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伏兵のささやかな報復 その4
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目の前にプラチナブロントにアイスブルーの瞳を持つ変態さんが堂々と立っていた。
衣装はあの時と同じショッキングピンクのシャツに生成りのパンツという舞台照明にばっちり映えるもの。
さすが俳優さんで自分を見せる技をよくご存じだ。
そんな彼がハナとの出会いを少々の脚本を交えて披露する。
「雨の空港で運命の出会いをしたんだよね。僕たち」
ヨンハの登場でそれまで壇上にいたジュベリさん以外の役者さんたちは壁のごとく一歩後ろに引いている。
だからライトの当たる舞台には向かって右から順に司会者、ばっちりメイクでおしゃれした一般人のサラ、ほぼノーメイクの普通系女子のハナ、楚々としたカサブランカ女優、最後に登場した異次元オーラ全開のイケメン俳優が左端にならんでいる状態だ。
「ハナ、あなたヨンハ様に借金があるって本当だったの~!」
ヨンハの登場による大パニックから立ち直ったサラの開口一番の叫びがこの一言だった。
「信じてなかったの?」
「てっきり、私に合わせた冗談かと思っていた。ゴメン」
「は~マブダチやめたくなってきたわ」
「だって、デリカに着いた途端にヨンハ様に出会ったまでは信じてもいい」
自分でいって勝手にウンウンと納得している。
「しかし、どこの世界に一目見て、妻になってくれなんて言う人間がいる?」
ヨンハを指させば、彼自身も親指を立てて自身を指し、大きく頷いている。
「なんで?女嫌いのヨンハ様だよ?」
「知らないワ、そんなこと」
あ~疲れるこの状況をさらに混ぜ返すもう一人。
「『運命の恋人』なのよね」
余計なことを言ってニッコリ笑う楚々とした裏の謀略者。
舞台の上は下手なコントを披露する芸人4人組のようで。
しかし、観客はこの状況をすぐに受け入れていた。
ちょっと、これって初めから予定されていたことだったの?
そうか!だからジュベリ様が最前列中央の彼女達を指名して舞台に上げたんだ!
遅れてくるヨンハ様の登場と映画を盛り上げるための演出なのよ。
なるほど。サプライズの演出でヨンハ様の運命の恋人が綺麗な女優じゃつまらないものね。
何処にでもいる普通レベルの女だと私たちも同化できてイメージが作りやすくなるじゃん。
そんな場内の空気を読んで楚々とした女優が会場内を誘導した。
「ヨンハ様、彼女を相手に映画のワンシーンを生で披露していただけないかしら」
ぼそぼそとあちらこちらで囁かれる声は、やがて手拍子の伴奏を伴った1フレーズの大合唱となった。
(^^♪だきしめて、きめセリフ、(^^♪だきしめて、きめセリフ
してやったりとどや顔で頷くのジュベリさん。
ニンマリ笑顔のヨンハにすかさず司会者が突っ込んだ。
「ここで、もう一度プロポーズをしてはいかがですか?」
「私もみたいわ。天界の伶人が一般女子に愛を囁いて公開プロポーズするところ」
ちょっとぉ~ 乗りすぎですジュベリさん。
すると彼はあの時の状況を一語一句間違えずに再現した。
「とにかく今僕は妻になってくれる人を探していて、君をスカウトしたんだけど、勿論返事はOKだよね」
もちろん返事はあの時と同じNOですよ、と顰めた顔で返事をしてやる。
「クリーニング代も貰ってないしサングラスの弁償もまだだから、まさか断らないよね」
ウゥ、思わずうめき声が出た。
及び腰のハナにサラがノリノリで肘鉄を一発。
「ハナ、ヨンハ様に会ったら言いたいセリフあったんじゃないの」
「あのう、あの時のお代はおいくら程に?」
遠慮がちに小声でつぶやくとサラがすぐさま否定。
「チガ~ウ!サングラスの修理代とクリーニング代をお支払しまーす。おいくらですかーでしょ」
上演前に悪乗りで叫んだ?フリのセリフを声色真似で叫んでしまう。
会場中が大爆笑。
「そうだね、随分時間がたったから利子が随分膨らんだよね。カラダで払ってもらおうかな」
「どんだけ高利貸しですか?」
「サクラ、僕たち婚約しただろう」
「記憶にないです!そんなこと!」
ホント、頭痛いわ。どいつも、こいつもどんだけ結婚したいんだ?
アイツにしたって、コイツにしたって立ってるだけで女が寄って来るだろうに、なんでその気のない私にコナかけるかなぁ?
あ~陶しい。
ハナにかかると天界のNO1・NO2がまるで蚊かハエの扱いだ。
顔を顰めてぶーたれるハナを無視して観衆から、『キメセリフ』のシュプレヒコールがかかる。
左端に立つイケメン俳優がジュベリさんを避けるように体を乗り出して覗き込み、聞いてくる。
「サクラ、いい?」
「いいわけないでしょ!」
返事と同時に長い腕が体に巻き付いた。
ちょと、何を勝手に・・・
気がつけば場内にあった怒涛のシュプレヒコールが止んで水を打ったように静まり返っている。
原因は。
何もないところから突然人間が現れるCGのような映像を見せられて会場全体が固まるのは当然だろう。
加えて、映画のVTRかと思うようなエロいバリトンの声と甘いムードのワンシーン。
「ハナ、君が何者であっても、愛している」
白のTシャツに、黒のパンツを履いただけのカジュアルな格好だが、オシャレなツーカットに整えられた漆黒の髪とサングラスの内にある黒檀の瞳を持つこの男には一流芸能人が裸足で逃げ出したくなるオーラがある。
存在感が半端ない。
呆然とするハナをサングラスの似合う端正な顔が見下ろしていた。
「うぎゃ~ いったいどこから現れた!」
色気もムードもぶち壊して大絶叫するハナなんて観客はだれも見ていない。
まるで大掛かりな舞台装置を配した恋愛ものの舞台を見ているようだ。
「会場の皆様。神様の召喚に成功したようですわ」
楚々とした涼しい声が固まった空気を溶かそうとするが失敗。
我を忘れた観客を置き去りにして会話が進んでいく。
感情の一かけらもない声のミセイエルが問う。
「それで、お招きの目的は何かな」
凍りそうな声に充てられても百合の花はなお輝いた。
「もちろん、私を当て馬にしたあなたへの、ささやかな報復、ですわ」
笑顔の答えを神様が吐き捨てる。
「は、付き合えないな。帰るよ」
ハナの腰を抱いて歩き出すミセイエルの背中をヨンハが笑顔で呼び止める。
「帰るのは勝手だが、僕のフィアンセを置いて行ってくださいね」
「君のフィアンセじゃない。僕の妻だ」
「じゃあ、もう一度名前を聞いてみましょうか?」
もう、私を巻き込まないで他所でやってください!
ぎゃあぎゃあ喚くハナにヨンハは最終手段度とばかりに上着の内ポケットに手を入れた。
ゆっくりと中を探り取り出した物にハナの目が釘付けになる。
細かな細工が施された桜花型の真珠がいくつも連なったそれは肌身離さずいつも首からかけていた見慣れたもの。
こちらに来た時に無くしてしまった母の形見だった。
それまで、キャンキャン吠える子犬のようだったハナが息を飲んで、ヨンハを見る。
どうして、あなたが・・・
「これは僕のフィアンセのサクラ・タカミネの持ち物だ。彼女がボ・ク・タ・チの離宮に忘れて行った」
そう言われてもハナには婚約した覚えも、離宮とやらに行った覚えもなかった。
「もう一度聞こう。君の名前は何というの?」
「・・・」
「答えられないなら、渡せない。ましてハナ・コートには渡せないよ。これは僕の婚約者のサクラ・タカミネの持ち物だからね」
「さあ、君の名前はなに?」
答えられないハナに代わって、隣に立つ男がよくとおる深いバリトンで再度答えた。
「彼女の名前は、ハナ・コート。僕の妻だ」
半端ない威圧感が会場全体に降って来る。
「帰るよハナ」
彼がハナの腕を引く。
「でも!」
「家宝は持つ人を選ぶ。必ずハナの元に帰って来るから」
そういって、有無を言わさずグイグイと彼女の手を引いた。
どうしていいかわからずに戸惑うハナにヨンハが声を掛ける。
「サクラ、僕はいつでもこのピアスを持ち歩いている。君の力でピアスを取りにおいで。待ってる」
つまり彼は自分に対する隠匿術を無効化すると同時に、ハナを自分の元に引き寄せる手段としてピアスを披露したのだ。
忌々しそうにヨンハを一睨みしたミセイエルがハナを抱いたまま、来た時と同じ瞬間移動で消えて。
「それじゃ、僕も失礼しょうかな」
ニッコリと愛想笑いを浮かべて45度に腰を折った姿勢のままヨンハも姿を消した。
呆気にとられたままの顔が並ぶ会場に声を掛けたのは、この演出の首謀者。
「皆さま、今夜のサプライズは楽しんで頂けましたか。イリュージョンを仕掛けるのは、本当に大変でしたのよ」
そういって満足そうに楚々と笑う顔の何と美しいことか。
当然会場内は割れんばかりの大喝采。
その空気に乗れないのが約2名とその他数名。
取り残された、サラと司会者は呆気に取られて立ちすくみ、その後ろに立つ役者たちはもはや壁と化して、果たして息をしているのか?と思うほど青ざめていた。
***
「サラさん、あなた私の付き人になる気はない?」
「付き人ですか?」
「そう。あなたの好きなヨンハ・ギーツともたまに遭遇できるわよ」
なんとおいしそうな提案でしょう。
「お仕事、します。させてください!」
まんまとスパイを抱え込んだホクホク顔のジュベリの横で本家のマネージャーは疲れ切っていた。
「胃薬と頭痛薬を持って来てちょうだい。それから栄養ドリンクも5本ほど」
(これから、いったいどうなるの? 誰か教えてください byマネージャー、プラス、ワン)
衣装はあの時と同じショッキングピンクのシャツに生成りのパンツという舞台照明にばっちり映えるもの。
さすが俳優さんで自分を見せる技をよくご存じだ。
そんな彼がハナとの出会いを少々の脚本を交えて披露する。
「雨の空港で運命の出会いをしたんだよね。僕たち」
ヨンハの登場でそれまで壇上にいたジュベリさん以外の役者さんたちは壁のごとく一歩後ろに引いている。
だからライトの当たる舞台には向かって右から順に司会者、ばっちりメイクでおしゃれした一般人のサラ、ほぼノーメイクの普通系女子のハナ、楚々としたカサブランカ女優、最後に登場した異次元オーラ全開のイケメン俳優が左端にならんでいる状態だ。
「ハナ、あなたヨンハ様に借金があるって本当だったの~!」
ヨンハの登場による大パニックから立ち直ったサラの開口一番の叫びがこの一言だった。
「信じてなかったの?」
「てっきり、私に合わせた冗談かと思っていた。ゴメン」
「は~マブダチやめたくなってきたわ」
「だって、デリカに着いた途端にヨンハ様に出会ったまでは信じてもいい」
自分でいって勝手にウンウンと納得している。
「しかし、どこの世界に一目見て、妻になってくれなんて言う人間がいる?」
ヨンハを指させば、彼自身も親指を立てて自身を指し、大きく頷いている。
「なんで?女嫌いのヨンハ様だよ?」
「知らないワ、そんなこと」
あ~疲れるこの状況をさらに混ぜ返すもう一人。
「『運命の恋人』なのよね」
余計なことを言ってニッコリ笑う楚々とした裏の謀略者。
舞台の上は下手なコントを披露する芸人4人組のようで。
しかし、観客はこの状況をすぐに受け入れていた。
ちょっと、これって初めから予定されていたことだったの?
そうか!だからジュベリ様が最前列中央の彼女達を指名して舞台に上げたんだ!
遅れてくるヨンハ様の登場と映画を盛り上げるための演出なのよ。
なるほど。サプライズの演出でヨンハ様の運命の恋人が綺麗な女優じゃつまらないものね。
何処にでもいる普通レベルの女だと私たちも同化できてイメージが作りやすくなるじゃん。
そんな場内の空気を読んで楚々とした女優が会場内を誘導した。
「ヨンハ様、彼女を相手に映画のワンシーンを生で披露していただけないかしら」
ぼそぼそとあちらこちらで囁かれる声は、やがて手拍子の伴奏を伴った1フレーズの大合唱となった。
(^^♪だきしめて、きめセリフ、(^^♪だきしめて、きめセリフ
してやったりとどや顔で頷くのジュベリさん。
ニンマリ笑顔のヨンハにすかさず司会者が突っ込んだ。
「ここで、もう一度プロポーズをしてはいかがですか?」
「私もみたいわ。天界の伶人が一般女子に愛を囁いて公開プロポーズするところ」
ちょっとぉ~ 乗りすぎですジュベリさん。
すると彼はあの時の状況を一語一句間違えずに再現した。
「とにかく今僕は妻になってくれる人を探していて、君をスカウトしたんだけど、勿論返事はOKだよね」
もちろん返事はあの時と同じNOですよ、と顰めた顔で返事をしてやる。
「クリーニング代も貰ってないしサングラスの弁償もまだだから、まさか断らないよね」
ウゥ、思わずうめき声が出た。
及び腰のハナにサラがノリノリで肘鉄を一発。
「ハナ、ヨンハ様に会ったら言いたいセリフあったんじゃないの」
「あのう、あの時のお代はおいくら程に?」
遠慮がちに小声でつぶやくとサラがすぐさま否定。
「チガ~ウ!サングラスの修理代とクリーニング代をお支払しまーす。おいくらですかーでしょ」
上演前に悪乗りで叫んだ?フリのセリフを声色真似で叫んでしまう。
会場中が大爆笑。
「そうだね、随分時間がたったから利子が随分膨らんだよね。カラダで払ってもらおうかな」
「どんだけ高利貸しですか?」
「サクラ、僕たち婚約しただろう」
「記憶にないです!そんなこと!」
ホント、頭痛いわ。どいつも、こいつもどんだけ結婚したいんだ?
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あ~陶しい。
ハナにかかると天界のNO1・NO2がまるで蚊かハエの扱いだ。
顔を顰めてぶーたれるハナを無視して観衆から、『キメセリフ』のシュプレヒコールがかかる。
左端に立つイケメン俳優がジュベリさんを避けるように体を乗り出して覗き込み、聞いてくる。
「サクラ、いい?」
「いいわけないでしょ!」
返事と同時に長い腕が体に巻き付いた。
ちょと、何を勝手に・・・
気がつけば場内にあった怒涛のシュプレヒコールが止んで水を打ったように静まり返っている。
原因は。
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加えて、映画のVTRかと思うようなエロいバリトンの声と甘いムードのワンシーン。
「ハナ、君が何者であっても、愛している」
白のTシャツに、黒のパンツを履いただけのカジュアルな格好だが、オシャレなツーカットに整えられた漆黒の髪とサングラスの内にある黒檀の瞳を持つこの男には一流芸能人が裸足で逃げ出したくなるオーラがある。
存在感が半端ない。
呆然とするハナをサングラスの似合う端正な顔が見下ろしていた。
「うぎゃ~ いったいどこから現れた!」
色気もムードもぶち壊して大絶叫するハナなんて観客はだれも見ていない。
まるで大掛かりな舞台装置を配した恋愛ものの舞台を見ているようだ。
「会場の皆様。神様の召喚に成功したようですわ」
楚々とした涼しい声が固まった空気を溶かそうとするが失敗。
我を忘れた観客を置き去りにして会話が進んでいく。
感情の一かけらもない声のミセイエルが問う。
「それで、お招きの目的は何かな」
凍りそうな声に充てられても百合の花はなお輝いた。
「もちろん、私を当て馬にしたあなたへの、ささやかな報復、ですわ」
笑顔の答えを神様が吐き捨てる。
「は、付き合えないな。帰るよ」
ハナの腰を抱いて歩き出すミセイエルの背中をヨンハが笑顔で呼び止める。
「帰るのは勝手だが、僕のフィアンセを置いて行ってくださいね」
「君のフィアンセじゃない。僕の妻だ」
「じゃあ、もう一度名前を聞いてみましょうか?」
もう、私を巻き込まないで他所でやってください!
ぎゃあぎゃあ喚くハナにヨンハは最終手段度とばかりに上着の内ポケットに手を入れた。
ゆっくりと中を探り取り出した物にハナの目が釘付けになる。
細かな細工が施された桜花型の真珠がいくつも連なったそれは肌身離さずいつも首からかけていた見慣れたもの。
こちらに来た時に無くしてしまった母の形見だった。
それまで、キャンキャン吠える子犬のようだったハナが息を飲んで、ヨンハを見る。
どうして、あなたが・・・
「これは僕のフィアンセのサクラ・タカミネの持ち物だ。彼女がボ・ク・タ・チの離宮に忘れて行った」
そう言われてもハナには婚約した覚えも、離宮とやらに行った覚えもなかった。
「もう一度聞こう。君の名前は何というの?」
「・・・」
「答えられないなら、渡せない。ましてハナ・コートには渡せないよ。これは僕の婚約者のサクラ・タカミネの持ち物だからね」
「さあ、君の名前はなに?」
答えられないハナに代わって、隣に立つ男がよくとおる深いバリトンで再度答えた。
「彼女の名前は、ハナ・コート。僕の妻だ」
半端ない威圧感が会場全体に降って来る。
「帰るよハナ」
彼がハナの腕を引く。
「でも!」
「家宝は持つ人を選ぶ。必ずハナの元に帰って来るから」
そういって、有無を言わさずグイグイと彼女の手を引いた。
どうしていいかわからずに戸惑うハナにヨンハが声を掛ける。
「サクラ、僕はいつでもこのピアスを持ち歩いている。君の力でピアスを取りにおいで。待ってる」
つまり彼は自分に対する隠匿術を無効化すると同時に、ハナを自分の元に引き寄せる手段としてピアスを披露したのだ。
忌々しそうにヨンハを一睨みしたミセイエルがハナを抱いたまま、来た時と同じ瞬間移動で消えて。
「それじゃ、僕も失礼しょうかな」
ニッコリと愛想笑いを浮かべて45度に腰を折った姿勢のままヨンハも姿を消した。
呆気にとられたままの顔が並ぶ会場に声を掛けたのは、この演出の首謀者。
「皆さま、今夜のサプライズは楽しんで頂けましたか。イリュージョンを仕掛けるのは、本当に大変でしたのよ」
そういって満足そうに楚々と笑う顔の何と美しいことか。
当然会場内は割れんばかりの大喝采。
その空気に乗れないのが約2名とその他数名。
取り残された、サラと司会者は呆気に取られて立ちすくみ、その後ろに立つ役者たちはもはや壁と化して、果たして息をしているのか?と思うほど青ざめていた。
***
「サラさん、あなた私の付き人になる気はない?」
「付き人ですか?」
「そう。あなたの好きなヨンハ・ギーツともたまに遭遇できるわよ」
なんとおいしそうな提案でしょう。
「お仕事、します。させてください!」
まんまとスパイを抱え込んだホクホク顔のジュベリの横で本家のマネージャーは疲れ切っていた。
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