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1章 王国編

11話

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フィーナは私が知っている中でも特に強く、私から魔眼を奪った妹(虹色の魔眼)にも全戦全勝で、彼女が負けたのは世界最強と名高い黒の雷系統の魔法を使う魔眼持ちだけだった。

なので、フィーナが負けるわけがないという思いがあり、私の反応はフィーナが声を上げるまで事実と認識できずに、遅れてしまった。

「ぐっ、おぉぉー!!」

熊の魔獣がフィーナの右手を爆破して、肘から下を消し飛ばし使いものにならなくしたのだ。
しかし、フィーナは使いものにならなくなった残りの右手で熊の魔獣を3人組の方に向かって殴った。

本来ならば肘から下が無いのだから、精々が一瞬怯む程度の攻撃にしかないはずが、フィーナは爆破されて消し飛んだ肘で熊の魔獣を殴り付けて、3人組の内の1人を熊の下敷きにして戦闘不能にした。

残りの2人はそれを見て一瞬怯んだものの、フィーナの疲弊した姿を見て、すぐに突撃した。
しかし、フィーナはそれを読むでいたのか、突撃して来たと同時に一気に、フィーナの今の間合いの内側に2人を入れた。

そして、回し蹴りで2人をまとめて蹴り飛ばし、気絶させた。
それを確認して、フィーナはすぐに私の元まで駆けてきて私の前で膝を付き、右手を自身の体で隠し、顔や体の所々からは痛みから汗を出しているのに痛みを全く感じさせない安心させるような笑みを見せた。

「もう大丈夫ですよ、フロービス嬢。危険はありません」

それを見て、私は聞かずには居られなかった。

「なんで?」

「え?」

「なんで私を抱き抱えたままで、全力を出さなかったの?」

その言葉にフィーナは驚いたような顔を一瞬だけしたあと、すぐに笑顔に戻った。

「フロービス嬢。あの動きが私の全力でした。ですから、フロービス嬢が何かを思うことは「答えて!!」

私はフィーナがしている下手な言い訳を途中で遮り、話さないことは許さないという心境でフィーナ叫んだ。
それを感じ取ったフィーナは諦めたように目を伏せてから、話しだした。

「私の魔法は私にしか効果を及ぼしません。ですから、私が全力で動いてしまってはフロービス嬢を私が危険に晒すことになってしまうだろうと考えた為です」


それを聞いて、私はおかしいと思った。
以前フィーナは触れている私と馬にも同時に魔法を掛けて強化することで高速の移動を可能にしていた。
それなのに、どうして?

私がそんな事を考えて止まっていると、フィーナは何かを勘違いしたのか、私を抱きしめた。  

「大丈夫ですよ、フロービス嬢。私はとても強いですから、この程度は問題ありませんし、他の騎士達と合流を」

フィーナはそこで言葉を止めて、後ろを振り返った。
それに釣られて、フィーナの体越しにフィーナの後ろを見ると、熊の魔獣が立ち上がった所だった。
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