ビジュアル系弁護士シンゴ&パラリーギャル織田マリア！

蒲生ヒロユキ

　オレの名前は蒲生がもうヒロユキ。





　ミステリー好きのオレが思い描いていた完全犯罪。


　だがそれは夏の夜の儚い夢のように散っていった。



　これがオレにとって最後のチャンスと言えただろう。



　これ以上の幸運には巡りあう事はない。




　だがどんなに完璧に練った計画も『神の見えざる手』には叶いはしない。


　神がかり的な事が起き、オレの計画した完全犯罪は崩れた。


　そうこの目の前で微笑んでいる織田マリアと名乗るいまいましいパラリーギャルによって。



　オレにとってこのコギャルは疫病神だったに違いない。



　嵐の中、三人がオレの前に現れた。

　せっかく完全犯罪を完遂したと言うのに。






　およそ一年ほど前のことだ。


　ひょんな事からオレはご令嬢の西園寺レイナと付き合うこととなった。




　あの西園寺財閥のご令嬢だ。



　彼女が酔っぱらいに絡まれているのを身を挺して守ったのが出会いだった。



　相手はケンカ慣れした半グレで、レイナの取り巻きは腰が引け誰も助けようとしなかった。


　もちろんオレもガードするのが精一杯でアバラにヒビが入ったが、結局、全治三ヶ月の大ケガを負うことになった。



　けれども、それが不幸中の幸いだったようだ。

　毎日、病院へ見舞いに訪れ、オレに好意を持ってくれたみたいだ。


　なにしろオレの取り柄と言えばホスト時代に鳴らしたルックスくらいだ。



　学歴もコネもないオレにとって、まさに千載一遇のチャンスだった。



　これまでのオレは運に見放されていた。


　ルックスを活かしてホストになったもののアルコールに弱く、結局、トップにはなれず燻っていた。





　けれども逆玉に乗れば、これまでの悪運もお釣りが来るだろう。




　だがオレには、ひとつ気がかりがあった。