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依頼発注
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「わ、私をラーハ公爵家現当主、ディエス・ラーハの元まで送る依頼を受けてくださいませんか?
報酬は各都や町、村の情報とその場所へ入る為に必要な事の全てをこちらで代行する事と、その他に私自身でどうにか出来る物で2人が望む物を何点か、お渡しするのではどうでしょうか」
私はそう言った後、緊張しながら2人を見ていました。
何せ、2人がこの依頼を受けてくださらなければ、2人は私をここに置いてダンジョンを脱出するでしょう。
その場合は私の死亡はほぼ確定になります。
運良く私はここを生きて出る事が出来ても、かなり厄介な人物達が私を殺そうとしたのですから、お父様の元に戻るまでは何が起こるか分かりません。
つまり、2人にこの依頼を受けて頂けなければ、私は詰んだも同然なのです。
私がそんな事を考えながら、2人の返答を待っていました。
私が今までの人生で1番緊張しながら、返答を待っていました。
魔道士の男性は顎に手を当てて悩んでいる様ですが、騎士の女性は全く悩んでいない様でした。
私は依頼しようとしている側でしたが、その事を不思議に思い、騎士の女性を見ていると私の視線に気がついた騎士の女性は苦笑いしながら言いました。
「以前なら相手が困って依頼をして来たならば、殆ど無償で受けていましたが、それをしている内に随分酷い裏切りに遭いましてね。
それ以来、依頼を受けるかは、リヴァーに任せているのです」
私は騎士の女性の話を聞いて驚きました。
それはこの騎士の女性が裏切り遭ったというのも、多少はありましたが、何よりも魔道士の男性の名前です。
名前がリヴァーな上に黒髪黒目の魔道士、それは恐らくこの世界で1番有名な魔道士で、様々な伝承があり、彼の伝説を知っている者ならば憧れない事は無いとも言われ、現在でも最強の魔道士との呼び声が高い魔道士。
曰く、彼は魔法で地形を変える。
曰く、彼は魔法で敵軍を壊滅に追い込む。
曰く、彼は魔法で2柱存在していた邪神の1柱を1人で完全に消し去った。
曰く、彼が魔法で成し得なかった唯一の事は、相棒である最強の騎士を下す事。
そして、そんな伝説の魔道士リヴァーと双璧を成す伝説の存在。
金髪碧眼で女性の騎士であり、女なら姫や貴族の令嬢に憧れるよりも先に憧れると言わる程の女騎士であり、騎士の中の騎士と謳われ、現在でも最強の騎士との呼び声が高い騎士、その名前はー
「あ~、あの件か。お前が早く俺の言う事を聞いていれば、あんな事にはならなかったんだからな?ちゃんと俺の警告を聞いた上で、自分でも考えろよ?リアス」
そう、その伝説の女騎士の名前はリアス。
彼女も多くの伝承が残っています。
曰く、彼女は剣技で地形を変える。
曰く、彼女は剣技で敵軍を壊滅に追い込む。
曰く、彼女は剣技で2柱存在していた邪神の1柱を1人で完全に消し去った。
曰く、彼女が剣技で成し得なかった唯一の事は、、相棒である最強の魔道士を下す事。
伝承自体の内容は被っていても、これらを伝承の2人が別々に成し遂げた事実は今でも語り継がれています。
容姿は完全に伝説の2人と同じであり、強さもS級にモンスターを倒しているのですから、伝説の2人だと言われても、おかしくはありません。
もしかして、この2人は本物のリヴァー様とリアス様!?
しかし、2人の伝説はダーナ王国建国以前、ダーナ王国よりも前に存在していたレッサス帝国での出来事の筈です。
それならば、レッサス帝国が存在していた1000年以上も前の出来事の筈ですので、人は生きている事は出来無い筈です。
それならば、この2人は別人でしょうか?
私がそんな事を考えていると、リヴァーと呼ばれた男性が私に聞いてきました。
「依頼内容と報酬から、依頼を受けるのは良いが、どれ位融通が効く?後、お前の父親がいる場所はダンジョンを出てから、どのくらいの距離だ?」
私はリヴァーと呼ばれた男性の質問の意味が分からずに首を傾げました。
「融通、ですか?報酬の件でしたら、申し訳ありませんが、私の裁量でどうにか出来る物は家にあるものばかりですので、流石にこの場で報酬を払うのは難しいです。距離はダンジョンを出てから馬車で1週間くらい行った王都です」
私がそう言うと、リヴァーと呼ばれた魔道士の男性は笑いながら言いました。
「あはは、報酬の前払いじゃないさ。お前の護衛依の途中で他の依頼を受けたり、俺達が寄りたい場所に寄ったりするのを許容して欲しいだけさ。
それに馬車で1週間なら俺達は1時間もあれば着くだろうしな。
後、報酬なら立ち寄った場所の説明とお前の家に3日くらい泊めてくれたら良い。」
私はリヴァーと呼ばれた男性の魔道士の言葉に首を傾げながら聞きました。
「私は2週間以内にお父様の元まで送って下されば、どちらも構いません。ですが、報酬はそれだけで良いのですか?
それに馬車で1週間かかる距離を1時間で踏破するのは流石に不可能では?」
私がそう言うと、リヴァーと呼ばれた男性は不敵に笑いながら言いました。
「ふふ、確かに普通の人間には不可能かもしれないな。だが、俺達なら余裕だ。というか、1時間という時間もお前に配慮した時間だぞ?お前が居なければ、約30秒で着く」
リヴァーと呼ばれた男性がそう言いました。
私は驚いている目を見開きましたが、そんな私にはお構い無しに、今度はリアスと呼ばれた騎士の女性が私に聞いてきました。
「というか、なんとなく流していましたが、あなたの事はなんと呼べば良いんですか?」
私はリアスと呼ばれた騎士の女性の言葉に「ハッ」とすると、慌てて言いました。
「わ、私はラーハ公爵家が長女スノウ・ラーハと申します。私の事はスノウとお呼び下さい。・・・その失礼ですが、貴方方はもしや最強の魔道士リヴァー・ドラグニール様と最強の騎士リアス・アルストリアス様、ですか?」
私は自己紹介をした後、緊張しながら気になっていた事を聞く事にしました。
かなり失礼だとは思いますが、聞かずには居られなかったのです。
私が緊張しながら返答を待っていると、リヴァーと呼ばれた魔道士の男性が、声を低くして私に聞いてきました。
「もしも『そうだ』と答えたら、どうするつもりだ?」
そう聞かれた私は、先程の緊張が嘘のように目を輝かせながら間髪入れずに答えました。
「はい!!もしも御本人だった場合は、私にサインを下さい!!」
私の返答に2人共、「ポカン」とした顔をしていました。
私が2人の顔を見て、私が勢い良く口走った事を思い出して顔が赤くなってしまいました。
淑女教育を受けてはいましたし、社交会では淑女の鏡と呼ばれていますが、『気を抜くと素が出てしまう事があるので注意するように』と先生から注意を受けていたのに気を抜いてしまいました。
私が赤くなって居ると、2人は同時に笑い出しました。
「「ぷ、あはははははは!!」」
私は2人が笑っているの聞き、更に赤くなりましたが、2人はそんな事を気にせずに話をしました。
「凄いな、コイツ。本人だったら何か大きな事をやって欲しいとか言うのが普通だろうに、コイツはサインが欲しいだと。しかも、本心からそう言ってるぞ!!くくくっ」
「そうですね。私も本人だと何か証明して欲しいと言われると思っていましたから、流石に驚きました。それに本心からサインだけ欲しいなんて。ふ、ふふ」
そんな2人の声を聞い私は更に恥ずかしくなり、うつむきながらながら言いました。
「あ、あの恥ずかしいので、どうかこの話は止めて下さい」
私がそう言うと、リヴァーと呼ばれた魔道士の男性が言いました。
「そうは行かないな。なにせ、リアス以外にここまで笑わせてくれたのは中々居ないからな。
サインだったな?手持ちに紙が無いから、ウッドドラゴンの鱗を紙に加工してと、これに書いてやる。・・・よし、これで俺の分は出来たな。ほらよ、リアス。どうせお前もサインするんだろ?だったら同じ紙にサインしてやれ」
リヴァーと呼ばれた魔道士の男性、いえ本物のリヴァー様がアイテムボックスから筆と本物のウッドドラゴン(ドラゴンの中でも中位のドラゴンでS級に分類されるモンスター)の鱗1枚取り出し、それを贅沢に紙に加工し、それにサインをしてくれました。
それだけで無く、リアスと呼ばれた騎士の女性、いえ本物のリアス様にその紙を渡しました。
その紙を受け取ったリアス様は笑みを浮かべながら言いました。
「そうですね。そう言えば、私とリヴァーが同じ紙にサインをしたのは初めてではないですか?私もリヴァーもサインは嫌いでしたから、気に入った人間に頼まえた上で、気が乗った時しかサインしませんでしたし、同時にサインする事自体が無さすぎて、『同時にサインさせた物は運を使い過ぎて早死する』とか言う妙な噂がありましたね。
・・・よし、これで良い筈です。どうぞ、スノウ」
そう言ってリアス様が私にウッドドラゴンの鱗から出来た紙を渡してきました。
私はそれを興奮から震える手で受け取りました。
そして、受け取った紙には本当に2人のサインがしてありました。
2人は御本人達が言っていたようにサインを嫌っていたので、絶対数が圧倒的に少ないです。
それに保存状態が良くても、1000年以上は経っているかもしれない紙ですから、保存魔法をかけても破れたり、破損してしまう可能性が高いのでしょう。
そんな理由から現存するサインは、リヴァー様のサインが3つとリアス様のサインが3つの合計6つだった筈です。
しかも、2人が同じ紙に同時にサインしたのは2人が言っている通り、世界初ですから興奮が抑えられません。
私はそんな理由から、かなり興奮しながら2人にお礼を言いました。
「あ、ありがとうございます!!リヴァー様!!リアス様!!絶対にこのサインを家宝にします!!
あ、ファーストネームで読んでしまい、申し訳ありません!!ドラグニール様!!アルストリアス様!!」
私がリヴァー様とリアス様と呼んでしまってから、すぐに不味いと気が付きました。
私がドラグニール様とアルストリアス様と言い直した理由は『2人は親しくない人間からファーストネームで呼ばれるのをかなり嫌っている』という伝承が残っているからです。
なんでも、2人と親しいと演出したかった時の帝国の皇太子が、親しくもないのに公式の場で2人をファーストネームで呼び、その場で半殺しにされた後で皇太子の座を引きずり降ろされたのだとか。
私は『2人の機嫌を損ねてしまった!!気を抜きすぎです!!』と心の中で叫んでいると、2人は笑いながら言いました。
「別に家宝にするのは良いけど、大袈裟な奴だな~。それと俺の事はリヴァーで良いぞ。なんなら様もいらん」
「そうですね。私は、というか私達は貴方を気に入りましたからね。有象無象にファーストネームで呼ばれるのは嫌ですが、気に入った人間になら構いません。私もリアスと呼んで下さい」
2人の言葉に私は喜びから全身の毛が逆立つのを感じながら、言いました。
「はい!!ありがとうございます!!リヴァー様!!リアス様!!」
報酬は各都や町、村の情報とその場所へ入る為に必要な事の全てをこちらで代行する事と、その他に私自身でどうにか出来る物で2人が望む物を何点か、お渡しするのではどうでしょうか」
私はそう言った後、緊張しながら2人を見ていました。
何せ、2人がこの依頼を受けてくださらなければ、2人は私をここに置いてダンジョンを脱出するでしょう。
その場合は私の死亡はほぼ確定になります。
運良く私はここを生きて出る事が出来ても、かなり厄介な人物達が私を殺そうとしたのですから、お父様の元に戻るまでは何が起こるか分かりません。
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私がそんな事を考えながら、2人の返答を待っていました。
私が今までの人生で1番緊張しながら、返答を待っていました。
魔道士の男性は顎に手を当てて悩んでいる様ですが、騎士の女性は全く悩んでいない様でした。
私は依頼しようとしている側でしたが、その事を不思議に思い、騎士の女性を見ていると私の視線に気がついた騎士の女性は苦笑いしながら言いました。
「以前なら相手が困って依頼をして来たならば、殆ど無償で受けていましたが、それをしている内に随分酷い裏切りに遭いましてね。
それ以来、依頼を受けるかは、リヴァーに任せているのです」
私は騎士の女性の話を聞いて驚きました。
それはこの騎士の女性が裏切り遭ったというのも、多少はありましたが、何よりも魔道士の男性の名前です。
名前がリヴァーな上に黒髪黒目の魔道士、それは恐らくこの世界で1番有名な魔道士で、様々な伝承があり、彼の伝説を知っている者ならば憧れない事は無いとも言われ、現在でも最強の魔道士との呼び声が高い魔道士。
曰く、彼は魔法で地形を変える。
曰く、彼は魔法で敵軍を壊滅に追い込む。
曰く、彼は魔法で2柱存在していた邪神の1柱を1人で完全に消し去った。
曰く、彼が魔法で成し得なかった唯一の事は、相棒である最強の騎士を下す事。
そして、そんな伝説の魔道士リヴァーと双璧を成す伝説の存在。
金髪碧眼で女性の騎士であり、女なら姫や貴族の令嬢に憧れるよりも先に憧れると言わる程の女騎士であり、騎士の中の騎士と謳われ、現在でも最強の騎士との呼び声が高い騎士、その名前はー
「あ~、あの件か。お前が早く俺の言う事を聞いていれば、あんな事にはならなかったんだからな?ちゃんと俺の警告を聞いた上で、自分でも考えろよ?リアス」
そう、その伝説の女騎士の名前はリアス。
彼女も多くの伝承が残っています。
曰く、彼女は剣技で地形を変える。
曰く、彼女は剣技で敵軍を壊滅に追い込む。
曰く、彼女は剣技で2柱存在していた邪神の1柱を1人で完全に消し去った。
曰く、彼女が剣技で成し得なかった唯一の事は、、相棒である最強の魔道士を下す事。
伝承自体の内容は被っていても、これらを伝承の2人が別々に成し遂げた事実は今でも語り継がれています。
容姿は完全に伝説の2人と同じであり、強さもS級にモンスターを倒しているのですから、伝説の2人だと言われても、おかしくはありません。
もしかして、この2人は本物のリヴァー様とリアス様!?
しかし、2人の伝説はダーナ王国建国以前、ダーナ王国よりも前に存在していたレッサス帝国での出来事の筈です。
それならば、レッサス帝国が存在していた1000年以上も前の出来事の筈ですので、人は生きている事は出来無い筈です。
それならば、この2人は別人でしょうか?
私がそんな事を考えていると、リヴァーと呼ばれた男性が私に聞いてきました。
「依頼内容と報酬から、依頼を受けるのは良いが、どれ位融通が効く?後、お前の父親がいる場所はダンジョンを出てから、どのくらいの距離だ?」
私はリヴァーと呼ばれた男性の質問の意味が分からずに首を傾げました。
「融通、ですか?報酬の件でしたら、申し訳ありませんが、私の裁量でどうにか出来る物は家にあるものばかりですので、流石にこの場で報酬を払うのは難しいです。距離はダンジョンを出てから馬車で1週間くらい行った王都です」
私がそう言うと、リヴァーと呼ばれた魔道士の男性は笑いながら言いました。
「あはは、報酬の前払いじゃないさ。お前の護衛依の途中で他の依頼を受けたり、俺達が寄りたい場所に寄ったりするのを許容して欲しいだけさ。
それに馬車で1週間なら俺達は1時間もあれば着くだろうしな。
後、報酬なら立ち寄った場所の説明とお前の家に3日くらい泊めてくれたら良い。」
私はリヴァーと呼ばれた男性の魔道士の言葉に首を傾げながら聞きました。
「私は2週間以内にお父様の元まで送って下されば、どちらも構いません。ですが、報酬はそれだけで良いのですか?
それに馬車で1週間かかる距離を1時間で踏破するのは流石に不可能では?」
私がそう言うと、リヴァーと呼ばれた男性は不敵に笑いながら言いました。
「ふふ、確かに普通の人間には不可能かもしれないな。だが、俺達なら余裕だ。というか、1時間という時間もお前に配慮した時間だぞ?お前が居なければ、約30秒で着く」
リヴァーと呼ばれた男性がそう言いました。
私は驚いている目を見開きましたが、そんな私にはお構い無しに、今度はリアスと呼ばれた騎士の女性が私に聞いてきました。
「というか、なんとなく流していましたが、あなたの事はなんと呼べば良いんですか?」
私はリアスと呼ばれた騎士の女性の言葉に「ハッ」とすると、慌てて言いました。
「わ、私はラーハ公爵家が長女スノウ・ラーハと申します。私の事はスノウとお呼び下さい。・・・その失礼ですが、貴方方はもしや最強の魔道士リヴァー・ドラグニール様と最強の騎士リアス・アルストリアス様、ですか?」
私は自己紹介をした後、緊張しながら気になっていた事を聞く事にしました。
かなり失礼だとは思いますが、聞かずには居られなかったのです。
私が緊張しながら返答を待っていると、リヴァーと呼ばれた魔道士の男性が、声を低くして私に聞いてきました。
「もしも『そうだ』と答えたら、どうするつもりだ?」
そう聞かれた私は、先程の緊張が嘘のように目を輝かせながら間髪入れずに答えました。
「はい!!もしも御本人だった場合は、私にサインを下さい!!」
私の返答に2人共、「ポカン」とした顔をしていました。
私が2人の顔を見て、私が勢い良く口走った事を思い出して顔が赤くなってしまいました。
淑女教育を受けてはいましたし、社交会では淑女の鏡と呼ばれていますが、『気を抜くと素が出てしまう事があるので注意するように』と先生から注意を受けていたのに気を抜いてしまいました。
私が赤くなって居ると、2人は同時に笑い出しました。
「「ぷ、あはははははは!!」」
私は2人が笑っているの聞き、更に赤くなりましたが、2人はそんな事を気にせずに話をしました。
「凄いな、コイツ。本人だったら何か大きな事をやって欲しいとか言うのが普通だろうに、コイツはサインが欲しいだと。しかも、本心からそう言ってるぞ!!くくくっ」
「そうですね。私も本人だと何か証明して欲しいと言われると思っていましたから、流石に驚きました。それに本心からサインだけ欲しいなんて。ふ、ふふ」
そんな2人の声を聞い私は更に恥ずかしくなり、うつむきながらながら言いました。
「あ、あの恥ずかしいので、どうかこの話は止めて下さい」
私がそう言うと、リヴァーと呼ばれた魔道士の男性が言いました。
「そうは行かないな。なにせ、リアス以外にここまで笑わせてくれたのは中々居ないからな。
サインだったな?手持ちに紙が無いから、ウッドドラゴンの鱗を紙に加工してと、これに書いてやる。・・・よし、これで俺の分は出来たな。ほらよ、リアス。どうせお前もサインするんだろ?だったら同じ紙にサインしてやれ」
リヴァーと呼ばれた魔道士の男性、いえ本物のリヴァー様がアイテムボックスから筆と本物のウッドドラゴン(ドラゴンの中でも中位のドラゴンでS級に分類されるモンスター)の鱗1枚取り出し、それを贅沢に紙に加工し、それにサインをしてくれました。
それだけで無く、リアスと呼ばれた騎士の女性、いえ本物のリアス様にその紙を渡しました。
その紙を受け取ったリアス様は笑みを浮かべながら言いました。
「そうですね。そう言えば、私とリヴァーが同じ紙にサインをしたのは初めてではないですか?私もリヴァーもサインは嫌いでしたから、気に入った人間に頼まえた上で、気が乗った時しかサインしませんでしたし、同時にサインする事自体が無さすぎて、『同時にサインさせた物は運を使い過ぎて早死する』とか言う妙な噂がありましたね。
・・・よし、これで良い筈です。どうぞ、スノウ」
そう言ってリアス様が私にウッドドラゴンの鱗から出来た紙を渡してきました。
私はそれを興奮から震える手で受け取りました。
そして、受け取った紙には本当に2人のサインがしてありました。
2人は御本人達が言っていたようにサインを嫌っていたので、絶対数が圧倒的に少ないです。
それに保存状態が良くても、1000年以上は経っているかもしれない紙ですから、保存魔法をかけても破れたり、破損してしまう可能性が高いのでしょう。
そんな理由から現存するサインは、リヴァー様のサインが3つとリアス様のサインが3つの合計6つだった筈です。
しかも、2人が同じ紙に同時にサインしたのは2人が言っている通り、世界初ですから興奮が抑えられません。
私はそんな理由から、かなり興奮しながら2人にお礼を言いました。
「あ、ありがとうございます!!リヴァー様!!リアス様!!絶対にこのサインを家宝にします!!
あ、ファーストネームで読んでしまい、申し訳ありません!!ドラグニール様!!アルストリアス様!!」
私がリヴァー様とリアス様と呼んでしまってから、すぐに不味いと気が付きました。
私がドラグニール様とアルストリアス様と言い直した理由は『2人は親しくない人間からファーストネームで呼ばれるのをかなり嫌っている』という伝承が残っているからです。
なんでも、2人と親しいと演出したかった時の帝国の皇太子が、親しくもないのに公式の場で2人をファーストネームで呼び、その場で半殺しにされた後で皇太子の座を引きずり降ろされたのだとか。
私は『2人の機嫌を損ねてしまった!!気を抜きすぎです!!』と心の中で叫んでいると、2人は笑いながら言いました。
「別に家宝にするのは良いけど、大袈裟な奴だな~。それと俺の事はリヴァーで良いぞ。なんなら様もいらん」
「そうですね。私は、というか私達は貴方を気に入りましたからね。有象無象にファーストネームで呼ばれるのは嫌ですが、気に入った人間になら構いません。私もリアスと呼んで下さい」
2人の言葉に私は喜びから全身の毛が逆立つのを感じながら、言いました。
「はい!!ありがとうございます!!リヴァー様!!リアス様!!」
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