上 下
8 / 188
1章 王国編

7話

しおりを挟む
「フィーナ、落ち着きなさい。彼女達がかなり接近してくるまで、貴方は彼女達に気がついて居なかった。
私達を殺すつもりならば既に仕掛けて来ていてもおかしくわないわ。つまり、大人く出てきた時点で話し合う余地があるのよ」

私の言葉にフィーナは絶句した。

「なっ!?話し合う余地!?王城まで侵入しておいて、話し合う余地等があるわけがありません!!」

「王城に侵入したら話し合う余地がない?それは何故?」

「何故!?王城とは、王族の方々が住まう、この国の中枢ですよ!?それに無断で侵入したのですから、話し合う余地など」

「それなら彼女達の目的は?」

「それは王族の方々を害することに決まっているでしょう!!」

「いいえ、違いますよ」

フィーナがそう叫んだ所で、黒尽くめのリーダーであろう人がフィーナの言葉を否定した。

「私達の目的は、私達の中の過激派を止める事と王国に使われている同志達の開放です」

「過激派?一体、なんの過激派なの?それにその過激派の目的は?」

「それは私達、『黒の翼』という組織の過激派です。私達の組織は例え黒色の魔眼所持者でも国に縛られず、自由に生きれる未来を作るために活動しています。過激派は文字通りに私達の中でも自由に生きるためなら殺人も厭わない、そんな危険な思想の持ち主たちです。

彼らの目的は国の魔眼管理部門の破壊と国王並びに宰相一家、さらに魔眼管理部門の人間達の暗殺でしょう」

「な!?国王陛下も宰相様も、それに魔眼管理部門の者達もこの国の為に日夜働いておられる立派な方々なのですよ!!それなのに、何故暗殺などする必要があるのですか!!」

「フィーナ、うるさいから叫ばないで。それと国王陛下も宰相も、ついでに魔眼管理部門の人間達も貴方が思っているほど善人ではないわ」

私の言葉にフィーナが食って掛かろうとした所で、黒尽くめの内の1人で先程から話していた黒色の魔眼の持ち主が言った。

「ええ、その通りです。何より、国に縛り付けている魔眼の所持者を開放する為に、私達は動いているのです。

例え過激になろうとも、魔眼の所持者を縛り付けていない一般人には手を出さない、それが私達のルールですし、手を出す者の事はきちんと調べてから動きますので」

「それなら、何故止めに来たの?」

私がそう聞くと、黒尽くめの3人は苦々しい雰囲気になった。
しかし、黒色の魔眼の所持者は事情を話した。

「この国の王族に宰相一家が、魔眼の所持者を使い潰しているのは確実なのです。それが巧妙に隠されているので、調べなければ気がつけないだけです。

ですので、王族と宰相一家の排除自体は賛同できるのですが、その方法が今日行われている、このパーティー会場の襲撃というのが認められないので、止めに来たのです」
しおりを挟む

処理中です...