【本編完結】魔眼持ちの伯爵令嬢〜2度目のチャンスは好きにやる〜

ロシキ

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1章 王国編

12話 (フィーナ視点)

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私が何かが動いた気配を感じ取り振り向くと、熊の魔獣が立ち上がろうとしていた所だった。

(しまった!!痛みに気を取られ、仕留められたか確認していなかった)

熊の魔獣を倒しきれていなかったことに対して、私は顔を歪ませた。
以前にも、魔獣の種類や数などで人数の変更はあったものの、部隊単位や私個人で魔獣の討伐任務を受け魔獣を倒した事があり、先程熊の魔獣に与えた攻撃では倒し切れていないと冷静に考えれば経験から判断できた筈だった。

(すぐに止めを!!)

そう思い、左手で鞘に手を掛けた所で、剣が鞘に無いのを思い出した。

(しまった!!さっき右肘から先が吹き飛ばされたときに剣も飛ばされていた!!フロービス嬢を安心させるのは必要だったとしても、すぐに剣を取りに行かなければ行けなかった。これでは誰かに騎士失格と言われても、反論出来そうになー)

私がそこまで思考した所で、魔獣は口を開いた。

「グォォォーーーーーー!!!!」

私は魔獣の雄叫びを聞きながら、騎士になり一番最初に叩き込まれる鉄則が頭の中に思い出された。

魔獣の討伐は迅速かつ丁寧に行わなければならない。
魔獣の討伐が長引くと、時折恐ろしく強い個体に変化する。
その変化とは、2つ目の魔眼の発現。
魔眼の2つ持ちは、個人や部隊では手に負えない為に、国軍が出動することになる。
その為、2つの魔眼持ちを確認した場合は即座に退却し、情報を持ち帰れ。

この鉄則が頭の中で思い出された為に、すぐにフロービス嬢を連れて退却しようと考えた。
しかし、動けなかった。

魔獣は雄叫びを上げただけで、他にはこちらに何もしていないのに金縛りにでもあったように、私の体は動かなった。
頭では動かなければならないと分かっている筈が、体は全く言う事を聞かず動かせない。
それに焦り、なんとかしようと思考している間には魔獣は飢えたような眼差しで、こちらに近寄って来ている。

(まずい、まずい、まずい!!早く動かないといけないのに、動けない。何故?何故、動けない?)

そこまで考えた所で、体がガタガタと震えているのに気が付いた。

(まさかあの雄叫びで?でも何故、動けないの?いや、理由を考えるのは後でいい。早く、早く動かないと、あの魔獣がこっちに来る、殺されてしまう。喰われてしまう。お願い、早く、早く動いて)

焦れば焦るほどに体は動かず、体の震えも酷くなっていく。
体の震えが酷くなる程に、悪い方に考え向いてしまい、焦りが恐怖になるのも、時間の問題だと理解する何処か冷静な自分が、自分の中には居た。

しかし、それらを自覚しても関係なく体は動かない。
そして、そのまま魔獣が私の元まで辿り着き、私に爪を振り下ろそうとしたとき、私の背後から意を決したような、あるいは声が聞こえていた。

「うっ、ああああー!!!氷結庭園ッ!!」
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