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嵐の中で……✨✨✨✨

嵐の中で……

「なるほどォ……､なかなかクレバーだな」


「ズル賢いってェ」



「フフゥン、恵まれてないヤツが唯一、のし上がるにはクレバーじゃないとな。さァ､そうと決まれば」
　スッと私を抱き上げた。お姫様抱っこだ。



「キャッ！！  な、なんだよ。いきなりィ」
　びっくりして悲鳴を上げそうになった。



「フフゥン､明日から忙しくなるぞ！！」
「忙しくッてェ……」



「おいおい、いくら顔がそっくりでもそんなヤンキー口調でしゃべっていたら､バレバレだろ。最低限のマナーくらい身につけないとな」
　このままゲストルームのベッドまで運ぶつもりか。


「ンうゥ､なんだよ……？  マナーかァ」
　顔を歪めて膨れッツラをした。



「ああァ、それから､もうひとつ最大の問題があるんだ」



「ええェ……、なんだよ。最大の問題ッて」


「ピアノさ」
　ゆっくりと私をベッドへ下ろした。


「な、ピアノ……？」


「ああァ、お嬢様はプロ級なんだ。これだけは一朝一夕には無理だろう。最悪は腱鞘炎だとかウソを言って誤魔化すか。ケガをした振りをするかだな」



「ヘェ、ピアノなら少しくらい自信があるんだぜ」


「おいおい、バカか。少しくらいッて、猫踏んじゃたのレベルじゃないんだ。プロ級なんだよ」


「わかってるよ……。そんなにマジになるなよ」
　不満げに唇を尖らせた。



「おいおい、そんなに不貞腐れた顔をするなよ。
　明日ッからピアノの猛練習だ」
　

「ええェ……、マジで、ピアノを弾けるのか」



「まァ、さすがにショパンの『別れの曲』くらいはマスターしないとな。」



「定番じゃン。私の得意なのはショパンだと『英雄』と『革命』かな」



「そいつは頼もしいな。じゃァ、リストは」

「リストォ！！  ラ・カンパネラか」
　最悪だ。
　
「まァ、いずれ考えよう」





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