ビジュアル系弁護士シンゴ&パラリーギャル織田マリア！

二刀流

「ううゥ、ビジュアル系弁護士って？」
　マジかァ。そんな二刀流があるのだろうか。



「あ、ボクは捜査一課の星です。夜分遅く恐れ入ります」
　さらに、もうひとりの小柄なイケメンは礼儀正しく一礼し、警察手帳を提示した。


　どうやら、この若いイケメンだけはまともなようだ。



「星、刑事？」オレはつぶやいた。



「フフゥン、ポチと呼んで構わないわ」
　横からコギャル風のマリアが口を挟んだ。




「え、ポチって？」
　なるほど。星だから『ポチ』なのだろうか。




「いやいやァ構いますよ。ボクの名前は星です。星優真ホシゆうまです」


「はぁ～」
　オレからすれば、そんな事はどうだって良い。

　いったい警察がどうしてこんな時間にオレの元へ。
　


　もしかして百合香のことで来たのか。




　まさかそんなはずはない。





　だいたいオレと百合香を結びつけるモノなど有りはしない。




　すでに百合香は海の藻屑だ。




　嵐に巻き込まれ、早くとも遺体が上がるのは明日の朝だろう。



　オレの計画は完全だ。


　お前らのようなバカなヤツらとは違うんだ。




「フフッ蒲生さん、今晩は、どちらに居ましたか？」
　コギャル風パラリーガルはオレにアリバイを確認してきた。




「え、ああァ、そりゃァずっとこの家にいましたけど。この悪天候ですからねェ。外へは出られないでしょ」
　オレは余裕で応えた。


　何も問題はない。
　アリバイは完璧だ。


　オレの計画に間違いはない。

　そのためにピザのデリバリーを頼んでおいたのだ。


　オレはチラッとピザを見た。




　何も怖れる事はない。

　オレはゆっくりとこれまでの事を思い出していた。