最強無敵の魔道王と最強無敵の騎士王、そして私の物語

ロシキ

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門での一悶着

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「様付けは取れないんだな。まあ、貴族の令嬢なら当然と言えば当然か。様付けを取りたくなったら取ってくれたら良いしな。

さてと、話す事は話したし、さっさとここを出るか。そろそろ陽の光を浴びたいしな」

リヴァー様がそう言えと、リアス様も頷きながら同意しました。

「そうですね。肉体的には変わりないとは言え精神的には、ある程度の時間を過ごしましたし、早く辛気臭い場所から出ましょう」

リアス様がそう言うと、リヴァー様が私に質問して来ました。

「それで?このダンジョンの出口は何処なんだ?」

私はリヴァー様の質問に眉を下げながら答えました。

「申し訳ありません。私も出口が分からないんです」

私がそう言うと、2人は首を傾げました。
そして、首を傾げながらリアス様が私に質問して来ました。

「出口が分からない?このダンジョンが攻略されていない為に道が分からないと言う事ですか?」

私はリアス様の質問に首を横に振りました。

「確かに攻略自体は出来ていませんが、どのくらいの危険度なのか知らべる為に、決死の覚悟では何度か侵入したパーティーがあったそうです。

侵入した彼らの内の何組かは帰還したのですが、帰還したパーティーが制作した地図が入口以外は全て違ったのです」

私がそう言うと、リヴァー様が頷きながら言いました。

「なるほど、要するにこのダンジョンはモンスターの危険度が他よりも高いだけでなく、ダンジョンの道順が変化するダンジョンという事か。

まあ、そう言う事なら話は早いな」

リヴァー様の言っている事は正しいのですが、リヴァー様がおっしゃった『話が早いな』の意味が理解出来ずに首を傾げました。
そんな私を他所にリヴァー様が右手を上げると同時に、ダンジョンが立っていられない程強く揺れました。

「きゃ!?なんですか、これ!?」

私が倒れそうになった瞬間、リアス様が私を支えてくださいました。
私はそんなリアス様にお礼を言いつつ、質問しました。

「あ、ありがとうございます、リアス様。あの、リヴァー様は一体何をなされているのですか?」

そのリアス様は私を支えながら、私の質問に答えて下さいました。

「今はダンジョンの出口を引き寄せているのですよ。本来ならばダンジョンコアによってロックされているので、ダンジョンをイジる事は出来ません。ですが、ダンジョンの中が変化するならば、ダンジョンのロックは少しだけ緩いそうです。

その為、あの方は出口をこの場に持ってくる事が出来るのですよ」

リアス様がそう言った瞬間に、リヴァー様の奥から階段が移動して来ました。
その階段は、リヴァー目の前で止まり、リヴァー様は階段が止まると、スタスタと階段を登って行きました。

私が驚きで止まっていると、階段の方には歩いていたリアス様が私に言いました。

「どうしました?早く行きますよ」

私はリアス様の言葉に我に返り、リアス様とリヴァー様を追って階段を登って行きました。
階段を登りきると、本当にダンジョンの外に出ていました。
私が驚きのあまり、はしたなく口を「パクパク」とさせていると、リヴァー様が指を「パチン」と鳴らしました。

すると、何処からともなく空飛ぶ絨毯が現れました。
その絨毯は私達の足首辺に来ると止まりました。
リヴァー様とリアス様はそんな絨毯に、すぐに乗りました。
私が未だに口を「パクパク」とさせていると、リヴァー様に手を引っ張られて、私は絨毯に乗せられました。

そして、私が絨毯に乗ると、絨毯は動き出し、周辺の木の上まで上昇してから、今度は凄い速さで横に動き始めました。
凄い速さで周囲の光景が流れて行き、あっという間に街が見えてきました。

街が見えてきた所で、絨毯が停止し、リヴァー様が私に質問しました。

「おい、スノウ。あの街は何て街だ?それとあの街に行っていいのか?」

そう聞いてきたリヴァー様に、私は我を取り戻し、答えました。

「あ、あの街はダンジョンの名前になった『フーイム』の街です。それと行く事自体は問題ありませんが、お2人は身分証はお持ちですか?」

私がそうお2人に質問すると、お2人共首を横に振りました。
なので、私は首を横に振ったお2人を見ながら言いました。

「身分証が無いならば、入る時に一悶着あると思いますが、私が対応するので大丈夫です。

ただ何かがあっても私が対応するので、お2人が直接対処するのは、待って頂いても良いですか?」

私がそう言うと、リアス様がコクリと頷きました。
リヴァー様は頷いたリアス様を見てから言いました。

「それならさっさと行くか」

リヴァー様がそう言うと、再び絨毯が動き出し、私が止める前に『フーイム』の街に入る為の検問に並ぶ列の後ろに着きました。
私は『とても目立ってしまった』と思いながら、絨毯を降りました。
しかし、お2人はそんな私を見ながら絨毯の上で寛いで居ました。

私がお2人に『降りないのですか?』と質問する前に、門兵が検問に並ぶ者達を守る様に布陣しながら、私達に槍を向けて来ました。
因みに、門兵の基本装備は鉄鎧に槍、後は片手を自由に出来る様に聞き手の逆の手の手首に付ける円盾です。

私が武器を向けて来た兵士達に慌てていると、門兵のどなたかが叫びました。

「そこの怪しい2人組!!今すぐに、その浮かんでいる絨毯を地面に降ろし、スノウ様から離れなさい!!」

私が門兵に事情を説明しようとした所で、リアス様から凄まじい殺気が放たれました。

「たかが門兵風情が私とリヴァーに槍を向けてよいと思っているのですか?」

リアス様の殺気を浴びた私達が「ガチガチ」と歯を鳴らしていると、リヴァー様がため息をつきました。

「はぁ~、リアス。昔からお前は短気すぎだぞ?たかが槍を向けられた程度だろう。それにスノウが任せて欲しいと言っていたし、スノウにまでを当てるな」

リヴァー様がそう言うと、リアス様が言いました。

「短気過ぎではありませんよ、リヴァー。私達は人類を何度も救っているのですよ?それなのに、人類はその恩を忘れ、私達に敵意を見せた。その時点でこのは万死に値します」

リアス様がそう言うと、リヴァー様は再びため息をつきながら言いました。

「はぁ~、お前な~。不老不死・・・・になった俺達からすれば昨日の事の様だが、有命で短命な人類からすれば何世代も前の話だぞ?

それならば忘れるのも仕方ない。逆にお前は自分が生きていない時に受けた先祖の恩を受けた人間の顔が分かるか?」

リヴァー様がそう質問すると、リアス様の殺気が消えました。
私を含めてリアス様の殺気に当てられていた者達は一様に地面に座り込み、10歳は歳をとった様な顔をしていました。

そんな私達を他所にリヴァー様とリアス様は会話を続けられました。

「それは確かに分かりませんが」

「だろ?人間は会った事が無い人間の事は、肖像画等が無い限りは分からないものなんだよ。それよりも、周りの人間に怒気を当てやがって。

これに対処するのは俺なんだぞ?無駄に仕事を増やすなよ」

「うっ、すみません」

「ま、良いけどな。今日の飯はお前の奢りな」

「はぁ~、分かりましたよ」

そんなお2人の会話を呆然としながら眺めていた私ですが、リヴァー様が一度指を鳴らしました。
すると、不思議と手足の震えが止まり、先程の出来事を客観的に思い出す事が出来る様になりました。
そんな急な変化に戸惑っていると、リアス様が私に目を向けました。

私はリアス様に見られた事に対して、「ビクリ」と体を反応させてしまいましたが、リアス様はそんな事はお構いなしに私には言いました。

「ほらスノウさん。さっさと私達を街に入れる交渉をしてください。早くしないと、暴れますよ」

リアス様の言葉を聞いた私は先程の殺気を思い出し、あまり長引くのは不味いと判断し、急いで門兵達に言いました。

「ここの最高責任者は誰ですか!?スノウ・ラーハから話があります!!今すぐに呼んで下さい!!」

私がそう言うと、門の方からどなたかが走って来ました。
門から走って来た人物は頭を開けながら言いました。

「お初にお目にかかります、スノウ様。私はフーイムの門兵の統括を任されております、ガイランと申します。先程は貴方様が為に、門兵達が動揺し私含め短絡的な行動に出てしまいました。

罰があるならば、私だけにして頂けないでしょうか」

私はガイランさんの話を聞き、一瞬おかしいな所がありましたが、そこはスルーして話を進めました。

「罰はありません。それよも私の護衛の方2名を、身分証はありませんが、この街に入れて欲しいのです。それも出来るだけ早く。できますか?」

私がそう聞くと、ガイランさんは頷きながら言いました。

「それならば仮身分証を発行し、冒険者ギルドでギルド員登録して頂ければ問題ありません。しかし、ギルド員登録をするまでに、お2人方が問題を起こせば、スノウ様の責任となってしまいますが、よろしいのですか?」

ガイランの言葉に、私は頷きながら言いました。

「構いません。よろしくおねがいします」

私がそう言うと、ガイランはすぐに頷きました。

「分かりました。それでは私は準備がごさいますので、先に門の外にある詰め所に戻ります。 護衛の方々も一度そこへとお越しください」

ガイランさんがそう言った門の方へと歩いていきました。
私が「ほっ」と息をついて、お2人に声をかけようとすると、いつの間にかお2人共が私を抜いて門の方に歩いていました。

そして、その事に驚いた私にリヴァー様が歩きながら言いました。

「さっきの話は聞いていたから、説明しなくても分かる。それよりもさっさと行くぞ~」

リヴァー様の言葉で何故お2人が歩いていたのか理解した私はまだ少し戸惑いながら返事をしました。

「え!?あ、はい!!」
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