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20話
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私が王家の醜聞作りをしていると、入城終了ギリギリの時間(夕方)に、馬車の周りが慌ただしくなった。
それを聞き、フィーナに目配せをして、フィーナを外に出した。
ミサと2人きりになったが、フィーナは馬車の側にいて、周囲の様子を見ているので、問題なかった。
周囲の様子を見たフィーナが馬車の中に戻って来て、私に耳打ちをしてきた。
「どうやら、ようやく私達が城門前で待っていた事を王家が知ったようです。王家から使者が、急ぎ入城して欲しいと言って来ました」
「その使者は?」
「まだ馬車の前に」
「そう、それなら私が対応するわ。フィーナは馬車の外に出る私を守って」
「承知しました」
私はフィーナに指示を出してから、すぐに馬車の外に出た。
馬車の外に出ると、使者が私が出て来た事を察して、すぐに何かを話そうとしたが、それよりも先に私が頭を下げた。
「大変お忙しい中、登城してしまい申し訳ありません。この時間に城に入る事は出来ませんので、本日は邸へと戻らせて頂きます。
登城する時間は、再び指定をお願い致します」
私の嫌味を多分に含んだ言葉に、使者は驚き、体を硬直させた。
例えば、最初の『大変お忙しい中』というのにも、王家は城に入れることすらせず、貴族家当主を呼びつけた上で待たせる程に忙しいのかという意味が含まれる。
他の部分にも嫌味は多分に含まれているが、『再び指定』という言葉は、特に声を大きくして言った。
これは周りで聞いている人間に、時間も指定して呼び付けたのに待たせる様な王家だと認識させる為だ。
正直に言えば、この使者も含めて、王家はもっと虐めたいが、流石に虐め過ぎると、こちらが不利になる可能性もある。
なので、適度に虐めて、気分が良い所で帰ることにした。
私が頭を上げて馬車の中に戻ろうとすると、使者は私が帰ろうとしている事を察したのか、すぐさま頭を下げた。
「お、お待ち下さい、フロービス伯爵。陛下や王妃様達は既に城でお待ちです。
このまま登城して頂いて構いません」
「申し訳ありません。半日以上、屋敷を開ける予定は無かったものですから、片付けなければならない仕事が残っておりますので」
「そ、そう、ですか。しょ、承知しました。お気を付けてお帰り下さい」
「ええ、それでは失礼します」
私はそう言ってから馬車に乗り込み、フィーナが馬車の扉を締めてから、すぐに馬車を出させた。
動き出した馬車の中で、私は笑みで歪んでいる口を手で隠しつつ、肩を震わせていた。
「フィーナ、あの顔見た?あれはこの後、相当叱責を受けそうだよ」
「そうですね。まあ、ここまで待たせておいて、そのまま城に入るのはありえませんから、仕方ないのでは?」
「そうだね。あの使者は子爵家の人間だから、格的には私が上だけど、年下に頭を下げたくなかったんじゃないかな? だから自分から頭を下げるという頭が無いんだろうね。
いや~、面白かったよ」
それを聞き、フィーナに目配せをして、フィーナを外に出した。
ミサと2人きりになったが、フィーナは馬車の側にいて、周囲の様子を見ているので、問題なかった。
周囲の様子を見たフィーナが馬車の中に戻って来て、私に耳打ちをしてきた。
「どうやら、ようやく私達が城門前で待っていた事を王家が知ったようです。王家から使者が、急ぎ入城して欲しいと言って来ました」
「その使者は?」
「まだ馬車の前に」
「そう、それなら私が対応するわ。フィーナは馬車の外に出る私を守って」
「承知しました」
私はフィーナに指示を出してから、すぐに馬車の外に出た。
馬車の外に出ると、使者が私が出て来た事を察して、すぐに何かを話そうとしたが、それよりも先に私が頭を下げた。
「大変お忙しい中、登城してしまい申し訳ありません。この時間に城に入る事は出来ませんので、本日は邸へと戻らせて頂きます。
登城する時間は、再び指定をお願い致します」
私の嫌味を多分に含んだ言葉に、使者は驚き、体を硬直させた。
例えば、最初の『大変お忙しい中』というのにも、王家は城に入れることすらせず、貴族家当主を呼びつけた上で待たせる程に忙しいのかという意味が含まれる。
他の部分にも嫌味は多分に含まれているが、『再び指定』という言葉は、特に声を大きくして言った。
これは周りで聞いている人間に、時間も指定して呼び付けたのに待たせる様な王家だと認識させる為だ。
正直に言えば、この使者も含めて、王家はもっと虐めたいが、流石に虐め過ぎると、こちらが不利になる可能性もある。
なので、適度に虐めて、気分が良い所で帰ることにした。
私が頭を上げて馬車の中に戻ろうとすると、使者は私が帰ろうとしている事を察したのか、すぐさま頭を下げた。
「お、お待ち下さい、フロービス伯爵。陛下や王妃様達は既に城でお待ちです。
このまま登城して頂いて構いません」
「申し訳ありません。半日以上、屋敷を開ける予定は無かったものですから、片付けなければならない仕事が残っておりますので」
「そ、そう、ですか。しょ、承知しました。お気を付けてお帰り下さい」
「ええ、それでは失礼します」
私はそう言ってから馬車に乗り込み、フィーナが馬車の扉を締めてから、すぐに馬車を出させた。
動き出した馬車の中で、私は笑みで歪んでいる口を手で隠しつつ、肩を震わせていた。
「フィーナ、あの顔見た?あれはこの後、相当叱責を受けそうだよ」
「そうですね。まあ、ここまで待たせておいて、そのまま城に入るのはありえませんから、仕方ないのでは?」
「そうだね。あの使者は子爵家の人間だから、格的には私が上だけど、年下に頭を下げたくなかったんじゃないかな? だから自分から頭を下げるという頭が無いんだろうね。
いや~、面白かったよ」
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