ビジュアル系弁護士シンゴ&パラリーギャル織田マリア！

百合香

　百合香を睡眠導入剤で眠らせ、岬の突端の崖から突き落とし、急いで自宅へ引き返した。




　アリバイ工作は上手くいっただろう。


　デリバリーで頼んでおいたピザを玄関へ置いてもらった。



　これまで毎週何度も頼んで、リハーサルを繰り返していたので慣れたものだ。




　オレはずっと自宅にいた。




　デリバリーの配達員もそう証言してくれるはずだ。




　アリバイはバッチリだ。

　これでオレには百合香を殺す事は出来ない。


　おそらく彼女は自殺した事になるだろう。




　しかし自宅へ戻ると、何やら近所が騒がしい。どうやら竜巻の被害にあったようだ。



　近所の家の屋根が吹き飛んだらしい。


　すごい勢力だ。



　だがオレはすぐに自分の家へ戻って確認した。


　変わった様子はない。


　もちろんテレビも付けっぱなしだ。



　オレはずっと家に居てテレビを見ていたのだ。



　テレビでは天気について気象予報士が説明をしていた。


『……竜巻が発生した模様です』



「ふぅん」
　どうやらこの付近で竜巻が起こったようだ。
　ニュースの映像ではスゴい被害だ。



　なんでも起こってくれ。オレには関係がない。



　まさか、竜巻でデリバリーが来なかったワケではない。


　ちゃんとピザは玄関の中に届けられてあった。


　これでアリバイは完璧だ。
　完全犯罪の成立だ。



　百合香には悪いが、遺体は明日にでも見つかり自殺として処理されるだろう。



「フッフフ」
　これで、ジ・エンドだ。



　最後に笑うのはオレのようだ。