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未来の揚羽の里✨✨✨

真相✨✨✨

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「ぬうぅ、私を……?  どうして」

「フフゥン、それは貴女がだからでしょう」
 信乃介は不敵に微笑んだ。
「私が清姫様の実の姉……。な、何を馬鹿な事を!」

「ええェ……、確かに馬鹿げたことですね。
 でもそれでやっと辻褄が合うんですよ」
「辻褄が……」

「おそらく赤子の頃に本物の清姫と貴女方あなたがた実妹いもうとをすり替えたんですよ。
 誰の画策かはわかりませんが……。
 なので貴女は愛する実妹いもうとを救出するため命がけのカラクリをやらざるを得なかったんです!」

「命がけのカラクリ……」
「そう、一歩間違えれば闇御前殺しで捕まって裁かれる。土蜘蛛衆をまとめる黒幕を殺した罪だ。そんな裏切り者を土蜘蛛衆だって赦すワケがない。それこそ『死の制裁』もいとわわないでしょう。
 その決死の覚悟で貴女たちは、あの本陣でのカラクリを決行したんだ」

「ぬうぅどんな……」
「まずは土蜘蛛衆の頭目、将宗を呼び寄せ策をろうした。将宗としても遅かれ早かれ闇御前を暗殺し片付けるつもりだったのでしょう。
 この機に乗じて、土蜘蛛衆をまとめ、一気に揚羽の里を制圧しようと画策したんですよ」
「揚羽の里を制圧しようと……」

「そうです。まずは貴女あなたたちは闇御前の首を切断し、血まみれだった清姫を自分の着ていた浴衣に着替えさせたんです」
「ふぅン……」

「そして将宗にその血まみれの浴衣と、闇御前の首を処分させた。血まみれの浴衣は風呂の焚き付けにでも放り燃やしたんでしょう。
 そして生首は風呂釜の中へ放り込んだ。
 その後、将宗は飯盛女《メシもりおんな》を使い眠り薬を盛った酒を見張り番に振る舞ったんでしょう。眠り薬が効き寝静まった頃、将宗は中にいる清姫に夜叉羅刹の面と土蜘蛛衆の着物を手渡したんだ」
「土蜘蛛衆の……」
「そう、清姫に土蜘蛛衆に化けてもらうためにね」
「ぬうぅ……」

「その後、扉に外から糊を貼り付け扉を開かないように工作をしたんだ。
 そんな事は知らず、俺は美鬼《おまえ》が下手人じゃなくて、外部の人間の仕業だと云う事を必死に証明していたんだ」
「フフゥン、礼を云うべきかしら……」
 冷ややかに嗤った。
「だがなんのことはない。中にはまだ清姫が潜んでいたので、中から閂を掛けておいたのさ」

「ぬうぅ……、だが本陣の扉を開けた時、中には清姫はいなかっただろう。密室の中には首を斬られた闇御前と失神した裸の私しかいなかったと聞いたが」
 美鬼も言い訳がましく反論した。

「ええェ……、そうですね」
「じゃァ、清姫は何処に消えたって云うの?  まるで幽霊のように」

「いいえ、もちろん幽霊じゃないんで消えたわけではないですよ。清姫は貴女に言われた通り、実行しただけです」
 信乃介は美鬼を指差した。

「私に……」
「まずは、清姫に貴女の後頭部を殴りつけ失神させた。そして夜叉羅刹《ヤシャらせつ》の面をつけ、土蜘蛛衆に化けて扉の影にじっと身をひそめ隠れたんです」
「まさか……。身をひそめッて、かくれんぼじゃあるまいし」

「フフゥン、良いですか。あの時、本陣の方から男性の絶叫が聞こえた。おそらく将宗が絶叫したんでしょう。絶叫なので男だと云う事はわかったが、誰の声かは特定できなかったんだ。
 彼は自作自演で、すぐに本陣へ駆けつけたように芝居したんです」

「フフゥン、ッで、扉の開かない振りをしたのか」
「そうですね。そこは上手く加助たちに扉が開かない事を確認させたんでしょう。将宗ひとりだけ開かないと断言しても証言としては弱いですからね」
「ぬうぅ……」

「将宗は、本陣の扉を叩き斬って中を覗いた。そのとき、清姫は見えないように扉の陰に身を潜めていたんです」

「そんなこと……」
「将宗や俺たちは、扉が開いた瞬間、中で首を切断された闇御前と真っ裸で失神している貴女にしか注意がいかない。なにしろ類稀なる魅力的な尻だ。俺たち男にとって貴女の尻以外見えていなかった」
「フフゥン……」

「そして案の定、一同の視線は貴女の裸の尻に釘づけになった」
「チィッ」

「その尻に導かれるように将宗や俺たちも本陣の中へ入った。その間も視線は尻に注がれた状態だ。
 その時、隙をついて清姫は扉脇から脱出し、そのまま土蜘蛛に紛れ込んだんだ」

「なにィ!!」
「顔は夜叉羅刹の面でわからないのでなんとか誤魔化せたのでしょう。
 闇御前の首を切断したのも貴女が全裸だったのも俺たち男の気をそらすための……、いわばおとりだったんですよ」

「フフゥン、くだらない。そんなに上手くいくか」
「ええェ、ですから命がけのカラクリだったんです」
「ぬうぅッ」
「その後、将宗は裸で失神している貴女が闇御前を暗殺した下手人だとして、手下に捕まえさせようとした」
「……」
「俺は必死に外部犯行説をいて激しい口論になった。それもこれも清姫の犯行から目を逸らせるための狂言だったんだ」
「ぬうぅ……」

 すっかり日は暮れ、揚羽の里も夜のとばりに閉ざされていた。









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