ママはヤンママ女子高生！ ラン&ジュリー！！

ラン&ジュリー

ワイルドビーナス

　しかも『ワイルドビーナス』というレディースの総長みたいな存在で、地元では妖怪や口裂け女よりも怖れられていた。



「はぁ～、るっせぇな。アタシに逆らう気ィ？」
　ジュリーはボクを睨みつけ、襟首をグイグイと絞った。



「く、苦しいですよ。逆らう気なんて毛頭ありませんから」
　当然だろう。

　ボクは幼い頃からジュリーの使いっ走りみたいなモノだ。



　お小遣いの大半は彼女に巻き上げられていた。
　それでも構わない。

　ジュリーはボクにとって身近なアイドルなので、『推し活』だと思って諦めていた。


　ジュリーと一緒にいるだけでボクは幸せだ。



　
　今は夏休み前で、クラスメイトのみんな気も漫そぞろだ。
　

　高校の教室はエアコンが効いているので涼しく快適だ。


　放課後になりみんな忙しげに帰り支度をしていた。



　クラスメイトは、ジュリーを怖れてボクがやられていても見て見ぬふりだ。


　あまりボクたちにはが関わらないようにしていた。



「ねェ、ランラン。頼みがあるんだけど」
　またジュリーが甘えてきた。
　どうせ金の無心だろう。



「え、なんですか。お小遣いなら上げたばかりじゃん」
　足りないと言われても、こっちだってこれ以上、無い袖は振れない。



「ねェ、ランラン。ヤラせてェ」
　
「え、え、えェッ？」
　
「お願い。ねェランラン」
　甘えるように絡んできた。



「いやいやァ、ここは学校の教室ですよ。なにをやらせる気ですか。イヤですよ！」