上 下
62 / 188
2章 対魔獣戦闘編

61話

しおりを挟む
魔獣や動物達の包囲から脱出した後は、魔獣や動物達とは殆ど遭遇しなかった。
おそらく、この森に居る魔獣や動物達が私達を狩るためだけに為だ。

それをフィーナに話すために、包囲された場所から離れた事で、移動する速度を落としたフィーナに話しかけた。

「フィーナ、おそらくあの魔獣や動物達は集められた物だけど、気がついた?」

「はい、集められたというのは気が付きましたが、何故統率されて居なかったのかが分かりませんでした。

ローニャ様自身が『水幻影』の範囲外に出れば、『水幻影』は解けてしまう魔法ですから、冷静に考えると群れのリーダーがいれば、私達が離脱出来るはずがないと思うのですが」

「それは多分だけど、群れのリーダーが私達を見ていなかったからだと思うよ」

「見ていなかった?どういうことです?」

「多分だけど、リーダーは土の中に潜んでいて私達を感知しているのは土に伝わる振動によってだと思うの」

私の言葉にフィーナは目を見開いた。

「は?まさか、土魔法にそんな魔法があるんですか?」

「それは知らない。私は土魔法使えないしね」

「?それならば何故、そのようなことがわかるのですか?」

「フィーナ、少し考えてみてよ。フィーナが全力で開けた穴の底から地上まで及ぶ広範囲攻撃と、更にそこから追撃してきた事を踏まえると、相手の魔眼は恐らく黒色。更に、あそこまでタイミングが良いと、確実にこっちの動きを捉えていないといけない。

これらの事を踏まえるだけでも、敵の魔獣は私達からそう離れた場所からの攻撃は出来なかったということが分かるわ。

更には初撃は遮蔽物が少ない場所からだった、前の事と今言ったことを踏まえると土の中に潜んで、私達の様子を近くから伺えなければ不可能だよ」

「確かに、そうですね。ですが、それは相手の魔獣が何処にいるのか分からないということですよね?結局、逃げるしかないではないですか?」

「いえ、逃げたとしても結局、その先がない」

私はフィーナの言葉にそう返答して、口元に左手を当てた。

確かに現状では逃げるしかないように思える。
しかし、ここで逃げたとして何処に逃げるのか。
仮に近くに街や村があったとして、更にそこに逃げ込んだとしても、相手が予想通りに地面の中に潜み、こちらの隙を伺っているとしたら、それが無くともこちらの行動を感知できたとしたら、逃げたとしても意味はない。

それならばどうすれば、いい?
位置が分からずに、倒せないだけでなく逃げることも出来ない相手に、どうやって対処する?
しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

何でも屋始めました!常にお金がないのでどんなご依頼でも引き受けます!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:16,274pt お気に入り:473

公爵家の末っ子娘は嘲笑う

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,327pt お気に入り:4,889

夫の愛人が訪ねてきました

恋愛 / 完結 24h.ポイント:69,920pt お気に入り:741

処理中です...