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砂の城……✨✨✨
ナポレオン……(三人称)
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「ああァン……、龍崎レイラ!! 誰だよ。そりゃァ」
榊純一は、ワケもわからず訊き返した。
「よろしいでしょうか。確認させて戴いても」
どうあっても矢作は引かないようだ。
「バカか。見たッて、わからねえェよ……。どうぞ」
榊は、そっぽを向いて応えた。
「はァ……、では失礼します」恭しく遺体に被せられたシーツをめくった。
だが見た途端、驚いた。
酷い有り様だ。
「うッううゥ……」二人とも顔を背けるような状態だ。
「ううゥ……」富田は吐き気がしてハンカチで口をおおった。
「……」
矢作も絶句して、またシーツを被せた。
「あんなに綺麗だったのに……、くッそォォ」
父親の榊もやるせない思いだ。
「ふぅ……、ありがとうございました」
矢作は大きく息を付き、頭を下げ引き下がった。
だが遺体安置所を出ると、すぐ背後から榊に声を掛けられた。
「ちょっと待てくれよ……。刑事さん!!」
「ハイ」
「さっき言った龍崎レイラッて言うのは、セレブ一族の龍崎家のお嬢様だろう」
「いえ、それは個人情報で」
すかさず富田が仲裁するように話しに入っていく。
「ぬうぅ……、自殺したヤツは龍崎家に怨みがあって、その焼身自殺の巻き添えで娘のルナは亡くなったンじゃないのか? マスコミからもそんな話しを聞いたぞ」
「いえ、それは……」
矢作らも、どう応えて良いか困惑気味だ。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
曖昧な返事をし、矢作らは車へ引き返した。
矢作が助手席へつくと、左手を気にするように握ったり開いたりした。
そこへ着信バイブが響いた。
「ンうゥ……」
着信画面を確かめると非通知だった。
富田も運転席に座り、シートベルトをしていた。
「ン、もしもし……」矢作は、躊躇いがちに電話に応じた。
《やァ、ハギさんの電話で宜しいですか》
また子供のような声だ。
少年探偵のナポレオンのようだ。しかしさすがに声のトーンは沈んでいる。
「なんだ。子供電話相談なら、ちゃんと番号を確認してかけろよ」
《ヤダな。子供じゃないよ。どうでした。榊ルナの遺体は?》
「ああァン……?」
《やっぱり、『龍崎レイラ』でしたか》
「う、ううゥ……、 お前なァ」
《ヤダなァ、レオンと呼んで下さいよォ。
オレもハギさんッて呼ぶんで》
「フフゥン、少年探偵レオン君……。悪いがオレは、キミの遊び相手をしているヒマはないんだ」
《ヒドいなァ。ハギさん。なんなら天宮美彩を殺した犯人を教えてあげようか》
「なッ、何ィッ! 誰だッ! お前は!
どうしてオレのオフクロの事件を」
《フフゥン、オレの名はナポレオン!
オレの辞書に解けない謎など存在しない!!
すべての謎は、このオレ!!
ナポレオンに解かれたがってるからねェ!!》
「ぬうぅ……!」
《取り敢えず、龍崎レイラの件をハギさんに調べて欲しいんだ。頼むよ。相棒!!》
「チィ……!!」
矢作は舌打ちをし、スマホの着信画面を睨みつけた。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
榊純一は、ワケもわからず訊き返した。
「よろしいでしょうか。確認させて戴いても」
どうあっても矢作は引かないようだ。
「バカか。見たッて、わからねえェよ……。どうぞ」
榊は、そっぽを向いて応えた。
「はァ……、では失礼します」恭しく遺体に被せられたシーツをめくった。
だが見た途端、驚いた。
酷い有り様だ。
「うッううゥ……」二人とも顔を背けるような状態だ。
「ううゥ……」富田は吐き気がしてハンカチで口をおおった。
「……」
矢作も絶句して、またシーツを被せた。
「あんなに綺麗だったのに……、くッそォォ」
父親の榊もやるせない思いだ。
「ふぅ……、ありがとうございました」
矢作は大きく息を付き、頭を下げ引き下がった。
だが遺体安置所を出ると、すぐ背後から榊に声を掛けられた。
「ちょっと待てくれよ……。刑事さん!!」
「ハイ」
「さっき言った龍崎レイラッて言うのは、セレブ一族の龍崎家のお嬢様だろう」
「いえ、それは個人情報で」
すかさず富田が仲裁するように話しに入っていく。
「ぬうぅ……、自殺したヤツは龍崎家に怨みがあって、その焼身自殺の巻き添えで娘のルナは亡くなったンじゃないのか? マスコミからもそんな話しを聞いたぞ」
「いえ、それは……」
矢作らも、どう応えて良いか困惑気味だ。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
曖昧な返事をし、矢作らは車へ引き返した。
矢作が助手席へつくと、左手を気にするように握ったり開いたりした。
そこへ着信バイブが響いた。
「ンうゥ……」
着信画面を確かめると非通知だった。
富田も運転席に座り、シートベルトをしていた。
「ン、もしもし……」矢作は、躊躇いがちに電話に応じた。
《やァ、ハギさんの電話で宜しいですか》
また子供のような声だ。
少年探偵のナポレオンのようだ。しかしさすがに声のトーンは沈んでいる。
「なんだ。子供電話相談なら、ちゃんと番号を確認してかけろよ」
《ヤダな。子供じゃないよ。どうでした。榊ルナの遺体は?》
「ああァン……?」
《やっぱり、『龍崎レイラ』でしたか》
「う、ううゥ……、 お前なァ」
《ヤダなァ、レオンと呼んで下さいよォ。
オレもハギさんッて呼ぶんで》
「フフゥン、少年探偵レオン君……。悪いがオレは、キミの遊び相手をしているヒマはないんだ」
《ヒドいなァ。ハギさん。なんなら天宮美彩を殺した犯人を教えてあげようか》
「なッ、何ィッ! 誰だッ! お前は!
どうしてオレのオフクロの事件を」
《フフゥン、オレの名はナポレオン!
オレの辞書に解けない謎など存在しない!!
すべての謎は、このオレ!!
ナポレオンに解かれたがってるからねェ!!》
「ぬうぅ……!」
《取り敢えず、龍崎レイラの件をハギさんに調べて欲しいんだ。頼むよ。相棒!!》
「チィ……!!」
矢作は舌打ちをし、スマホの着信画面を睨みつけた。
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