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カラクリ屋敷✨✨✨

清斎✨✨✨

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如何いかがされました?」
 すぐさま俺は狂ったように泣きわめいているお律に訊いて肩に触れた。

「ぬうぅ、触るなァ!  汚らわしい!!」だが即座に手を振払われた。
「ええェ……?」

「お前だ。清雅ァ!  私の清斎キヨとき何処どこへやったァ」
 振り向きざまお律は、まるで喰い殺しそうな形相で俺を睨んだ。

「ええェ……、清斎様を?  知りませんが」
 首を横に振って応えた。
 いったい、何のことだろう。
 まるで俺が清斎を何処かへやったかのような口ぶりだ。

「お前だ。私の清斎に何をしたァー」
「いえ、俺は何もしてませんが……」
 完全に言いがかりだ。
 
「清雅ァ。私の清斎を返せェ!」
「返せも何も俺は清斎様に何もしてませんよ」

「ええェい。将宗、加助、誰でも良い。出て参れ」
 まるで乱心したようにわめき立てた。
「お律様ァ」周りの女中等も困惑気味だ。

「はッ!  お律様、如何されましたか」
 やがて土蜘蛛衆の加助が、何処からともなく姿を現わした。

「ぬうぅ、清斎は。清斎は何処へいったのじゃ」

「いえ、我等は清斎様の事を監視していたワケではありませんのでわかりかねます」
 加助はチラッと俺の様子を窺った。どうやら彼等の監視対象は俺みたいだ。

「どう云うことなのか。詳しく事情を説明して下さい」
 今度は信乃介が訊いた。

「ぬうぅ、お前等が江戸から来たのが間違いなんだ。災いを招いたのじゃァ!!」
「ええェ……」

「清斎を……、私の清斎を何処へ隠したァ」
 お律は俺に掴みかかってきた。
「知りませんよ。俺が彼を何処かへやるワケがない」
 なんとか身を翻して避けた。

「お前等の所為だ。お前等の!」

「申し上げます」
 傍らにいた女中がお律に代わって応えた。

「清斎様の様子を見るため、この書斎へ参ったのですが中からカギが掛かっていたのです。叩いても応答がないので、無理矢理にでも扉を壊し中を覗いたら、この有り様で」
 書斎は血だらけだ。しかも壁には血文字で『おごる平家はひさしからず』と書かれている。
 首を斬られた遺体こそないが、闇御前が暗殺された本陣での一件と同様だ。同一犯による兇行なのだろうか。

「ンうゥ、なるほど……」俺も納得した。
 お律云う事も尤もだろう。
 確かにこれだけ書斎が血まみれなのだ。
 当然、中にいたであろう清斎の身が心配だ。








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