転生した剣聖は最初から最強のようです

白檀

文字の大きさ
66 / 126

66話 緊急事態

しおりを挟む
 3年生に進級しても相変わらずの毎日が続いた。

 そんなある日、学校に行くと、朝礼で深刻な表情でレイ・レイが話し出した。

「諸君、緊急事態である。東の隣国アンブロス帝国からエルドバーン伯爵領に数十万の魔物の大群が向かっているとの報告があった」

 生徒達に動揺が広がる。

「我々教員は騎士団に編入されエルドバーン伯爵領に向かう事になる。今後の授業は事態が集結するまで全て中止となる。生徒達も志願兵として参加することができる。また、貴族ならば実家の軍に編入するのも良い。また、今回は相手が魔物ということもあるので冒険者として従軍するのも良いだろう。申請用紙を配るので決まり次第、私に提出して欲しい」

 そう言うとレイ・レイは教室を出て行った。

「どうする?ヴィンセント?」

「レオンは実家に戻った方がいいかもな。私は冒険者で従軍しようと思うんだが」

 すると教室に王の使者が入って来た。

 使者は周りの喧騒をよそに私達の元にやって来た。

「勅命である」

 使者に対して私達は儀礼を行った。

「レオン・エルドバーン、ヴィンセント・ミッドガル、エマ、アメリア、ダリルは直ちに王宮に参上すること」

 そう言うと使者は去っていった。

 そう言えば、私達は王専属冒険者だったな。

「ヴィンセント、勅命ならしょうがない。俺も冒険者として従軍するよ」

「そのようだな。では用紙をレイノルズ先生に渡してエマ達と合流しよう」

 そして用紙をレイ・レイに持っていく。

「そうか、お前達はSランク冒険者なのだったな。それは致し方ない」

 そして学校を出てエマ達の止まっている宿屋に向かう。

 寝ているエマを叩き起こし、アメリアとダリルにも冒険者ギルドに集まってもらった。

 冒険者ギルドは凄い喧騒に満ちていた。高額の報奨金で冒険者の従軍を募っていたのだ。

 しかし喧騒とは別に酒場は静まり返っていた。

「そんな事になっていたのね。じゃあ王宮に向かいましょうか」

 そして王宮へと向かった。

 王宮に着くと、

「おお、やっと来たか。王がお待ちだ」

 モリスと呼ばれていた男がこちらにやって来て控室まで先導した。

 控室に着くとすぐに応接室に呼ばれた。

「おお、よく来てくれた。『風を追う者』よ」

「なぜその名を?」

「王専属冒険者の動向ぐらいは掴んでおるよ。それよりも今回はエルドバーン辺境伯領に魔物の大群が迫っているのは知っていよう。君達の力を借りたい」

「どこかの軍に編入されるのですか?」

「いや、今回は私自らが軍を率いて向かう。私の直属の兵として活躍してもらいたい。一騎当千の君らの働きを期待する。扱いは近衛兵になるが、前線でひと暴れしてもらいたい」

「かしこまりました王よ」

「200年前の悪夢の再来だ。出し惜しみせずに全兵力を動かす。私の直轄軍20万にに四公爵家軍10万で30万、それにエルドバーン辺境伯軍20万を併せて50万、更に各領地の貴族から軍を出させて連合軍が20万程で、全軍で70万、これだけいれば大丈夫なはずだ」

 そして私達は退出した。第1陣の王直轄軍が揃うまでは王宮で待機となった。王宮に部屋が用意された。

 そして1週間が過ぎ王都の周りは軍隊で埋め尽くされていた。

 私達は専用の馬車が用意され、出発することとなった。軍勢は第1陣の王直属軍の20万人、第2陣は四公爵家軍の10万人、貴族連合軍は各地からそれぞれに辺境伯領を目指すらしい。

 大軍勢に囲まれて馬車は進む。私達のすぐ側に王の馬車が進んでいる。王の馬車は装飾され傍目からも王の馬車だとわかるほど豪華なものであった。

 馬車には私とヴィンセント、エマ、アメリアそしてダリルが乗っている。

「どんな魔物かしら?」

「ゴブリンばかりと言うわけにはいかないだろう」

「ゴブリンやコボルトも多いと思うが厄介な魔物も出てくるかもしれない」

 ヴィンセントはそう答えた。

「例えば?」

「ケルベロスとかオーガとかな」

「げ、やばいじゃない」

「実際見てみないと分からないけどな」

 王都からエルドバーン辺境伯領へは通常馬車で2週間程かかる。大軍での行軍なので速度は遅い。恐らくもう少し時間がかかるだろう。情報では魔物の大群が辺境伯領に到着するのには、まだ時間がかかるようではある。

 休憩を挟みながら行軍は進んでいく。

 そして懐かしいエルドバーン辺境伯領が見えて来た。そう言えば戻ってくるのは久しぶりだ。まさかこんな形で戻ってくる事になるとは……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。

櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。 夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。 ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。 あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ? 子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。 「わたくしが代表して修道院へ参ります!」 野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。 この娘、誰!? 王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。 主人公は猫を被っているだけでお転婆です。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...