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ヨンハと、サクラと、第三者
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16時の月の出から2時間の観月の会と銘打った交流会を終えたヨンハの苛立ちはピークを迎えている。
交流会に呼んでおいてと指示したにもかかわらず、迎えもやらず高速バスに乗せた上、いつ来るのかも把握していない。
よくよく聞いてみると、果たしてやって来るのが娘なのかさえハッキリしないという状況だと判明して、慌てて嶺家の密偵の情報を集めて来るようにヨンジュンに指示を出した。
もう、本質を見抜く力が弱く自分本位で段取りの悪すぎる領主が、何を言おうと答える気にもならない。
そのヨンジュンが外から戻ってっ来ると、貴賓室の外まで漏れる零下の空気に、お茶の準備をした家令が中に入れずにドアの前で佇んでいた。
外の状況とサクラの情報を入手したヨンジュンがそれを訝しり声を掛ける。
「どうしました?中で何かトラブルでも」
「お茶を準備してまいりましたが、中に入ってもよろしいでしょうか。何やら緊張感が漂っていて私、とてもドアを開ける気がしないのですが」
当然だろうといいたいが、そうですかとだけ答えて大人の対応にとどめておいた。
この程度の空気に二の足を踏んでいたのではヨンハのマネージャーは務まらない。
ドアに向かって、ただいま戻りましたと一声かけ、躊躇することなくドアを開けて上体を45度傾ける綺麗なお辞儀をした。
「で?」
ヨンジュンに焦点を合わせたヨンハはもはや領主のことなど眼中にない。
「今日は朝早くからサクラと名乗り、ヨンハ様に面会を求める女性が引っ切り無しにやって来て、受付係や門番もそうとうイラついていたようです」
屋敷の煩雑さに同情でも買いたいのか領主が急に饒舌になった。
「本日は、ヨンハ様との観月の会が模様されるため、そのような娘が当家に押しかけるのも無理ありません。受付係も必死で捌いていると聞いています。いやぁ、あさすがヨンハ・ギーツ様の人気は凄い、・・・」
いったい誰のせいでこうなった!
「あなたは、黙っていてください」
目の前の若者の機嫌を取ろうとヨイショする領主をヨンジュンが一睨みで黙らせる。
「で、その娘たちの中にキリの娘らしき女はいたのか?」
「門番、受付の者、何人かの領民達に聞いてもこれといって印象に残る娘はおりません」
「では、来なかったということか」
「それは何とも。その娘たちなかにキリの栗ようかんを手土産に持ってきたものがおりまして、話しをした受付係の者が、サクラと名乗ったその娘の髪や目の色が黒でなかったために、身元も確かめずに追い返したようです」
「素直に帰ったのか?」
「はい。嬉しそうにあっさり面会を諦めたようで、それまでの女達とは違っていて違和感が残ったと申しております」
その印象に、ヨンハの中で、空港で出会った時のハナの様子が思い浮かぶ。
自分を見て浮かれない女に出会ったのは初めてだったし、弁償しなくてもよいなら失礼します、と嬉しそうに微笑んだのだ。
「今から、キリの店に会いに行くから車の準備を頼む」
そんなセリフに領主の顔がしかむ。
「今から、と?今夜はこちらでお泊りになるんじゃ・・・宴の準備も万端に整えたのに」
おそるおそる声を出す領主など空気と同じだ。
返事をしないヨンハの代わりにヨンジュンが答える。
「そちらが勝手に主催した観月会は終わりました。キリの娘が挨拶に来ないのならここにいる必要はありません」
席を立ち、歩き始めるとドアにたどり着く前にそれが開き男が入って来る。
「お待ちください」
見ればそのアラサーと思える男の顔は領主にそっくりだった。
値踏みするような視線を向けたヨンジュンが、あなたは?と尋ねると、男が答えた。
「申し遅れました。私はそこの万夜(バンヤ)の息子で朝生(あさお)と申します」
ああ、この男が。
現領主は凡人だが息子はなかなかの切れ者だとの評判で、古い体質のキヌアに朝が来るなどと領民が噂しているとか。
「で、そのあさおさんが、何の用ですか」
「いえ、今から娘に会いにキリに行くのはやめた方がよいと、忠告に参りました」
「忠告?」
「はい、今からキリに行かれましても娘とはお会いになれないかと存じます」
「なぜ?」
問うとあさおという男はニヤリと意地悪く微笑んだきりそれには答えずにこう切り返した。
「今夜は十五夜で月見をするには絶好だそうですよ。我が家の離れでも可愛い方達を招いています。ご一緒にどうですか?」
言ってヨンハの様子をうかがう。
腹に一物ありそうな物言いにヨンジュンが聞き返す。
「それは、我々をその月見に招待するということですか」
切れ者と噂される男はニッコリと笑い、ただし、と断って信じられない一言を付け加えた。
「離れは至極狭いものですから、お二人には庭でかつ傍観者の立場でよろしければの話ですが」
***
そんな、ヨンハとあさおが腹の探り合いをしている頃より時間を少し巻き戻して。
イマリに会って色々話しをているうちに彼女の部屋に一泊することになり、2人でお月見をしようということになった。
「今日はちょうど十五夜お月さんだしね。お団子作ってお月見できたら幸せなんだけどな」
などと、こちらの世界の者には訳の分からないことをいうサクラにイマリが即対応する。
「私、ここの厨房をお借りできないか聞いてきます。そのお団子というものを作るのに必要な材料も教えてください」
え~私なんかが厨房に入れないよというサクラに、イマリがあさお様に頼んでみます、という。
あさお様って?と聞くとこちらのご子息様ですという返事をして駆け出して行った。
そして、10分ほどして帰って来たイマリは小さな厨房を借りることが出来ましたと得意満面な顔で、ついでにアラサーの男を一人連れている。
「キリの娘が月見団子を作りたいといっているというと、微妙な顔で笑まれたあさお様が、いいですよ、といって下さいました」
そう説明するイマリの隣で、男がオレオレと自分を指さしていた。
アサオ様が、そのお月見会に必要な物はお団子だけですか?と聞くので、ススキがあったらなおいいと答えると、それはどんなもの?と聞き返されたので、絵を描いて見せる。
ああ、似たようなものなら当家の裏庭にもありますよ。後で誰かに取りに行かせましょうと、親切な事を言ってくれた。
ということで、サクラは只今厨房で月見団子を作成中だ。
周りをあさお様と領主鄭の料理人が何人か眺めている。
団子を捏ねる段になって、あさお様がやってみたいと言い出したので皆で笑いあって、団子を捏ねる。
あさお様はやっぱりお坊ちゃまのようで、一緒に作り始めると、あれ取ってくれ、これをのけてくれ、多すぎる減らしてくれ、小さすぎる足してくれと、団子ごときを作るのに助手がいるありさまだ。
これが夫なら、段取りよく鮮やかな手つきでパパパとやってのけただろう。
漆黒の髪をきっちりとカットし、黒檀の瞳を細めてどや顔で笑う夫の顔が思い浮かぶ。
サクラは団子を作り終えると手を洗って外しておいた指輪を首のチェーンから外し薬指に嵌めなおした。
あさおの視線がそんなサクラの動きを追う。
「そのチェーンはエンゲージリング専用?」
サクラがはにかみながら肯定する。
「料理をする時は指輪を嵌めた手ではしないと決めている私のために夫が指輪を亡くさないようにといって特注で作ってくれました」
本当は少し違う。
エンゲージリングは肌身離さず身に着けていて欲しいんだ。だから、料理をする時はこのチェーンにリングをかけて身に着けていて。
といわれたのだ。
ニヤける顔のサクラにイマリが?を飛ばす。
「覚えておいでるのですか?ご主人のこと」
サクラはその質問をあいまいに否定する。
「ふとした時に現れる覚えのない綺麗な顔の幻の夫との思い出を空想してるだけだと思う」
「その幻の夫というのは黒髪黒目でオレ様的な人ですか」
どうしてわかったの?と今度はハナが???を飛ばすと、イマリが何とも嬉しそうな顔でフフフと笑った。
どこでお月見をしようか、という話になった時に、うちの離れに絶好な場所があるとあさお様が勧めてくれた。
案内された場所は濡れ縁のある落ち着いた茶室風の離れで、そこに座ると自然の野山を思わせる庭が目の前に広がていた。
月が出れはそれは見事な里山の風景になるだろうと思える場所だった。
そこに案内したあさお様が目を細めてサクラを見ながら解説する。
「ススキなるものを生けようかとも思ったのですが、ここに自生するのを眺める方が風情があるのではと思いましてね」
「ええ、夜、月が出たら素敵だと思います」
「当家は、昔から秋の名月の日に親しい人を呼んで茶会をする習わしがあったようです。サクラさん、イマリさん今日の月見に私を招待していただけませんか」
***
案内された領主鄭の離れの庭の一角でヨンハが瞠目する。
小さな離れの縁側で、月を見て、団子なるものを食べ、たわいもない話をして3人で笑い転げている女性。
彼女は髪や目の色は違うが、璃波宮から突然姿を消し、2か月前にミセイエルの妻となって自分の前にあらわれ、奪還しようと策を弄しようとした矢先に再び姿を消した自分の婚約者と同じ顔をしていてた。
今すぐ彼女の前に飛び出して真偽を確かめたい!
彼は穏やかで優しい時間が流れる空間をただの傍観者の立場で眺めていなげればならないことに臍を噛んだ。
(いったい何時になったら初デート、出来るんでしょうね)
交流会に呼んでおいてと指示したにもかかわらず、迎えもやらず高速バスに乗せた上、いつ来るのかも把握していない。
よくよく聞いてみると、果たしてやって来るのが娘なのかさえハッキリしないという状況だと判明して、慌てて嶺家の密偵の情報を集めて来るようにヨンジュンに指示を出した。
もう、本質を見抜く力が弱く自分本位で段取りの悪すぎる領主が、何を言おうと答える気にもならない。
そのヨンジュンが外から戻ってっ来ると、貴賓室の外まで漏れる零下の空気に、お茶の準備をした家令が中に入れずにドアの前で佇んでいた。
外の状況とサクラの情報を入手したヨンジュンがそれを訝しり声を掛ける。
「どうしました?中で何かトラブルでも」
「お茶を準備してまいりましたが、中に入ってもよろしいでしょうか。何やら緊張感が漂っていて私、とてもドアを開ける気がしないのですが」
当然だろうといいたいが、そうですかとだけ答えて大人の対応にとどめておいた。
この程度の空気に二の足を踏んでいたのではヨンハのマネージャーは務まらない。
ドアに向かって、ただいま戻りましたと一声かけ、躊躇することなくドアを開けて上体を45度傾ける綺麗なお辞儀をした。
「で?」
ヨンジュンに焦点を合わせたヨンハはもはや領主のことなど眼中にない。
「今日は朝早くからサクラと名乗り、ヨンハ様に面会を求める女性が引っ切り無しにやって来て、受付係や門番もそうとうイラついていたようです」
屋敷の煩雑さに同情でも買いたいのか領主が急に饒舌になった。
「本日は、ヨンハ様との観月の会が模様されるため、そのような娘が当家に押しかけるのも無理ありません。受付係も必死で捌いていると聞いています。いやぁ、あさすがヨンハ・ギーツ様の人気は凄い、・・・」
いったい誰のせいでこうなった!
「あなたは、黙っていてください」
目の前の若者の機嫌を取ろうとヨイショする領主をヨンジュンが一睨みで黙らせる。
「で、その娘たちの中にキリの娘らしき女はいたのか?」
「門番、受付の者、何人かの領民達に聞いてもこれといって印象に残る娘はおりません」
「では、来なかったということか」
「それは何とも。その娘たちなかにキリの栗ようかんを手土産に持ってきたものがおりまして、話しをした受付係の者が、サクラと名乗ったその娘の髪や目の色が黒でなかったために、身元も確かめずに追い返したようです」
「素直に帰ったのか?」
「はい。嬉しそうにあっさり面会を諦めたようで、それまでの女達とは違っていて違和感が残ったと申しております」
その印象に、ヨンハの中で、空港で出会った時のハナの様子が思い浮かぶ。
自分を見て浮かれない女に出会ったのは初めてだったし、弁償しなくてもよいなら失礼します、と嬉しそうに微笑んだのだ。
「今から、キリの店に会いに行くから車の準備を頼む」
そんなセリフに領主の顔がしかむ。
「今から、と?今夜はこちらでお泊りになるんじゃ・・・宴の準備も万端に整えたのに」
おそるおそる声を出す領主など空気と同じだ。
返事をしないヨンハの代わりにヨンジュンが答える。
「そちらが勝手に主催した観月会は終わりました。キリの娘が挨拶に来ないのならここにいる必要はありません」
席を立ち、歩き始めるとドアにたどり着く前にそれが開き男が入って来る。
「お待ちください」
見ればそのアラサーと思える男の顔は領主にそっくりだった。
値踏みするような視線を向けたヨンジュンが、あなたは?と尋ねると、男が答えた。
「申し遅れました。私はそこの万夜(バンヤ)の息子で朝生(あさお)と申します」
ああ、この男が。
現領主は凡人だが息子はなかなかの切れ者だとの評判で、古い体質のキヌアに朝が来るなどと領民が噂しているとか。
「で、そのあさおさんが、何の用ですか」
「いえ、今から娘に会いにキリに行くのはやめた方がよいと、忠告に参りました」
「忠告?」
「はい、今からキリに行かれましても娘とはお会いになれないかと存じます」
「なぜ?」
問うとあさおという男はニヤリと意地悪く微笑んだきりそれには答えずにこう切り返した。
「今夜は十五夜で月見をするには絶好だそうですよ。我が家の離れでも可愛い方達を招いています。ご一緒にどうですか?」
言ってヨンハの様子をうかがう。
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「それは、我々をその月見に招待するということですか」
切れ者と噂される男はニッコリと笑い、ただし、と断って信じられない一言を付け加えた。
「離れは至極狭いものですから、お二人には庭でかつ傍観者の立場でよろしければの話ですが」
***
そんな、ヨンハとあさおが腹の探り合いをしている頃より時間を少し巻き戻して。
イマリに会って色々話しをているうちに彼女の部屋に一泊することになり、2人でお月見をしようということになった。
「今日はちょうど十五夜お月さんだしね。お団子作ってお月見できたら幸せなんだけどな」
などと、こちらの世界の者には訳の分からないことをいうサクラにイマリが即対応する。
「私、ここの厨房をお借りできないか聞いてきます。そのお団子というものを作るのに必要な材料も教えてください」
え~私なんかが厨房に入れないよというサクラに、イマリがあさお様に頼んでみます、という。
あさお様って?と聞くとこちらのご子息様ですという返事をして駆け出して行った。
そして、10分ほどして帰って来たイマリは小さな厨房を借りることが出来ましたと得意満面な顔で、ついでにアラサーの男を一人連れている。
「キリの娘が月見団子を作りたいといっているというと、微妙な顔で笑まれたあさお様が、いいですよ、といって下さいました」
そう説明するイマリの隣で、男がオレオレと自分を指さしていた。
アサオ様が、そのお月見会に必要な物はお団子だけですか?と聞くので、ススキがあったらなおいいと答えると、それはどんなもの?と聞き返されたので、絵を描いて見せる。
ああ、似たようなものなら当家の裏庭にもありますよ。後で誰かに取りに行かせましょうと、親切な事を言ってくれた。
ということで、サクラは只今厨房で月見団子を作成中だ。
周りをあさお様と領主鄭の料理人が何人か眺めている。
団子を捏ねる段になって、あさお様がやってみたいと言い出したので皆で笑いあって、団子を捏ねる。
あさお様はやっぱりお坊ちゃまのようで、一緒に作り始めると、あれ取ってくれ、これをのけてくれ、多すぎる減らしてくれ、小さすぎる足してくれと、団子ごときを作るのに助手がいるありさまだ。
これが夫なら、段取りよく鮮やかな手つきでパパパとやってのけただろう。
漆黒の髪をきっちりとカットし、黒檀の瞳を細めてどや顔で笑う夫の顔が思い浮かぶ。
サクラは団子を作り終えると手を洗って外しておいた指輪を首のチェーンから外し薬指に嵌めなおした。
あさおの視線がそんなサクラの動きを追う。
「そのチェーンはエンゲージリング専用?」
サクラがはにかみながら肯定する。
「料理をする時は指輪を嵌めた手ではしないと決めている私のために夫が指輪を亡くさないようにといって特注で作ってくれました」
本当は少し違う。
エンゲージリングは肌身離さず身に着けていて欲しいんだ。だから、料理をする時はこのチェーンにリングをかけて身に着けていて。
といわれたのだ。
ニヤける顔のサクラにイマリが?を飛ばす。
「覚えておいでるのですか?ご主人のこと」
サクラはその質問をあいまいに否定する。
「ふとした時に現れる覚えのない綺麗な顔の幻の夫との思い出を空想してるだけだと思う」
「その幻の夫というのは黒髪黒目でオレ様的な人ですか」
どうしてわかったの?と今度はハナが???を飛ばすと、イマリが何とも嬉しそうな顔でフフフと笑った。
どこでお月見をしようか、という話になった時に、うちの離れに絶好な場所があるとあさお様が勧めてくれた。
案内された場所は濡れ縁のある落ち着いた茶室風の離れで、そこに座ると自然の野山を思わせる庭が目の前に広がていた。
月が出れはそれは見事な里山の風景になるだろうと思える場所だった。
そこに案内したあさお様が目を細めてサクラを見ながら解説する。
「ススキなるものを生けようかとも思ったのですが、ここに自生するのを眺める方が風情があるのではと思いましてね」
「ええ、夜、月が出たら素敵だと思います」
「当家は、昔から秋の名月の日に親しい人を呼んで茶会をする習わしがあったようです。サクラさん、イマリさん今日の月見に私を招待していただけませんか」
***
案内された領主鄭の離れの庭の一角でヨンハが瞠目する。
小さな離れの縁側で、月を見て、団子なるものを食べ、たわいもない話をして3人で笑い転げている女性。
彼女は髪や目の色は違うが、璃波宮から突然姿を消し、2か月前にミセイエルの妻となって自分の前にあらわれ、奪還しようと策を弄しようとした矢先に再び姿を消した自分の婚約者と同じ顔をしていてた。
今すぐ彼女の前に飛び出して真偽を確かめたい!
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