信乃介捕物帳✨💕 平家伝説殺人捕物帳✨✨鳴かぬなら 裁いてくれよう ホトトギス❗ 織田信長の末裔❗ 信乃介が天に代わって悪を討つ✨✨

カラクリ屋敷✨✨✨

婚礼の儀✨✨✨✨

　里は暗雲に覆われていく。早くも雲行きが怪しい。
　本家の奥座敷では恙無つつがなく婚礼の儀の準備が執り行われるようだ。
　許嫁で分家の真姫マキもこちらへ訪れた。化粧も施し､一段と美しくなって俺たちの前へ現れた。

「フフゥン、清雅様……。随分､屋敷の中が大変だと窺いましたが」
「ええェ……、実を云うと兄上の清貴様と清斎様、それに江戸から一緒に来たお蘭と云う女子オナゴが何者かに連れ去られまして」

「ン、何者かに……」
「ええェ､おそらく謀反を起こした土蜘蛛衆の仕業ではないかと」
　邪鬼の所為だとは思うが､まだ確定したワケではないので黙っていた。

「そう、ついに土蜘蛛衆ヤツらが動いたのね」
「お真姫マキ様も何処かに､奴らが潜んでいる所を知りませんか」
「さァ……、私なんかよりそちらの方に訊けば」
　薄笑いを浮かべ真姫マキは顎でお蝶を差した。

「いえ、私はなにも……」お蝶は､はぐらかすように視線を逸らした。

「フフゥン、そうかしら､あなたは土蜘蛛衆の頭目､将宗と未いまだに出来ているんじゃなくて」

「ええェ……？」まさか将宗とお蝶が出来ているだって。
「いえ別に､私と将宗様は何の関係もありません」
　シラをきるが､怪しい素振りだ。

　その時、ヤケに廊下側が騒がしくなった。
　喚くように山師のヒデの声が響いてくる。
　信乃介等が奥座敷へ現れた。

「ふぅ……、邸内は隈なく探したけど、まったくお蘭も清貴様たちも見当たらないんだ。いったい何処へ行っちまったのか」
　すっかりヒデもお手上げのようだ。

「うン､さすがに､お蘭のことも心配だ……」
　信乃介もかなり憔悴している。無理もない。お蘭を実の妹のように可愛がっているのだ。

『キャァァァァァァーー……』
　今度は廊下で女性の悲鳴がした。

「ぬうぅ、なんだ。どうした？」
　一斉に信乃介やお律等が悲鳴のした方へ駆け出した。

「なにがあったんだ？」信乃介が声を掛ける。

「ヒィィ……､く、首が」
　見ると女中が腰を抜かしたように廊下へ座り込み､尻込みするような格好で部屋の中を指差していた。
　ここは､清斎の部屋だ。

「ン､首がどうした？」
　清斎の部屋を覗くと血まみれの部屋に生首がひとつ置かれていた。顔には夜叉羅刹の面がかぶせられてあった。


「うッ､ううゥ……！」
　まさか。この生首は､清斎のモノなのか。

　その刹那､背後から。
「清斎キヨときィィィィィィーー……」
　突然､悲鳴にも似た絶叫が聞こえてきた。






☆ﾟ.*･｡ﾟ☆ﾟ.*･｡ﾟ☆ﾟ.*･｡ﾟ☆ﾟ.*･｡ﾟ