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2章 対魔獣戦闘編

53話

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私が出現させた氷壁に風がぶつかり、風は氷壁を破壊できずに消えた。
とはいえ、氷壁を半分は削ったので、そこまで油断出来る相手じゃない。

しかし、そう考えた所で私の後ろから「ガキン!!」という音が聞こえてきた。
それに釣られて、振り向くとフィーナといつの間にか現れた大型の犬が戦闘を開始していた。

フィーナは犬を一撃で倒そうと首を狙うものの、犬は振り向くとの攻撃を動き回ることで回避し続けていて、時たまフィーナに反撃している。
そして、犬の目には身体強化魔法の青色の魔眼があった。

そちらに目を奪われていると、フィーナが叫んだ。

「ローニャ様!!こちらに向かってきている数が予想以上です!!なので、広域に範囲攻撃をお願いします!!」

フィーナは1ヶ月の旅の中で、以前のフィーナ(私が処刑される前のフィーナ)よりも更に身体強化魔法を極めていた。
以前のフィーナは自身が身に着けている物にも身体強化魔法をかけることで、装備品の消耗を減らすだけでなく自身の強化された身体能力でも壊れないように頑丈にしていた。

それらの事を総合して、魔法とはただ使える系統の事に関連することならば、ある程度自由になっるのではないのかと思った。
なので、王国を出てからの1ヶ月近くは、思考を柔らかくしてどんな魔法が使えるかと魔法の訓練に明け暮れていた。

そして、これは思いついた魔法の中でも、かなり有用な部類に入るもの。
因みに、技の名前などは余裕が無いときは毎回言っていれないものの、余裕があるときはイメージづくりの為にも魔法の技を言うようにしている。

「『探知雨』×『高温氷結』」

私がそう呟くと、私を中心に半径500mの範囲に雨が振り始め、周りから恐らく魔獣だろう動物達の叫び声が聞こえてきた。

まず説明をすると、『探知雨』はその雨が降っている範囲に居る雨に触れた生物を感知するもの。
まあ、この魔法は私に触れた生物の位置とある程度の形を教えてくるので、縦横500m以上広げたら『感知』する作業に意識を割きすぎて、動けなくなってしまう。
更に遮蔽物の下にいる生物は感知できないという欠陥も抱えているので、後々どうにかしようと思っている。

次に『高温氷結』、これは意味的に真逆ではないかと思っているが、これが一番イメージがしやすかったので、仕方ない。
『高温氷結』とは完結に言うと、ぬるま湯以上の温度の物を凍らせる魔法。
しかし、これにも欠点があり、ぬるま湯以上の温度の物を凍らせるので、周囲の温度が低くなければ使えない。
なので、今の位置から、更に火山に近付けばこの魔法は使えなくなってしまうのだ。
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