【本編完結】魔眼持ちの伯爵令嬢〜2度目のチャンスは好きにやる〜

ロシキ

文字の大きさ
17 / 188
1章 王国編

16話

しおりを挟む
私は、警戒しないで欲しいと言った女医を素早く観察した。

女医は見た的に20代前半、服装は一見それほど高価そうには見えないものの、ある程度所か高位貴族が着ていてもおかしくはない物であり、目は閉じているのか開けているのか分からないくらいにしか開いておらず糸目と言える。

しかし一番の特徴は、その左目にある魔眼。
魔眼は人間であろうと、魔獣であろうとどちらの目に発現するかは分からないので、別に左目に魔眼があるのは問題ではない。
なにせ私が最初に発現させた魔眼は右目に発現したものの、フィーナは左目に発現しているので珍しい事でもない。

しかし、珍しいのはその魔眼自体ではなく、その紋章が珍しい。
糸目であり、紋章の全てが見えているわけではないので、正確にどの能力とは言えないが見えた部分だけで判断した場合、私の記憶違いでなければ、この女医の魔眼の能力は精神系統の能力であるはずである。

それらを考慮して、あまり警戒心を発露させずに女医に言った。

「初対面の人間を警戒するのは、普通じゃないかしら」

「そうね、でもフロービス嬢は会ったばかりであるフィーナには心を開いているように見えるわ。なぜかしら?」

私はその言葉に一瞬だけ動揺したものの、すぐに女医を睨みつけるように質問した。

「それが貴方の魔眼の能力?」

私がそう言うと、女医は柔らかい笑顔を浮かべた。

「失礼しました、フロービス嬢。私は魔眼所持者のみを対象とした医者、コローナ・ヨーティスと申します」

「コローナ・ヨーティス」

私はその名前に聞き覚えがあった。
コローナ・ヨーティス、現在は34歳であり元々は侯爵家の次女として生まれが、14歳の時に自分は好きに生きると宣言して医師の道に入る。
その後、自身が23歳の時に公爵家と婚約していた長女が冤罪により投獄され獄中死。

それを侯爵家は猛抗議したものの、公爵家の権力には勝てず、逆にお家が断絶しそうになった。
しかし、彼女自身は既に王宮の専属医師になっており、しかも魔眼所持者の事も見ることができる優秀な者として王家からも覚えがよく、特別に領地を持たず彼女が最後の侯爵家当主であることを条件に、侯爵家の名を名乗ることを許された切れ者。

それからも王宮の専属医師を続けたものの、魔眼所持者は通常の人間とは違うことを病状として訴えることが多く、それに対応出来ない医師が多い現状をなんとかしようと、26歳のときに魔眼所持者専門の医師になった。
どこの国も、それ相応の魔眼所持者を抱えているので、彼女の意志は少し反対があったものの簡単に受け入れられた。

そして、そこから3年の歳月を経て、魔眼の系統毎に同じ病気でも訴える病状が違うことを突き止め、更に病状の違いにより起こる誤診を無くすために、能力の系統と病気による『クロス表』というものを作り出した。
そうした経緯があり、現在の彼女は魔眼所持者専門医師の第一人者にして、この世には無い未知の物(『クロス表』もそのひとつ)を生み出す鬼才と言われている。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

「地味な婚約者を捨てて令嬢と結婚します」と言った騎士様が、3ヶ月で離婚されて路頭に迷っている

歩人
ファンタジー
薬師のナターリアは婚約者の騎士ルドガーに「地味なお前より伯爵令嬢が ふさわしい」と捨てられた。泣きはしなかった。ただ、明日から届ける薬が 一人分減るな、と思っただけ。 ルドガーは華やかな伯爵令嬢イレーネと結婚し、騎士団で出世する——はずだった。 しかしイレーネの実家は見栄だけの火の車。持参金は消え、借金取りが押し寄せ、 イレーネ本人にも「稼ぎが少ない」と三行半を突きつけられた。 3ヶ月で全てを失ったルドガーが街角で見たのは、王宮薬師に抜擢された ナターリアが、騎士団長と笑い合う姿だった。 「なあ、ナターリア……俺が間違っていた」 「ええ、知ってます。でも、もう関係のない話ですね」

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

処理中です...