない)に連れられてやって来たのは高層ビルの63階で、特別なICカードが無ければエレベーターにも乗れない場所。
エレベーターを降りると先に着いた人たちが順番にドアの前にある認証版に右手を翳していて。
その度に何もない空間にAとかBとかたまにSの字が浮かび上がり、ドアが開けば各自中に入って行く。
たまにCやDと表示され、ドアが開かずに帰って行く人もいて。
何々、どんな仕組み?何かの呪文?開けゴマ?
ミセイエルの番になり、彼が右手を翳すとSの文字に∞がくっ付いている。
あれ、何か変なのくっ付いてるよ?何だ?て思っていると、後ろで雑談をしていた人達が息を飲む気配がする。
ミセイエルは進行方向を向いたまま首だけを後ろに回し自分の口に人指し指を立てた。
つまりは、何も言うな、ということのようだ。
もはやイエスマンの首振り人形と化した後ろの彼らは即口を閉じた。
なに?じっくり見ようにも便宜上の夫に頭をガッツリ抱き込まれて場の様が見られない。
じたばたとしているうちにドアが開いて歩き出し、そのまま連れ込もうとする。
チョッと、私まだ、開けゴマしてないけど!
急いで掲げたをサクラの右手を左手で攫らったミセイエルはその手を口元に運んでニッコリと意味深な笑みを浮かべた。
『パスポートのないハナは僕の付属物扱いでないと入れない。だから認証なんて必要ないよ。可愛い奥さんは常に僕にくっ付いてずっとイチャイチャしてて』
『問題大あり!人前でイチャイチャなんてしたくないし、それにミセイエルさんこそパスポートをどこで手に入れたの?』
『天界で僕が入れない施設や会合なんてまずないよ』
文句と疑問を口にすれば、黒い笑顔と念話を返された。
コートを脱いだ彼を見れば一目でわかるピタリと張り付くような超高級オーダーメードのシャツとズボン。
歩く姿はもはやスパーモデルと化している。
彼の一挙手一投足に会場内から向けられる賞賛と憧れの眼差しに対して、値踏みするように向けられる私への視線が痛い。
デンタル衣装で鶏ガラ寄りの並体型の私が隣に立つのは落差あり過ぎて不釣り合いなのは認めますよ。
そう思って、距離を取ろうとするのだけれど、腰を大きな手にガッツリ腰を掴まれてピッタリくっ付き虫状態。
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ここは何処?あなた方は誰?と叫びたいところだが何とか現実を取り戻し、隣の契約夫に質問してみた。
「さっきのあれって何」
「さっきのあれって?」
「何か、魔法みたいに変な文字が空中に浮かび上がったよね」
「認証版にレベルが表示されただけだよ」
「レベル?」
「手を翳した人物がどこの誰かを認証されてその能力が表示されたってことだ。特殊能力のレベルはF~Sの7段階に分けられていてランやジュべりあたりがA。ヨンサンやヨンジュン、5族当主辺りが大概Sランクだ。ここはBランク以上ないと入れない」
なるほど、それでC表示の人は門前払いを受けて、ここに入れた人は特に高い特殊能力をお持ちの天界人さんたちという訳ね。
「じゃあ、あなたが査定を受けた時にSに付いた尻尾の∞の意味は?」
「そんなのあったかな」
「ありました。後ろの人があれから急に無言になったわよね。何で?」
「・・・」
言いたくないのか目をそらす。
「じゃほかの人に聞きますから。もしもし、ちょっとそこのあなた、∞の意味」
少々語気を強め、遠巻きに見ている彼女さんに声をかけると、グイッと引き戻され、渋々といった感じに白状した。
「ゼウスの能力持ちって意味だ。測定不能の能力持ちはSに無限大を表わす∞が付く。僕以外にヨンハ、ノア、きっとアサファあたりもその査定だろうね。今日は主だった能力者は皇宮で僕の誕生日を祝っているはずなのに目の前にいるS∞は誰だ!って驚いた訳だ」
あ、そう言えば。
「ミセイエルさん。今日はお誕生日だったっけ。お誕生日おめでとうございます」
「今頃?言うまで気がつかないなんて。誕生日もすっかり忘れられて寂しい限りだ」
流し目でそう言われれば、ごめんなさいと謝るしかない。
お詫びの印にと、ちょっと気取ってマチルダ侍女長に習った天界式の祇家の儀礼所作で頭を下げようとして即座に止められた。
「僕たちは夫婦だよ。家臣がするような天界儀礼なんてやめてくれ。まして祇家の所作なんて絶対に見たくない」
あ、私祇家の所属じゃないんだっけ?俯けば顔を下から覗き込まれる。
お詫びの印がほしいなと、囁かれればその甘さと後ろめたさに絡め取られて動けなかった。
捕獲者の色を濃くした瞳が視点が合わないところまで近づいて来て唇が重なると同時に後頭部と腰に回された腕に力が入りホールドがきつくなる。
『もうどこにもいかないで。これ以上行方不明になる事は許さないから。愛している!愛してる!愛している』
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