ビジュアル系弁護士シンゴ&パラリーギャル織田マリア！

蒲生ヒロユキ

　だがオレにはひとつ気がかりがあった。




　オレには結婚を誓った彼女。

　石原百合香がいた。



　顔は十人並みの美人だが、身体は抜群に良かった。しかも性格も申し分ない。




　西園寺レイナが現れなければ最高の彼女だっただろう。



　これまでのオレは言ってみれば、百合香のヒモのような暮らしをしていた。


　人並みの暮らしが送れたのは百合香のおかげだ。



　もちろん、これまでの慰謝料として幾ばくかの手切れ金を用意した。



　だが百合香はオレとの別れを拒んだ。もしレイナと結婚するなら西園寺家へ乗り込んで邪魔してやるとほのめかした。




　おいおい、そんなムチャを言うな。



　まったくしつこい女だ。

　せっかくのオレの門出なんだ。
　祝って送り出してくれって。


　悩んだ挙げ句。




　オレはご令嬢のレイナを選んだ。



　百合香には黙っていて貰おう。
　永遠に。



　オレは密かに計画を練った。
　考える時間は充分だ。


　そして、ついに今夜、嵐の晩に計画を遂行した。



　アリバイを偽装して上手く百合香をドライブに誘い出し、岬の突端の崖から突き落とし自殺に見せかけると言うものだ。



　首尾よく百合香をドライブに誘い出した。
　天候が悪くラジオの天気予報では『竜巻注意報』が発令しているそうだ。



　注意しろだって。
「フフゥン」そんなモノ知るか。


　こっちは完全犯罪に酔いしれていた。