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伏兵のささやかな報復 その3
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逐一送られてくるハナの様子にミセイエルは、朝から苛立っていた。
楽しそうですと言われれば、僕がいないのに、とブ―たれ、長時間の待ち時間にお疲れのようですと聞けば、僕といればそんな目には合わさないのに、と憤るのだからどうしょうもない。
結局自分が出来ないハナとのデートを他人が楽しんでいることに苛立っているのだ。
今も要領を得ない新企画の説明を受けながら、苛立ちを紛らわせるために人差指でテーブルを細やかに叩く。
プロジェクターで映し出される数字を見れば、どこからこの数字をはじき出した?希望的観測の域を出ないんじゃないか?と思うほど根拠があいまいだ。
もっとしっかり市場をリサーチして情報を集めろよ、と言いたいのを我慢している時に、ハナに付けたSPからの思念が送られてきた。
<移動先は『運命の恋人』のプレミア試写会場のようです。今館内に入っていかれました>
えっ?試写会チケットが手に入っている?
サラとかいうお友達はあの映画の関係者との繋がりは無かったはずだが。
ミセイエルは、ハナから彼女はこちらに来て初めてできたマブダチだと聞いた時点で、それこそ重箱の隅をつつく勢いで身辺調査した。
家族は母と弟、リークホテルに努めている生粋の地上人で、世間に名の知れた著名人や政財界の大物とは無関係の気のいい一般庶民だと報告を受けた。
なのになぜ、プレミアチケットを持っている?
ヤツの仕業か?と思い浮かんだ考えはすぐ否定できる。
ヨンハのスケジュールは常にチェック済みだ。
彼は、別の番組の収録中で舞台挨拶には立たないはずだ。
なら、誰の画策だ?
次に思い浮かんだのは楚々とした美貌を持つ女優の顔。
出来ることならハナとは接触させたくない相手だ。
コウレイではないが、ベッドの中でのあれやこれをハナに語られては目も当てられない。
確か上映のあと、舞台挨拶に立つ予定だったか?
そこまで考えて、ハッとする。
なぜ上映後?
忙しい彼らは通常上映前にパパッと挨拶を済ませて、次の仕事に移るだろう?
色々と考えあぐねて気がつけば、ハナが会場入りして2時間が経ていた。
そろそろ舞台挨拶が始まる頃か?
もとより恋愛映画はお好みでない自分の恋人はどんな顔で座席に座っているのか?
切れのない報告を聞くのにも飽きて、透視の能力を使ってハナを見る。
そこに映ったのは、鳩豆で固まったハナの顔と、意味深に笑む今人気絶頂の女優で過去の恋人もどき。
その鮮やかな深紅のルージュの塗られた口が動く。
<腹が立つから、神様とその恋敵をここに呼ぼうかしら。あなた舞台に上がって来てくれないかな>
瞬時に会議室の空気が震えた。
「君達の絵皿ごとの報告を聞くほど今の私は暇じゃない!もっとしっかりしたデーターを揃えろ!」
その場を一括したミセイエルは一瞬で姿を消した。
***
一方、ヨンハはジュベリから『油揚げに逃げられた』と言われたことに少なからず落ち込んでいた。
サクラが璃波宮からいなくなったのは、自分を拒絶しているからだとは思いたくない。
しかし相変わらずサクラの透視はうまくいかず、彼女が故意か無意識かはわからないが自身に掛けた隠匿術が働いているのは間違いないだろう。
ならばと彼女との現実的接触を試みるのだが、ゼウスのガードが固く突破できない。
サクラに自分を遮断するのをやめさせたいが接触できなければ理由さえつかめない。
今も『運命の恋人』の番宣の収録の控室でうつうつとしている状況だ。
「ねえ、今日のスケジュール何とかならなかったの?」
「申し訳ありません」
ヨンハが舞台挨拶が好きな事を知っているヨンジュンが素直に謝罪する。
「同じ番宣なら舞台挨拶の方がやりたかったな」
ヨンハは収録よりも観客と触れ合える仕事が好きだ。
カメラに向かってコメントを託してもすぐには反応が返ってこない。
それに比べると舞台挨拶は観客の熱気や、作品に対する率直な反応を感じることが出来て楽しい。
しかし今回はジュベリがどうしても自分が舞台挨拶に立ちたいから日程は変更できないと言い張り、予定どおりテレビ局の収録を自分がこなしている。
いつもは上映前に行う舞台挨拶だが、彼女の提案で客席との一体感をコンセプトにしたために上映後に行うという。
本当に面白そうな企画なのに参加できないとは。
「上映の後に観客との質疑応答の時間を持とうと思うの。分刻みのスケジュールをこなすあなたには無理ね」
サラリと言われてしまえば、納得できないながらも、仕方がないとあきらめたのだ。
「百合の花の具合はどうかな?」
舞台挨拶に立てない彼は、ふと気になってジュベリの様子を覗いて見ることにした。
そして脳裏に見えたジュベリの背景に見えるはずのない運命の恋人を見つけた。
百合の花の赤い唇が今思いついたと言わんばかりのセリフを吐く。
<腹が立つから、神様とその恋敵をここに呼ぼうかしら。あなた舞台に上がって来てくれないかな>
妖艶に微笑むジュベリの視線に晒されて固まるサクラはまさにヘビに睨まれたカエルに見えた。
自分達を挑発するそのセリフ。
ゼウスがどう動くかは知らないが。
「悪い」
唸ったヨンハが一言断って空間移動で姿を消した。
ゼウスの力を使われては、後を追う事も出来ない。
ヨンジュンの顔が瞬時に苦虫を噛んだ様になったのは言うまでもない。
***
「映画のヒロインからのご使命です。舞台に上がっていただいて、恋愛トークなどを聞かせて頂きましょう。さあこちらにどうぞ」
マイクを持った司会者がハナを舞台へと促し、フロアースタッフにさあさあと急かされる。
手まで引っ張られて、いったい何が起こっている?
首を傾げながらしつこく引っ張る手の持ち主に目をやれば、立ち上がって舞台に行く気満々の親友の顔があった。
手のひらを左右に振って嫌だと主張するハナにサラまでもが爆弾を落とす。
「ハナ、私が一流芸能人と一緒に舞台に上がれるチャンスなんだからね。一生に一度なんだからね。それを潰したら親友やめるよ」
どうぞお1人でお上がりください、と心の声をあげる。
「私をいつまでもここに立たたせるなんて、いつからそんな薄情な親友になったの!」
いやいや、あなたは呼んでいません、と苦笑いする司会者をサラが睨みつけるのを見てハナは重い腰を上げ2人で舞台に上がった。
司会者がハナ達にマイクを向ける。
「では、お嬢さん達のお名前を聞かせて頂けますか」
「サラ・コーナです」
あなたは?と聞かれて、例の名前を名乗ってこの場が混乱することは避けたかったハナは少し考えて答えた。
「サクラ・タカミネです」
一瞬静まり返った会場は大盛り上がりの大爆笑。
「ここでヨンハ・ギーツさんの婚約者の名前を名乗りますか。さすがジュベリさんが指名しただけのことはありますね」
「ハナったら冗談キツイよ。ここでそこまで盛り上げる?」
冗談?盛り上げる?どういうこと?
「え~なに?いくら芸能界のイケメンに興味がないからって、ヨンハ様の婚約者の名前ぐらい知っているでしょ?」
っと、サラに突っ込まれてもちっともピントこないのも無理は無かった。
俳優ヨンハ・ギーツが突然の婚約を発表をした時、ハナは仮死状態で天界の璃波宮にいたのだから、当然地上の大騒ぎを知らなかった。
舞台の上での3人の表情は3人3様。
クククと苦笑いするジュベリ。
その名前は私が名乗りたかった、とぼやくサラ。
サクラ・タカミネがヨンハの婚約者?何がどうなっている?と首をひたすら傾げるハナ。
本名をお聞かせいただけますか?と再びマイクを向けられたハナに代わってサラが答えた。
「彼女の名前はハナ・コートよ。でもご主人は神様じゃないわ」
「ハナ・コートって・・・」
司会者が二の句を告げられず押し黙り、会場は水を打ったごとく静まり返った。
どうしたらいいの?この状況?
ただならぬ空気を切り裂いたのは、パンパンパンと響く拍手。
音の出所に首を向ければ、舞台の袖から満面の笑みを張り付けてゆっくり舞台中央に歩いて来るヨンハ・ギーツの端正な姿。
彼が手を振るたびに会場内は黄色い声援の嵐だ。
「お招きにあずかり参上しました。神様の恋敵のヨンハ・ギーツです」
ウイットに富んだ冗談に会場がどっと沸く。
それが落ち着くのを待って、ヨンハがハナに向き直った。
「婚約者が突然姿を消したら心配するだろう。サクラ」
ニッコリと笑うヨンハの甘いセリフに会場に再び黄色い声が飛び、サラが目をシロクロさせている。
「婚約者なんて何の冗談?」
憤るハナに、ヨンハが余裕の態度を見せる。
「君に拒否権はないよ。クリーニング代も、サングラスも弁償してもらってないからね」
(何なの?!この状況は!? ああ~ 許されるのなら部外者になりたぁ~い)
楽しそうですと言われれば、僕がいないのに、とブ―たれ、長時間の待ち時間にお疲れのようですと聞けば、僕といればそんな目には合わさないのに、と憤るのだからどうしょうもない。
結局自分が出来ないハナとのデートを他人が楽しんでいることに苛立っているのだ。
今も要領を得ない新企画の説明を受けながら、苛立ちを紛らわせるために人差指でテーブルを細やかに叩く。
プロジェクターで映し出される数字を見れば、どこからこの数字をはじき出した?希望的観測の域を出ないんじゃないか?と思うほど根拠があいまいだ。
もっとしっかり市場をリサーチして情報を集めろよ、と言いたいのを我慢している時に、ハナに付けたSPからの思念が送られてきた。
<移動先は『運命の恋人』のプレミア試写会場のようです。今館内に入っていかれました>
えっ?試写会チケットが手に入っている?
サラとかいうお友達はあの映画の関係者との繋がりは無かったはずだが。
ミセイエルは、ハナから彼女はこちらに来て初めてできたマブダチだと聞いた時点で、それこそ重箱の隅をつつく勢いで身辺調査した。
家族は母と弟、リークホテルに努めている生粋の地上人で、世間に名の知れた著名人や政財界の大物とは無関係の気のいい一般庶民だと報告を受けた。
なのになぜ、プレミアチケットを持っている?
ヤツの仕業か?と思い浮かんだ考えはすぐ否定できる。
ヨンハのスケジュールは常にチェック済みだ。
彼は、別の番組の収録中で舞台挨拶には立たないはずだ。
なら、誰の画策だ?
次に思い浮かんだのは楚々とした美貌を持つ女優の顔。
出来ることならハナとは接触させたくない相手だ。
コウレイではないが、ベッドの中でのあれやこれをハナに語られては目も当てられない。
確か上映のあと、舞台挨拶に立つ予定だったか?
そこまで考えて、ハッとする。
なぜ上映後?
忙しい彼らは通常上映前にパパッと挨拶を済ませて、次の仕事に移るだろう?
色々と考えあぐねて気がつけば、ハナが会場入りして2時間が経ていた。
そろそろ舞台挨拶が始まる頃か?
もとより恋愛映画はお好みでない自分の恋人はどんな顔で座席に座っているのか?
切れのない報告を聞くのにも飽きて、透視の能力を使ってハナを見る。
そこに映ったのは、鳩豆で固まったハナの顔と、意味深に笑む今人気絶頂の女優で過去の恋人もどき。
その鮮やかな深紅のルージュの塗られた口が動く。
<腹が立つから、神様とその恋敵をここに呼ぼうかしら。あなた舞台に上がって来てくれないかな>
瞬時に会議室の空気が震えた。
「君達の絵皿ごとの報告を聞くほど今の私は暇じゃない!もっとしっかりしたデーターを揃えろ!」
その場を一括したミセイエルは一瞬で姿を消した。
***
一方、ヨンハはジュベリから『油揚げに逃げられた』と言われたことに少なからず落ち込んでいた。
サクラが璃波宮からいなくなったのは、自分を拒絶しているからだとは思いたくない。
しかし相変わらずサクラの透視はうまくいかず、彼女が故意か無意識かはわからないが自身に掛けた隠匿術が働いているのは間違いないだろう。
ならばと彼女との現実的接触を試みるのだが、ゼウスのガードが固く突破できない。
サクラに自分を遮断するのをやめさせたいが接触できなければ理由さえつかめない。
今も『運命の恋人』の番宣の収録の控室でうつうつとしている状況だ。
「ねえ、今日のスケジュール何とかならなかったの?」
「申し訳ありません」
ヨンハが舞台挨拶が好きな事を知っているヨンジュンが素直に謝罪する。
「同じ番宣なら舞台挨拶の方がやりたかったな」
ヨンハは収録よりも観客と触れ合える仕事が好きだ。
カメラに向かってコメントを託してもすぐには反応が返ってこない。
それに比べると舞台挨拶は観客の熱気や、作品に対する率直な反応を感じることが出来て楽しい。
しかし今回はジュベリがどうしても自分が舞台挨拶に立ちたいから日程は変更できないと言い張り、予定どおりテレビ局の収録を自分がこなしている。
いつもは上映前に行う舞台挨拶だが、彼女の提案で客席との一体感をコンセプトにしたために上映後に行うという。
本当に面白そうな企画なのに参加できないとは。
「上映の後に観客との質疑応答の時間を持とうと思うの。分刻みのスケジュールをこなすあなたには無理ね」
サラリと言われてしまえば、納得できないながらも、仕方がないとあきらめたのだ。
「百合の花の具合はどうかな?」
舞台挨拶に立てない彼は、ふと気になってジュベリの様子を覗いて見ることにした。
そして脳裏に見えたジュベリの背景に見えるはずのない運命の恋人を見つけた。
百合の花の赤い唇が今思いついたと言わんばかりのセリフを吐く。
<腹が立つから、神様とその恋敵をここに呼ぼうかしら。あなた舞台に上がって来てくれないかな>
妖艶に微笑むジュベリの視線に晒されて固まるサクラはまさにヘビに睨まれたカエルに見えた。
自分達を挑発するそのセリフ。
ゼウスがどう動くかは知らないが。
「悪い」
唸ったヨンハが一言断って空間移動で姿を消した。
ゼウスの力を使われては、後を追う事も出来ない。
ヨンジュンの顔が瞬時に苦虫を噛んだ様になったのは言うまでもない。
***
「映画のヒロインからのご使命です。舞台に上がっていただいて、恋愛トークなどを聞かせて頂きましょう。さあこちらにどうぞ」
マイクを持った司会者がハナを舞台へと促し、フロアースタッフにさあさあと急かされる。
手まで引っ張られて、いったい何が起こっている?
首を傾げながらしつこく引っ張る手の持ち主に目をやれば、立ち上がって舞台に行く気満々の親友の顔があった。
手のひらを左右に振って嫌だと主張するハナにサラまでもが爆弾を落とす。
「ハナ、私が一流芸能人と一緒に舞台に上がれるチャンスなんだからね。一生に一度なんだからね。それを潰したら親友やめるよ」
どうぞお1人でお上がりください、と心の声をあげる。
「私をいつまでもここに立たたせるなんて、いつからそんな薄情な親友になったの!」
いやいや、あなたは呼んでいません、と苦笑いする司会者をサラが睨みつけるのを見てハナは重い腰を上げ2人で舞台に上がった。
司会者がハナ達にマイクを向ける。
「では、お嬢さん達のお名前を聞かせて頂けますか」
「サラ・コーナです」
あなたは?と聞かれて、例の名前を名乗ってこの場が混乱することは避けたかったハナは少し考えて答えた。
「サクラ・タカミネです」
一瞬静まり返った会場は大盛り上がりの大爆笑。
「ここでヨンハ・ギーツさんの婚約者の名前を名乗りますか。さすがジュベリさんが指名しただけのことはありますね」
「ハナったら冗談キツイよ。ここでそこまで盛り上げる?」
冗談?盛り上げる?どういうこと?
「え~なに?いくら芸能界のイケメンに興味がないからって、ヨンハ様の婚約者の名前ぐらい知っているでしょ?」
っと、サラに突っ込まれてもちっともピントこないのも無理は無かった。
俳優ヨンハ・ギーツが突然の婚約を発表をした時、ハナは仮死状態で天界の璃波宮にいたのだから、当然地上の大騒ぎを知らなかった。
舞台の上での3人の表情は3人3様。
クククと苦笑いするジュベリ。
その名前は私が名乗りたかった、とぼやくサラ。
サクラ・タカミネがヨンハの婚約者?何がどうなっている?と首をひたすら傾げるハナ。
本名をお聞かせいただけますか?と再びマイクを向けられたハナに代わってサラが答えた。
「彼女の名前はハナ・コートよ。でもご主人は神様じゃないわ」
「ハナ・コートって・・・」
司会者が二の句を告げられず押し黙り、会場は水を打ったごとく静まり返った。
どうしたらいいの?この状況?
ただならぬ空気を切り裂いたのは、パンパンパンと響く拍手。
音の出所に首を向ければ、舞台の袖から満面の笑みを張り付けてゆっくり舞台中央に歩いて来るヨンハ・ギーツの端正な姿。
彼が手を振るたびに会場内は黄色い声援の嵐だ。
「お招きにあずかり参上しました。神様の恋敵のヨンハ・ギーツです」
ウイットに富んだ冗談に会場がどっと沸く。
それが落ち着くのを待って、ヨンハがハナに向き直った。
「婚約者が突然姿を消したら心配するだろう。サクラ」
ニッコリと笑うヨンハの甘いセリフに会場に再び黄色い声が飛び、サラが目をシロクロさせている。
「婚約者なんて何の冗談?」
憤るハナに、ヨンハが余裕の態度を見せる。
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