婚約者に(両)片想いをこじらせた理由

COCO

文字の大きさ
3 / 6

すきな人 3話目

しおりを挟む


ーーだけど私は婚約者という立場に甘えて何もできないまま時だけがすぎた。


婚約している状態で、好きです!なんて言ったら振れるわけがない!いや、振るなんて不可能に近い気がする。


透夜君はきっとありがとう。としか言えないだろう。私を好きじゃないんだから。


彼は私といない時色んな学年の女の子に声をかけられたり、物をもらっているのを見る。


それでも、


ーー私と婚約しているから大丈夫


透夜君は私のことを嫌いな訳じゃないからこれからちょっとずつ……と思っている内に、火曜日一緒に登下校するだけの人。みたいになってしまった。



透夜君を狙っている子たちはみんな「愛はない婚約なんだよ~」とか、「私告白してみたらいけるかな」等々……



完全に好きあってない説が学校内に広まっていた。



だから、それからは頑張って廊下であえる日は話しかけてみたりするけど、透夜君は聞いて笑ってくれるだけ。 


いや、逆に笑ってくれるだけよくなったんだと思う……


でも、やっぱり、透夜君の話をたくさん聞きたかった。





定期テストがある時は嬉しかった。話題が作れるからだ。

テストの話をしてみたり、透夜君のわりきった感じの気持ちの中でも、私に優しくしてくれたりして笑顔もたくさんみれた。


仲の良さは前よりはよくなったと勝手に思っている。


逆に、笑顔をみて好きになってしまう子もいるくらい女子には話しかけないし、クールな感じでモテていたから、私は婚約者の特権を使って、たくさん話しかけて、まわりの女の子を必死に牽制していた。


そのおかげか中3くらいになると透夜君に話しかける女の子はへっていたし、


「あのさ、、答えたくなかったらいいんだけど、女の子から最近告白されたりする?」


「いや。されてないよ。それがどうかしたの?」


「ううん。少し気になっただけだよ!ごめんね!変なこときいて!」



「オッケー。いきなり聞かれたからびっくりした」


と笑って言っていたから、きっと減ったんだと思う!



 
だけど逆に、
透夜君はあまり女の子が好きではなさそうだから、私みたいなつまらないのといると愛想笑いは大変だろうなと思うこともある。


ーー私なんかと婚約させられて可哀想だな


いつからだろう。そんなことしか考えなくなったのは。



ちゃんと気持ちが通じていればこんなこと思わなくてすむのに……


ずっとそう考えていた。

 
でも、友達もちゃんといたし、それはそれで楽しいのに毎日、どこか虚しかった。


それにみんな私を気遣って恋愛話は私にはふらない。


私の片想いなんだ。と言った日から。

むしろ、きいて欲しいときもあったけど、中学校時代は友達に気を使われ、透夜君について話すことはほとんどなかった。




……一番の親友の悠里だけはちがったけど。




いつも私に透夜とはうまくいってんのー?と軽く聞いてくれる。私が小学の頃から片想いをしていると知っているのは悠里だけだからだ。


中学でも悠里がいなかったらきっと大変だった。


悠里にはずっと感謝している。


透夜君にはめずらしく仲のいい女子が悠里だった。



透夜君と仲よくしていた女子は悠里くらいで、悠里と仲のよかった私は小学校時代悠里のおかげでたまに透夜君としゃべることができる日もあって、悠里は私の気持ちを知ってフォローしてくれていて本当に嬉しかった。


最初は二人が両想いなのかと思っていたが、悠里いわく、「お互いに絶対あり得ない!」らしい。


小学校の時最初は二人と仲良くなれて嬉しかったけど、今はクラスもちがうのもあって三人で話すことはなくなった。


いつか、私と透夜君が本当の恋人のようになって、悠里と3人楽しく話せたらな、そう思う。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ーー7月24日


高校生になってはじめての夏休みが近づいていた。

明日は、修業式であり、火曜日、透夜君と一緒に帰る日だ。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

25年の後悔の結末

専業プウタ
恋愛
結婚直前の婚約破棄。親の介護に友人と恋人の裏切り。過労で倒れていた私が見た夢は25年前に諦めた好きだった人の記憶。もう一度出会えたら私はきっと迷わない。

私を嫌いな貴方が大好き

六十月菖菊
恋愛
「こんなのが俺の婚約者? ……冗談だろう」  そう言って忌々しげに見下してきた初対面の男に、私は思わず。 「素敵……」 「は?」  うっとりと吐息を漏らして見惚れたのだった。 ◇◆◇  自分を嫌う婚約者を慕う男爵令嬢。婚約者のことが分からなくて空回りする公爵令息。二人の不器用な恋模様を面白おかしく見物する友人が入り混じった、そんな御話。 ◇◆◇  予約投稿です。  なろうさんにて並行投稿中。

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

もう捕まらないから

どくりんご
恋愛
 お願い、許して  もう捕まらないから

【完結】離婚を切り出したら私に不干渉だったはずの夫が激甘に豹変しました

雨宮羽那
恋愛
 結婚して5年。リディアは悩んでいた。  夫のレナードが仕事で忙しく、夫婦らしいことが何一つないことに。  ある日「私、離婚しようと思うの」と義妹に相談すると、とある薬を渡される。  どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。  そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。  すると、あら不思議。  いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。 「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」 (誰ですかあなた) ◇◇◇◇ ※全3話。 ※コメディ重視のお話です。深く考えちゃダメです!少しでも笑っていただけますと幸いです(*_ _))*゜

【完結】小さなマリーは僕の物

miniko
恋愛
マリーは小柄で胸元も寂しい自分の容姿にコンプレックスを抱いていた。 彼女の子供の頃からの婚約者は、容姿端麗、性格も良く、とても大事にしてくれる完璧な人。 しかし、周囲からの圧力もあり、自分は彼に不釣り合いだと感じて、婚約解消を目指す。 ※マリー視点とアラン視点、同じ内容を交互に書く予定です。(最終話はマリー視点のみ)

私を簡単に捨てられるとでも?―君が望んでも、離さない―

喜雨と悲雨
恋愛
私の名前はミラン。街でしがない薬師をしている。 そして恋人は、王宮騎士団長のルイスだった。 二年前、彼は魔物討伐に向けて遠征に出発。 最初は手紙も返ってきていたのに、 いつからか音信不通に。 あんなにうっとうしいほど構ってきた男が―― なぜ突然、私を無視するの? 不安を抱えながらも待ち続けた私の前に、 突然ルイスが帰還した。 ボロボロの身体。 そして隣には――見知らぬ女。 勝ち誇ったように彼の隣に立つその女を見て、 私の中で何かが壊れた。 混乱、絶望、そして……再起。 すがりつく女は、みっともないだけ。 私は、潔く身を引くと決めた――つもりだったのに。 「私を簡単に捨てられるとでも? ――君が望んでも、離さない」 呪いを自ら解き放ち、 彼は再び、執着の目で私を見つめてきた。 すれ違い、誤解、呪い、執着、 そして狂おしいほどの愛―― 二人の恋のゆくえは、誰にもわからない。 過去に書いた作品を修正しました。再投稿です。

今宵、薔薇の園で

天海月
恋愛
早世した母の代わりに妹たちの世話に励み、婚期を逃しかけていた伯爵家の長女・シャーロットは、これが最後のチャンスだと思い、唐突に持ち込まれた気の進まない婚約話を承諾する。 しかし、一か月も経たないうちに、その話は先方からの一方的な申し出によって破談になってしまう。 彼女は藁にもすがる思いで、幼馴染の公爵アルバート・グレアムに相談を持ち掛けるが、新たな婚約者候補として紹介されたのは彼の弟のキースだった。 キースは長年、シャーロットに思いを寄せていたが、遠慮して距離を縮めることが出来ないでいた。 そんな弟を見かねた兄が一計を図ったのだった。 彼女はキースのことを弟のようにしか思っていなかったが、次第に彼の情熱に絆されていく・・・。

処理中です...