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7話 お昼④
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オーディン様の言葉が途切れたタイミングで、特別室の外から声が聞こえてきた。
「失礼します。
先程の料理を運んでまいりました」
オーディン様は、すぐに立ち上がって扉を開けた。
それから料理を運んできた人と何かを話し、カートに乗せられてきた料理を受け取った。
受け取った料理の半分(2人分あるように見えたので、おそらくは1人分)を私の前に並べた。
それから残りの半分も並べ終えると、オーディンが言った。
「せっかく2人分の料金を払ったのだから、食べないと勿体ない。
だから、手伝ってくれないか?」
「い、いえ、流石にここまでして頂く訳には参りません」
「いや、正直に言うと本当に手伝って欲しいんだ。
料金を払う以上は食べない選択肢がない。
しかし、いくら男の俺からしても、このフルコースを2人分も食べるのはキツイし、あまり好きな味付けでは無かったんだ。
というわけで、料理を半分食べるのを手伝って欲しい。
駄目だろうか?」
オーディン様の言葉と表情から、本当に困っているだろう事が見て取れた。
しかし、そこでオーディン様のある言葉に引っかかりを覚えた。
「あの、先程『あまり好きな味では無かった』と仰られていましたが、食べたことがあるのですか?」
「ああ、『成金の象徴』なんて言われる料理が、どんな物なのか興味が有ったから、一回だけ頼んだことがある。
確かに不味くはないし、フルコースなだけあってかなり量もある。
料金に見合った良い食材を使っているし、手間が掛かっているのも理解できた。
ただ俺からしたら、普段から食べるような味付けの、頼んだら一瞬で出て来て、量もあるAランチの方が良かった」
「Aランチですか。
私も朝食を抜いてしまった時に頂きます」
「なるほど、令嬢だと少し量が多いのか。
む、そうなると、このフルコースは食べ切れないか。
それは少し勿体ないな」
「そうですね。
朝も食べてきてしまいましたし、こちらの半分程でしたら、食べ切れるのですが」
「なら、先に分けてしまうか」
そう言って、オーディン様は私の前に置かれていた料理を半分に分けた。
「さ、それでは食べようか」
「あ、はい。
ありがとうございます」
結局、お高い料理を頂く事になってしまった事に申し訳なく思っていた。
しかし、一口食べてみると、『成金の象徴』と呼ばれる理由と、オーディン様が『好みの味ではない』と理由が分かった。
オーディン様が言ったように、食材や手間暇等が相当に掛けられているのが理解出来る。
しかし、それは足りない腕を、食材と手間暇で補うような下品さがあった。
貴族家に仕える料理人の多くは料理人の腕を含めて、全てを高水準で揃えているからこそ、気品を感じさせる料理になる。
「失礼します。
先程の料理を運んでまいりました」
オーディン様は、すぐに立ち上がって扉を開けた。
それから料理を運んできた人と何かを話し、カートに乗せられてきた料理を受け取った。
受け取った料理の半分(2人分あるように見えたので、おそらくは1人分)を私の前に並べた。
それから残りの半分も並べ終えると、オーディンが言った。
「せっかく2人分の料金を払ったのだから、食べないと勿体ない。
だから、手伝ってくれないか?」
「い、いえ、流石にここまでして頂く訳には参りません」
「いや、正直に言うと本当に手伝って欲しいんだ。
料金を払う以上は食べない選択肢がない。
しかし、いくら男の俺からしても、このフルコースを2人分も食べるのはキツイし、あまり好きな味付けでは無かったんだ。
というわけで、料理を半分食べるのを手伝って欲しい。
駄目だろうか?」
オーディン様の言葉と表情から、本当に困っているだろう事が見て取れた。
しかし、そこでオーディン様のある言葉に引っかかりを覚えた。
「あの、先程『あまり好きな味では無かった』と仰られていましたが、食べたことがあるのですか?」
「ああ、『成金の象徴』なんて言われる料理が、どんな物なのか興味が有ったから、一回だけ頼んだことがある。
確かに不味くはないし、フルコースなだけあってかなり量もある。
料金に見合った良い食材を使っているし、手間が掛かっているのも理解できた。
ただ俺からしたら、普段から食べるような味付けの、頼んだら一瞬で出て来て、量もあるAランチの方が良かった」
「Aランチですか。
私も朝食を抜いてしまった時に頂きます」
「なるほど、令嬢だと少し量が多いのか。
む、そうなると、このフルコースは食べ切れないか。
それは少し勿体ないな」
「そうですね。
朝も食べてきてしまいましたし、こちらの半分程でしたら、食べ切れるのですが」
「なら、先に分けてしまうか」
そう言って、オーディン様は私の前に置かれていた料理を半分に分けた。
「さ、それでは食べようか」
「あ、はい。
ありがとうございます」
結局、お高い料理を頂く事になってしまった事に申し訳なく思っていた。
しかし、一口食べてみると、『成金の象徴』と呼ばれる理由と、オーディン様が『好みの味ではない』と理由が分かった。
オーディン様が言ったように、食材や手間暇等が相当に掛けられているのが理解出来る。
しかし、それは足りない腕を、食材と手間暇で補うような下品さがあった。
貴族家に仕える料理人の多くは料理人の腕を含めて、全てを高水準で揃えているからこそ、気品を感じさせる料理になる。
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