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大きな都
――武器の調達と街での戦い――
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「な、ぶ、ぶつかってきたのはそっちだろ! 」
俺は立ち止まってたんだぞ!
「ああ? 俺たちのことは知ってるだろ? Bランクの『竜の爪』だ」
知りません。
というか俺の後ろにSSRが4人飛んでるしSランクの僧侶がいるのでザコオブザコとしか思えない。
「お前のランクはいくつだ?」
「Fですが」何か?
ギャハハハ、と男たちが一斉に笑い出す。
「じゃあこのブレスは貰っていくぜ。なにせここを守ってるのは俺たちだからなぁ」
白髪を逆毛に立てた男がアシュリーさんの顎を手で持ち上げて引っ張った。
「アシュリーさん!」
「ぬぬぬ」
一気にユーチャ達と俺が殺気立った。
「お? やるつもりか? お前なんか消し炭も残りゃしねえぜ?」
「駄目ですよ。大丈夫」
俺達をアシュリーさんが止める。男の手からふわりと抜け出した。
「見ての通り、ユイ様は丸腰です。武器を持たない相手に戦いを挑むほど下種(ゲス)な真似はなさいませんよね?」
にっこりと笑うアシュリーさんだったが、瞳は絶対零度を思わせるほど冷たくなっている。さすが水の神様といったところか。
「じゃあ、武器がありゃいいってこったな? 丁度あそこに武器屋がある。この国で一番腕がいいドワーフがやってると評判の店だ。あそこで調達してこい」
そこまでさせるか普通……。
でも武器を買わないと本気でアシュリーさんからブレスが強奪されそうなので四の五の言ってる暇はない。
「わかったよ」と短く答え武器屋へと足を運んだ。
「うわ……」「素敵な武器が沢山ありますね」「たくさんたくさんあるの!」「すごいのねー」「きらきらちてる!」「る…」
武器屋に入った途端、世間知らずの俺と神様と幼児がため息交じりに言う。
武器屋って暗くて武骨なイメージがあったんだけど、室内は明るく、刃が光を浴びて輝いている。
「いらっしゃい」店主らしいドワーフが不愛想ながら挨拶をする。
「おら、さっさと買ってこい」
「は、はい……」
どうしようこまったぞ。弓、ボウガン、剣、トライデント、モーニングスター……なんでもあるけど、使いこなせるかといったら迷いなくNOである。刃物なんか包丁以外触ったことすらないのに。
一番に目を引いたのはカウンターの後ろにある金色の輝きを放つ大剣だ。
あれが一番強いんだろうけど……とても使いこなせる自信がない。持ち上げることさえ無理な気がする。
といって、軽い剣を使ったら打ち合いになった時に相手の勢いを止められず、自分の剣で自分の顔面をザクっとやる未来が見える。
でもボウガンと弓もなぁ……。俺ノーコンだし……。
もっと体を鍛えておくべきだったよ。今更後悔してもおそいけどさ。
「おう、店主、その剣を見せろ」
こちらを見てにやりと笑いながら、白髪はカウンターの後ろにあった剣を指さした。
「いい剣じゃねえか。これをよこせ」
「3百万ルドだ」
うわあ、あの剣そんなに高いのか。他の剣と格が違うんだろうな。
レオンハルトさんが俺をちょいちょいっと手招きして、耳元で言った。
「……お前の変わりに私が戦おう。お前と彼とでは実力差がありすぎる」
「駄目です!」
内緒話のはずなのに思わず大声を出してしまった。
「喧嘩を売られたのは俺です。男として売られた喧嘩を他人に押し付けるわけにはいきません。万一腕を吹っ飛ばされてもケンチャが治してくれるだろうし、任せてください!」
強い弱いは関係ないんだ。これは男としての意地みたいなもんだからな!
「お兄ちゃはなににするの?」
ふよふよとユウチャが頭上に降りてきた。ぽふんと俺の頭の上に顎を乗せる。
「どーしようかなぁ……。あ、これ、いいな」
俺の目を引いたのは、ジャンクの箱に入れてある短い剣だ。長さはおおよそ肘から指先まで。二本を同時に収納できる×印のベルトまでついている。双剣だ。真珠のような宝石が埋め込んである。ガラス玉かもしれないけどな。
「え、あ、あ、あ、そ、それでいいんですか?」
隣でいきなり声がしてびっくりしてしまう。足元にしゃがんでる人が居た。存在感うす! 全然気が付かなかったぞ。
ドワーフではなく、俺と同じぐらいの年頃の普通の人間だ。
「そ、それは、ぼ、ぼ、くが作った剣でして……ほんとにジャンクなんです……! ほ、他の武器にしたほうが」
早口で俺の顔も視ずにまくし立てる。
「へー貴方の作品ですか。丁度いい重さで俺の手になじむし、デザインもシンプルでジャンクとは思えないいい剣ですね。これをお願いします」
「そ、そそ、そんな……でも、あぅ……、その、持って大丈夫ですか?」
持って大丈夫? どういう意味だろ?
「大丈夫ですよ。俺、力全然ないんですけど、これは扱いやすいです」
「何をしているんだ。兄ちゃんがそれでいいっつってんだからさっさと持ってきやがれ」
カウンターの中からドワーフの怒声が飛んでくる。
「は、はぅい! すいません」
「たった3000ルドの剣かよ。それで俺に勝てると思ってんのかぁ?」
思ってねーよ。
俺がやられたらケンチャの移動呪文で遠くへ逃げるつもりだ。もちろんアシュリーさんとレオンハルトさんも一緒にな。
「ケンチャ、俺がやられたら移動呪文を頼むぞ」
「んー?」
ケンチャは不思議そうに首を傾げた。
「お兄ちゃ、負けないよ? お兄ちゃの剣はいっちばん強い剣だもん」
「なの! ちゅごいの。お兄ちゃにぴったりの!」
ユーチャにそういわれてもなぁ。
腰の後ろで×印になったベルトを装着し、金を払って外に出る。
「なんだぁその剣。果物ナイフかよ。今からリンゴでもむくつもりかぁ?」
面白くもない煽り文句を吐きながら、白髪男が金の剣を俺に向けた。
うっわすげーこええ。
戦国時代の人とかよく刀で殺し合えたなぁ。こうやって向かい合うだけで冷や汗がでてきそうだよ。
「さすが高いだけあって手になじみやがる……。いままで使った剣とは段違いの攻撃力を感じるぜ」
男が舌なめずりした。
俺も両手に剣を構える。
「ワシも見学するかのお」
「あうう、し、死んだらごめんなさい」
ドワーフさんと青年も見物に出てきた。死んだらごめんなさいって縁起悪すぎるだろ! もっとポジティブな応援をお願いします店員さん!
相手は余裕綽々である。にやにやした四人とも、俺に負けるなんてみじんとも想像してないようだ。 俺も俺が勝てるなんてみじんも思ってないけどな!!!
「さっさとやっちまって金目の品を全部奪ってやろうぜ」
「あれだけの宝石はなかなかねえからなぁ」
はじめ、の合図も何もなしに、男がいきなり刀を振るってきた。
「うぁああ!!」
咄嗟に横に避ける。
剣が振り下ろされた瞬間、石畳の地面に亀裂が入った。どぅえええ! あの剣強すぎじゃありませんか! こんなの反則だ、ノーカンだノーカン!
「すげえ……! 剣の風圧だけで石まで切るのか」
男はすぐさま剣を振り上げ、俺の頭上を狙ってきた! やばい、左俺と右俺に生き別れ(死に別れ?)になっちまうぞ!
「うわぁああああ!」
俺は叫びながら思わず剣をクロスさせて黄金の剣を受け止めた。
途端に、短剣に埋め込まれていた宝石が光った。青い光が俺の指の隙間から漏れ、俺と、男の顔を青く照らした。
「う、うわあああ!」
次に悲鳴を上げたのは男だった。黄金の剣が瞬く間に凍り付いていく。
「手を放せ!!!」
ドワーフさんが叫ぶ。相手の男は剣を手放し後ろに下がった。氷は鞘まで伸びていた。後一瞬手放すのが遅かったら男の腕まで氷に侵食されただろう。
カラン、と地面に落ちると同時に氷は砕けて煙を上げながら消えていった。
「これは……?」
思わず掌を開いて宝石を確認してしまう。輝きは止み、宝石は真珠色に戻っていた。
「そっちのでかい方の弱点は水と氷魔法のようじゃな。剣がそれを判断して氷の魔法剣へと変化させた」
ドワーフさんが説明した。
剣から逃げた男が血走った眼でドワーフさんを睨む。
「3000000ルドも取っておいて使えない不良品をおしつけやがったのか!!」
「その剣にはそれだけの価値がある。ワシの傑作のひとつじゃからな。お前さんがそっちの兄ちゃんの剣を持ってみろ」
俺の剣を? 剣を差し出すより早く男に奪われてしまった。
「うおおお!?」
剣が俺の手から離れた途端に、男が剣に引っ張られるように前のめりに倒れこむ。
「か、体から力が抜ける……!!」
「この剣が安いのは、ピーキーすぎて使い手を選ぶからじゃ。お前がこの剣を振ることはできんよ。見ての通り持つだけで体力を吸い取られる。普通の人間にとっては呪いのアイテムにしかすぎん。剣自身が持つ者を選んでおるのじゃ」
へー。じゃあ俺は剣に選ばれたってことか。
「す、すいません、僕の作る剣は、い、いつも変な剣ばっかりで……! お師匠様にもごごご迷惑を……!」
店員さんが残像が見える勢いで頭を何度も下げる。
「出来上がるまでどんな剣になるか分からんところが気に入っとるんじゃ。いちいち謝るな」
「は、はははいすいません!」
「……」
ドワーフさんが俺を見る。
「お前さんは魔法剣士だったんじゃな。スキルは勇者か?」
「いえ、『保父』です」
「『保父』? そりゃ笑えるな。ユーモアのセンスもあるのか」
ドワーフさんが笑うが、ユーモアじゃなく事実です。
「守ってくださってありがとうございます、ユイ様。人に守られたのは初めてです」
アシュリーさんが俺の手を握り締める。
「あ、いえ……」
絡まれたのは俺が弱そうに見えたからだろうけどな。
「では、そろそろお暇いたします。貴方達に幸運があらんことを……ああ、その前に」
アシュリーさんが俺と決闘していた男の前に立ち、握手をした。
途端に男の指がミイラのようにしぼんでいった!
「ぎゃああああ!」
男が悲鳴を上げる。
「二度とユイ様にかかわらないよう。おねがいしますね」
酷薄な笑みを向け、アシュリーさんは現れたときと同じように急に消えてしまった。フェアリーパテラに帰ったんだろうな。
「がーー……が――……!!」
ミイラになった手を掲げつつ男が叫ぶ。
すぐに、手は普通の手に戻っていったけど、男の息は荒いままだった。ちなみに涙目になっている。
アシュリーさん、優し気な男性とは言えさすが神様。容赦がない。
ドワーフさんは金の剣を持つ男に向き直った。
「剣を返品したいなら金を返してやるぞ。だが、次にその剣を買うときは値段が倍になるがな」
「ぐ……いや、使ってやる。ありがたく思いやがれ!」
金額以上の価値があることは分かるんだろうな。返品するつもりは微塵たりともないようだ。何たる小物感。俺はこんなのに絡まれてたのか。
ウィンドウを出して確認すると、俺のスキルに『魔法剣士 ランクひよっこ』が追加されていた。物凄く小さな文字で。
なんでひよっこなんだよ! せめて他のスキルみたいに数字で表してくれよ!
そしてなんでメインのスキルは『保父』のままなんだ!? 魔法剣士のほうをメインにしてくれ!
「お兄ちゃ、勝ったのー」「おめでとうございますなの」「おめでとーの!」「の……」
4人が俺の周りを飛び回る。
「あぁ、ありがとうな。ん?」
インベントリに薬草が10個も入っていた。いつの間に拾ったんだろ? 森を歩いてた時にかな?
薬草は『ちょっと回復する。食べても美味しい』と説明が出た。へー、美味しいのか。サラダにしてみようかな。
「なぁ、どうしてレオンハルトさんが攻撃しようとしたとき、すぐに反撃しようとしたのに、竜の爪の時は手助けしてくれなかったんだ?」
とユーチャ達に聞いてみた。
「レオンちゃはつおいの。黙ってたらお兄ちゃが死んじゃったの」
「でもりゅのつめちゃん達はダイジョブだったの。だからほっといたの」
「マーチャたちは平気な時はほっとくのでつ」
「つ」
つなのか……。
一応俺の実力を見て判断してるのか……。こいつら、ほんと子供のくせ子供らしくないなあ……。
「きゃああ……」「モンスターだ、モンスターが出たぞ!」「みんな逃げろ! 衛兵はまだか!! 冒険者はいないのか……!!?」「逃げろー!」
突如としてあたりが騒然としだした。街の人たちが散り散りに逃げまどっている。
遠くで悲鳴が聞こえた。こちらに近づいてくるようだ。
「モンスターだと?」
「あ、あなたたち、Bランクの『竜の爪』様ですよね! 街のはずれにモンスターがでたんです、どうかお助けください……!」
ひらひらした服を着た可愛い女の子が俺に喧嘩吹っ掛けて来ていた男に縋りつく。
「あぁいいだろう。報酬は貰うがな」
何を報酬にする気だ。女の子に目の色変えやがって、エロ魔人め。
「モンスターのね。マーチャが行くの」
「おい! 衛兵とBランクがいるんだからそっちに任せておけ! お前は子供なんだぞ!」
「お兄ちゃ、いっちょに黙示録の雨使うの。お兄ちゃとマーチャで止めるのー」
子供たちが走りだす。レオンハルトさんまでも後についていった。
俺も慌てて後を追う。
どうか低ランクの相手でありますように!
「――――――!!!!」
モンスターは想像していたよりはるかに大きかった。大通り一杯に広がっている。
透明なゲル状の物体で、中には数えることさえおっくうになるぐらいの眼球が蠢いている。
――ゴブリンとかウルフとかじゃないのかよ! なんだこの物体! キモイ、キモ過ぎるぞ!
「ゲルだと……!」
Bランクズが叫ぶ。
「こ、こんなの相手にできるわけねえ……!」
全員へっぴり腰になり、その場に尻もちをついた。
そんな男たちにゲルと呼ばれた化け物は体を持ち上げ覆いかぶさろうとするが――
「『星屑の弾丸』!」
レオンハルトさんが銃を放つ。放たれた弾丸は星型のきらめきの尾を引きながら無数に枝分かれしてゲルを襲った。
一発の弾丸が何十にも分裂していくつもの目玉を貫いた。
「な――」
俺も驚いたけどBランクズも驚いている。
さすがSランク! こんなこともできるのか。
「人が飲まれてる……!!」
ゲルは、ゼリーにも似た体内に街の人を呑み込んでいた。口から泡を吐きながらじたばたもがいて逃げようとする人、口を押えて窒息寸前になってる人、気を失ってだらんと浮いてる人もいる!
「Bランク以下はここから去れ! 邪魔になるだけだ!!」
戦っている人もいた。あ、あれは……!
「フルアーマーさん!!!」
袖を結び、マントのように俺のジャケットを着ているAさん、日本円を張り付けているBさん、財布をメットに刺してるCさん、ネクタイを巻いてるDさん!
皆、剣を構え最前線で目玉相手に戦っていた。
「ご無事だったんですね!」
「あぁ! でもAランクの俺たちでも止めるのがせいぜいだ! お前さんもガキを連れて逃げろ!」
なんとAランクだったのか! えらっそうにしてたくせ腰を抜かしているBランクエロ魔人より強いじゃないか!
ゲルが体を持ち上げた。軟体モンスターが俺たち全員を包み込むように広がっていく!
キーチャが前に飛び出した。
「『完全なる盾』」
ドン!! 天から――というか天の魔法陣から巨大な盾が降ってきた。でかい! 俺たちとフルアーマーさん達を守れるぐらいにでかい!
盾は透明だ。ぶつかって更に広がるゲルの姿が一目でわかる。
「お兄ちゃ、いくの」
「ああ」
マーチャが杖を手にしていた。金属でできた杖で先端には巨大な宝石が浮いている。鋭く磨かれていて槍としても使えそうだ。
俺も短剣を抜く。片方の目の色が青へと変わるのがわかった。
「『黙示録の雨』!!!」
俺とマーチャの声が被る。
剣と杖から青い光が走り――――。
「――!!?」
空から巨大な氷が降ってきた。バスケットボールぐらいある! 確実に目を狙っていて、直撃された眼球が次々に破裂している。ゲルが重たく弾け、しぶきとなっていく。キーチャの盾が無かったら俺たちまで魔物の体液でどろどろになっていただろう。
ゲルの一番奥に潜んでいた目玉は民家ほどに巨大だった。
「えーいなの」
なのに、ユウチャは臆することもなく剣を振り上げ、振り下ろした。動きはそれだけだったのに目玉が何十もの輪切りになって煙を発し、消えた。
ゲルは消え、取り込まれていた人たちが解放される。
「ケンチャ、回復を」
「はいの。『みーんな元気になーれ』」
ケンチャを中心に輝く波紋が広がっていく。街中に広がっているんじゃないかというぐらいに。
優しい光がきらめいて「た、助かった……」「あ、あれ?」「死ぬかと思った……!」と、ゲルに取り込まれていた人たちが起き上がる。気を失っていた人も目を覚ましていた。
「やるじゃねえか! まさかゲルを一撃とは思わなかったぜ!!」
「兄ちゃんやるなぁ! 魔法剣士だったのか!」
フルアーマーさん達が褒めてくれるけど、やったのは俺じゃなくて……、
「やったのはこの……「そなの! お兄ちゃのおかげで助かったの!」」
マーチャに邪魔されてしまった。
「おい、倒したのはお前なのに、俺の手柄になっちゃっていいのか?」
「いいの! お兄ちゃなんだから!」
「おーい、これ、お前さんのもんだぞ。ゲルの魔石。ギルドに持って行きゃ大金になるぜ」
日本円貼り付けアーマーさんが俺の手にダイヤ型の宝石を乗せた。結構大きい。掌からはみ出るぐらいある。
「魔石……?」
「まさか知らねぇのか? 兄ちゃんほんとどっから来たんだ? 電気を発するエネルギーの塊だ。これだけの上物ならこの街全体を一か月間は賄えるぜ。ギルドに持っていきな。高値で買ってもらえるからよ」
へー! この世界にも電気の概念があったのか! エネルギー源は全然違うけど。
宝石を光に透かして見てしまう。オパールのような複雑な輝きをしている。
「教えてくれてありがとうございます! 早速行ってきます!!」
あやす、で子供達を浮かせてレオンハルトさんの腕を引き、速攻でギルドに駆け込んでいったのだった。
「ああ、ゲルを倒したのか。早かったな」
オンボロギルドに飛び込むと、昼間から酒を手にした猫耳のチンピラ――もといギルド職員イリアさんに魔石を渡した。
「この魔石なら――――」
提示された金額は莫大な大金でした――。
俺は立ち止まってたんだぞ!
「ああ? 俺たちのことは知ってるだろ? Bランクの『竜の爪』だ」
知りません。
というか俺の後ろにSSRが4人飛んでるしSランクの僧侶がいるのでザコオブザコとしか思えない。
「お前のランクはいくつだ?」
「Fですが」何か?
ギャハハハ、と男たちが一斉に笑い出す。
「じゃあこのブレスは貰っていくぜ。なにせここを守ってるのは俺たちだからなぁ」
白髪を逆毛に立てた男がアシュリーさんの顎を手で持ち上げて引っ張った。
「アシュリーさん!」
「ぬぬぬ」
一気にユーチャ達と俺が殺気立った。
「お? やるつもりか? お前なんか消し炭も残りゃしねえぜ?」
「駄目ですよ。大丈夫」
俺達をアシュリーさんが止める。男の手からふわりと抜け出した。
「見ての通り、ユイ様は丸腰です。武器を持たない相手に戦いを挑むほど下種(ゲス)な真似はなさいませんよね?」
にっこりと笑うアシュリーさんだったが、瞳は絶対零度を思わせるほど冷たくなっている。さすが水の神様といったところか。
「じゃあ、武器がありゃいいってこったな? 丁度あそこに武器屋がある。この国で一番腕がいいドワーフがやってると評判の店だ。あそこで調達してこい」
そこまでさせるか普通……。
でも武器を買わないと本気でアシュリーさんからブレスが強奪されそうなので四の五の言ってる暇はない。
「わかったよ」と短く答え武器屋へと足を運んだ。
「うわ……」「素敵な武器が沢山ありますね」「たくさんたくさんあるの!」「すごいのねー」「きらきらちてる!」「る…」
武器屋に入った途端、世間知らずの俺と神様と幼児がため息交じりに言う。
武器屋って暗くて武骨なイメージがあったんだけど、室内は明るく、刃が光を浴びて輝いている。
「いらっしゃい」店主らしいドワーフが不愛想ながら挨拶をする。
「おら、さっさと買ってこい」
「は、はい……」
どうしようこまったぞ。弓、ボウガン、剣、トライデント、モーニングスター……なんでもあるけど、使いこなせるかといったら迷いなくNOである。刃物なんか包丁以外触ったことすらないのに。
一番に目を引いたのはカウンターの後ろにある金色の輝きを放つ大剣だ。
あれが一番強いんだろうけど……とても使いこなせる自信がない。持ち上げることさえ無理な気がする。
といって、軽い剣を使ったら打ち合いになった時に相手の勢いを止められず、自分の剣で自分の顔面をザクっとやる未来が見える。
でもボウガンと弓もなぁ……。俺ノーコンだし……。
もっと体を鍛えておくべきだったよ。今更後悔してもおそいけどさ。
「おう、店主、その剣を見せろ」
こちらを見てにやりと笑いながら、白髪はカウンターの後ろにあった剣を指さした。
「いい剣じゃねえか。これをよこせ」
「3百万ルドだ」
うわあ、あの剣そんなに高いのか。他の剣と格が違うんだろうな。
レオンハルトさんが俺をちょいちょいっと手招きして、耳元で言った。
「……お前の変わりに私が戦おう。お前と彼とでは実力差がありすぎる」
「駄目です!」
内緒話のはずなのに思わず大声を出してしまった。
「喧嘩を売られたのは俺です。男として売られた喧嘩を他人に押し付けるわけにはいきません。万一腕を吹っ飛ばされてもケンチャが治してくれるだろうし、任せてください!」
強い弱いは関係ないんだ。これは男としての意地みたいなもんだからな!
「お兄ちゃはなににするの?」
ふよふよとユウチャが頭上に降りてきた。ぽふんと俺の頭の上に顎を乗せる。
「どーしようかなぁ……。あ、これ、いいな」
俺の目を引いたのは、ジャンクの箱に入れてある短い剣だ。長さはおおよそ肘から指先まで。二本を同時に収納できる×印のベルトまでついている。双剣だ。真珠のような宝石が埋め込んである。ガラス玉かもしれないけどな。
「え、あ、あ、あ、そ、それでいいんですか?」
隣でいきなり声がしてびっくりしてしまう。足元にしゃがんでる人が居た。存在感うす! 全然気が付かなかったぞ。
ドワーフではなく、俺と同じぐらいの年頃の普通の人間だ。
「そ、それは、ぼ、ぼ、くが作った剣でして……ほんとにジャンクなんです……! ほ、他の武器にしたほうが」
早口で俺の顔も視ずにまくし立てる。
「へー貴方の作品ですか。丁度いい重さで俺の手になじむし、デザインもシンプルでジャンクとは思えないいい剣ですね。これをお願いします」
「そ、そそ、そんな……でも、あぅ……、その、持って大丈夫ですか?」
持って大丈夫? どういう意味だろ?
「大丈夫ですよ。俺、力全然ないんですけど、これは扱いやすいです」
「何をしているんだ。兄ちゃんがそれでいいっつってんだからさっさと持ってきやがれ」
カウンターの中からドワーフの怒声が飛んでくる。
「は、はぅい! すいません」
「たった3000ルドの剣かよ。それで俺に勝てると思ってんのかぁ?」
思ってねーよ。
俺がやられたらケンチャの移動呪文で遠くへ逃げるつもりだ。もちろんアシュリーさんとレオンハルトさんも一緒にな。
「ケンチャ、俺がやられたら移動呪文を頼むぞ」
「んー?」
ケンチャは不思議そうに首を傾げた。
「お兄ちゃ、負けないよ? お兄ちゃの剣はいっちばん強い剣だもん」
「なの! ちゅごいの。お兄ちゃにぴったりの!」
ユーチャにそういわれてもなぁ。
腰の後ろで×印になったベルトを装着し、金を払って外に出る。
「なんだぁその剣。果物ナイフかよ。今からリンゴでもむくつもりかぁ?」
面白くもない煽り文句を吐きながら、白髪男が金の剣を俺に向けた。
うっわすげーこええ。
戦国時代の人とかよく刀で殺し合えたなぁ。こうやって向かい合うだけで冷や汗がでてきそうだよ。
「さすが高いだけあって手になじみやがる……。いままで使った剣とは段違いの攻撃力を感じるぜ」
男が舌なめずりした。
俺も両手に剣を構える。
「ワシも見学するかのお」
「あうう、し、死んだらごめんなさい」
ドワーフさんと青年も見物に出てきた。死んだらごめんなさいって縁起悪すぎるだろ! もっとポジティブな応援をお願いします店員さん!
相手は余裕綽々である。にやにやした四人とも、俺に負けるなんてみじんとも想像してないようだ。 俺も俺が勝てるなんてみじんも思ってないけどな!!!
「さっさとやっちまって金目の品を全部奪ってやろうぜ」
「あれだけの宝石はなかなかねえからなぁ」
はじめ、の合図も何もなしに、男がいきなり刀を振るってきた。
「うぁああ!!」
咄嗟に横に避ける。
剣が振り下ろされた瞬間、石畳の地面に亀裂が入った。どぅえええ! あの剣強すぎじゃありませんか! こんなの反則だ、ノーカンだノーカン!
「すげえ……! 剣の風圧だけで石まで切るのか」
男はすぐさま剣を振り上げ、俺の頭上を狙ってきた! やばい、左俺と右俺に生き別れ(死に別れ?)になっちまうぞ!
「うわぁああああ!」
俺は叫びながら思わず剣をクロスさせて黄金の剣を受け止めた。
途端に、短剣に埋め込まれていた宝石が光った。青い光が俺の指の隙間から漏れ、俺と、男の顔を青く照らした。
「う、うわあああ!」
次に悲鳴を上げたのは男だった。黄金の剣が瞬く間に凍り付いていく。
「手を放せ!!!」
ドワーフさんが叫ぶ。相手の男は剣を手放し後ろに下がった。氷は鞘まで伸びていた。後一瞬手放すのが遅かったら男の腕まで氷に侵食されただろう。
カラン、と地面に落ちると同時に氷は砕けて煙を上げながら消えていった。
「これは……?」
思わず掌を開いて宝石を確認してしまう。輝きは止み、宝石は真珠色に戻っていた。
「そっちのでかい方の弱点は水と氷魔法のようじゃな。剣がそれを判断して氷の魔法剣へと変化させた」
ドワーフさんが説明した。
剣から逃げた男が血走った眼でドワーフさんを睨む。
「3000000ルドも取っておいて使えない不良品をおしつけやがったのか!!」
「その剣にはそれだけの価値がある。ワシの傑作のひとつじゃからな。お前さんがそっちの兄ちゃんの剣を持ってみろ」
俺の剣を? 剣を差し出すより早く男に奪われてしまった。
「うおおお!?」
剣が俺の手から離れた途端に、男が剣に引っ張られるように前のめりに倒れこむ。
「か、体から力が抜ける……!!」
「この剣が安いのは、ピーキーすぎて使い手を選ぶからじゃ。お前がこの剣を振ることはできんよ。見ての通り持つだけで体力を吸い取られる。普通の人間にとっては呪いのアイテムにしかすぎん。剣自身が持つ者を選んでおるのじゃ」
へー。じゃあ俺は剣に選ばれたってことか。
「す、すいません、僕の作る剣は、い、いつも変な剣ばっかりで……! お師匠様にもごごご迷惑を……!」
店員さんが残像が見える勢いで頭を何度も下げる。
「出来上がるまでどんな剣になるか分からんところが気に入っとるんじゃ。いちいち謝るな」
「は、はははいすいません!」
「……」
ドワーフさんが俺を見る。
「お前さんは魔法剣士だったんじゃな。スキルは勇者か?」
「いえ、『保父』です」
「『保父』? そりゃ笑えるな。ユーモアのセンスもあるのか」
ドワーフさんが笑うが、ユーモアじゃなく事実です。
「守ってくださってありがとうございます、ユイ様。人に守られたのは初めてです」
アシュリーさんが俺の手を握り締める。
「あ、いえ……」
絡まれたのは俺が弱そうに見えたからだろうけどな。
「では、そろそろお暇いたします。貴方達に幸運があらんことを……ああ、その前に」
アシュリーさんが俺と決闘していた男の前に立ち、握手をした。
途端に男の指がミイラのようにしぼんでいった!
「ぎゃああああ!」
男が悲鳴を上げる。
「二度とユイ様にかかわらないよう。おねがいしますね」
酷薄な笑みを向け、アシュリーさんは現れたときと同じように急に消えてしまった。フェアリーパテラに帰ったんだろうな。
「がーー……が――……!!」
ミイラになった手を掲げつつ男が叫ぶ。
すぐに、手は普通の手に戻っていったけど、男の息は荒いままだった。ちなみに涙目になっている。
アシュリーさん、優し気な男性とは言えさすが神様。容赦がない。
ドワーフさんは金の剣を持つ男に向き直った。
「剣を返品したいなら金を返してやるぞ。だが、次にその剣を買うときは値段が倍になるがな」
「ぐ……いや、使ってやる。ありがたく思いやがれ!」
金額以上の価値があることは分かるんだろうな。返品するつもりは微塵たりともないようだ。何たる小物感。俺はこんなのに絡まれてたのか。
ウィンドウを出して確認すると、俺のスキルに『魔法剣士 ランクひよっこ』が追加されていた。物凄く小さな文字で。
なんでひよっこなんだよ! せめて他のスキルみたいに数字で表してくれよ!
そしてなんでメインのスキルは『保父』のままなんだ!? 魔法剣士のほうをメインにしてくれ!
「お兄ちゃ、勝ったのー」「おめでとうございますなの」「おめでとーの!」「の……」
4人が俺の周りを飛び回る。
「あぁ、ありがとうな。ん?」
インベントリに薬草が10個も入っていた。いつの間に拾ったんだろ? 森を歩いてた時にかな?
薬草は『ちょっと回復する。食べても美味しい』と説明が出た。へー、美味しいのか。サラダにしてみようかな。
「なぁ、どうしてレオンハルトさんが攻撃しようとしたとき、すぐに反撃しようとしたのに、竜の爪の時は手助けしてくれなかったんだ?」
とユーチャ達に聞いてみた。
「レオンちゃはつおいの。黙ってたらお兄ちゃが死んじゃったの」
「でもりゅのつめちゃん達はダイジョブだったの。だからほっといたの」
「マーチャたちは平気な時はほっとくのでつ」
「つ」
つなのか……。
一応俺の実力を見て判断してるのか……。こいつら、ほんと子供のくせ子供らしくないなあ……。
「きゃああ……」「モンスターだ、モンスターが出たぞ!」「みんな逃げろ! 衛兵はまだか!! 冒険者はいないのか……!!?」「逃げろー!」
突如としてあたりが騒然としだした。街の人たちが散り散りに逃げまどっている。
遠くで悲鳴が聞こえた。こちらに近づいてくるようだ。
「モンスターだと?」
「あ、あなたたち、Bランクの『竜の爪』様ですよね! 街のはずれにモンスターがでたんです、どうかお助けください……!」
ひらひらした服を着た可愛い女の子が俺に喧嘩吹っ掛けて来ていた男に縋りつく。
「あぁいいだろう。報酬は貰うがな」
何を報酬にする気だ。女の子に目の色変えやがって、エロ魔人め。
「モンスターのね。マーチャが行くの」
「おい! 衛兵とBランクがいるんだからそっちに任せておけ! お前は子供なんだぞ!」
「お兄ちゃ、いっちょに黙示録の雨使うの。お兄ちゃとマーチャで止めるのー」
子供たちが走りだす。レオンハルトさんまでも後についていった。
俺も慌てて後を追う。
どうか低ランクの相手でありますように!
「――――――!!!!」
モンスターは想像していたよりはるかに大きかった。大通り一杯に広がっている。
透明なゲル状の物体で、中には数えることさえおっくうになるぐらいの眼球が蠢いている。
――ゴブリンとかウルフとかじゃないのかよ! なんだこの物体! キモイ、キモ過ぎるぞ!
「ゲルだと……!」
Bランクズが叫ぶ。
「こ、こんなの相手にできるわけねえ……!」
全員へっぴり腰になり、その場に尻もちをついた。
そんな男たちにゲルと呼ばれた化け物は体を持ち上げ覆いかぶさろうとするが――
「『星屑の弾丸』!」
レオンハルトさんが銃を放つ。放たれた弾丸は星型のきらめきの尾を引きながら無数に枝分かれしてゲルを襲った。
一発の弾丸が何十にも分裂していくつもの目玉を貫いた。
「な――」
俺も驚いたけどBランクズも驚いている。
さすがSランク! こんなこともできるのか。
「人が飲まれてる……!!」
ゲルは、ゼリーにも似た体内に街の人を呑み込んでいた。口から泡を吐きながらじたばたもがいて逃げようとする人、口を押えて窒息寸前になってる人、気を失ってだらんと浮いてる人もいる!
「Bランク以下はここから去れ! 邪魔になるだけだ!!」
戦っている人もいた。あ、あれは……!
「フルアーマーさん!!!」
袖を結び、マントのように俺のジャケットを着ているAさん、日本円を張り付けているBさん、財布をメットに刺してるCさん、ネクタイを巻いてるDさん!
皆、剣を構え最前線で目玉相手に戦っていた。
「ご無事だったんですね!」
「あぁ! でもAランクの俺たちでも止めるのがせいぜいだ! お前さんもガキを連れて逃げろ!」
なんとAランクだったのか! えらっそうにしてたくせ腰を抜かしているBランクエロ魔人より強いじゃないか!
ゲルが体を持ち上げた。軟体モンスターが俺たち全員を包み込むように広がっていく!
キーチャが前に飛び出した。
「『完全なる盾』」
ドン!! 天から――というか天の魔法陣から巨大な盾が降ってきた。でかい! 俺たちとフルアーマーさん達を守れるぐらいにでかい!
盾は透明だ。ぶつかって更に広がるゲルの姿が一目でわかる。
「お兄ちゃ、いくの」
「ああ」
マーチャが杖を手にしていた。金属でできた杖で先端には巨大な宝石が浮いている。鋭く磨かれていて槍としても使えそうだ。
俺も短剣を抜く。片方の目の色が青へと変わるのがわかった。
「『黙示録の雨』!!!」
俺とマーチャの声が被る。
剣と杖から青い光が走り――――。
「――!!?」
空から巨大な氷が降ってきた。バスケットボールぐらいある! 確実に目を狙っていて、直撃された眼球が次々に破裂している。ゲルが重たく弾け、しぶきとなっていく。キーチャの盾が無かったら俺たちまで魔物の体液でどろどろになっていただろう。
ゲルの一番奥に潜んでいた目玉は民家ほどに巨大だった。
「えーいなの」
なのに、ユウチャは臆することもなく剣を振り上げ、振り下ろした。動きはそれだけだったのに目玉が何十もの輪切りになって煙を発し、消えた。
ゲルは消え、取り込まれていた人たちが解放される。
「ケンチャ、回復を」
「はいの。『みーんな元気になーれ』」
ケンチャを中心に輝く波紋が広がっていく。街中に広がっているんじゃないかというぐらいに。
優しい光がきらめいて「た、助かった……」「あ、あれ?」「死ぬかと思った……!」と、ゲルに取り込まれていた人たちが起き上がる。気を失っていた人も目を覚ましていた。
「やるじゃねえか! まさかゲルを一撃とは思わなかったぜ!!」
「兄ちゃんやるなぁ! 魔法剣士だったのか!」
フルアーマーさん達が褒めてくれるけど、やったのは俺じゃなくて……、
「やったのはこの……「そなの! お兄ちゃのおかげで助かったの!」」
マーチャに邪魔されてしまった。
「おい、倒したのはお前なのに、俺の手柄になっちゃっていいのか?」
「いいの! お兄ちゃなんだから!」
「おーい、これ、お前さんのもんだぞ。ゲルの魔石。ギルドに持って行きゃ大金になるぜ」
日本円貼り付けアーマーさんが俺の手にダイヤ型の宝石を乗せた。結構大きい。掌からはみ出るぐらいある。
「魔石……?」
「まさか知らねぇのか? 兄ちゃんほんとどっから来たんだ? 電気を発するエネルギーの塊だ。これだけの上物ならこの街全体を一か月間は賄えるぜ。ギルドに持っていきな。高値で買ってもらえるからよ」
へー! この世界にも電気の概念があったのか! エネルギー源は全然違うけど。
宝石を光に透かして見てしまう。オパールのような複雑な輝きをしている。
「教えてくれてありがとうございます! 早速行ってきます!!」
あやす、で子供達を浮かせてレオンハルトさんの腕を引き、速攻でギルドに駆け込んでいったのだった。
「ああ、ゲルを倒したのか。早かったな」
オンボロギルドに飛び込むと、昼間から酒を手にした猫耳のチンピラ――もといギルド職員イリアさんに魔石を渡した。
「この魔石なら――――」
提示された金額は莫大な大金でした――。
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