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3章後半 『終わり』編
142話(フィーナ視点)
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「ミュールフィス様。その顔は」
ミュール様は仮面が左半分程欠けていて、その左半分は皺くちゃで、今にも倒れそうな程フラフラしていた。
「フィーナさん。それはフィーナさんと、フロービスさんを、今後は好きに させるように、王国と帝国に、指示したものの写しです。
コローナさんは、もう助からない、でしょう。ですから、ここで私が看取ります。私は、ここで黒いなにかを、止めておきます。お2人は脱出を」
ミュールフィス様はフラフラしていて、更によく見ると体の所々が変な方向に曲がっていた。
それを支配魔法の鎖で無理矢理に正していて、私に感じさせないように少しだけ笑みを浮かべていた。
これは助からないと理解出来た。
理解できたが、それでも聞かずには居られなかった。
「ミュールフィス様は来ないのですか?」
ミュールフィス様は私の質問に、驚いたように少し目を開いてから、微笑んだ。
「フィーナさんなら、分かるでしょう?私は元々死ぬつもりで、ここに来ました。ここに居る黒い何かを、全て道連れで、消します」
それを見て、何を言っても曲げられない覚悟を決めているのだと理解出来た。
それならば、これ以上の言葉は不要。
「分かりました。後は頼みます」
そう言ってから、私は不自然に出来た鎖の道を走った。
鎖の道を走って、暫く行っても全く黒い何かは減った様子が見られなかった。
ミュールフィス様が正気に戻っていたならば、この道は外に向かっている筈。
それなのに、黒い何かが減っている様子が見られないならば、外に出ていた黒い何かも、支配魔法で中に戻しているのだろう。
その考えに辿り着いてから、自嘲するような笑みが出てしまった。
「ハハッ、全くローニャ様にも、ミュールフィス様にも何時まで経っても、追い付ける気がしませんね」
それからも暫く走っていると、ようやくこの空間の出口、最初に入ってきた入り口に辿り着いた。
ここに辿り着くまで、ローニャ様を封印魔法で封じながら、『身体強化』を維持して走り続けていた事もあって、私は息が切れて、かなり疲れていた。
それがあり、外に出てからすぐに膝を付いてしまった。
「はぁ、はぁ。キツイ、断続的な封印魔法の行使が、ここまでキツイなんて。ミュールフィス様とローニャ様の魔法も使っている時に、こんな疲労があったんですかね」
私がそんな事を言った後、悲しんでいる様な暗い声が聞こえてきた。
「やはりミュールフィスとコローナさんは駄目でしたか。コローナさんは生き残ると思っていたのですが」
その声で顔を上げると、目の前に顔を曇らせているお師匠様が居た。
ミュール様は仮面が左半分程欠けていて、その左半分は皺くちゃで、今にも倒れそうな程フラフラしていた。
「フィーナさん。それはフィーナさんと、フロービスさんを、今後は好きに させるように、王国と帝国に、指示したものの写しです。
コローナさんは、もう助からない、でしょう。ですから、ここで私が看取ります。私は、ここで黒いなにかを、止めておきます。お2人は脱出を」
ミュールフィス様はフラフラしていて、更によく見ると体の所々が変な方向に曲がっていた。
それを支配魔法の鎖で無理矢理に正していて、私に感じさせないように少しだけ笑みを浮かべていた。
これは助からないと理解出来た。
理解できたが、それでも聞かずには居られなかった。
「ミュールフィス様は来ないのですか?」
ミュールフィス様は私の質問に、驚いたように少し目を開いてから、微笑んだ。
「フィーナさんなら、分かるでしょう?私は元々死ぬつもりで、ここに来ました。ここに居る黒い何かを、全て道連れで、消します」
それを見て、何を言っても曲げられない覚悟を決めているのだと理解出来た。
それならば、これ以上の言葉は不要。
「分かりました。後は頼みます」
そう言ってから、私は不自然に出来た鎖の道を走った。
鎖の道を走って、暫く行っても全く黒い何かは減った様子が見られなかった。
ミュールフィス様が正気に戻っていたならば、この道は外に向かっている筈。
それなのに、黒い何かが減っている様子が見られないならば、外に出ていた黒い何かも、支配魔法で中に戻しているのだろう。
その考えに辿り着いてから、自嘲するような笑みが出てしまった。
「ハハッ、全くローニャ様にも、ミュールフィス様にも何時まで経っても、追い付ける気がしませんね」
それからも暫く走っていると、ようやくこの空間の出口、最初に入ってきた入り口に辿り着いた。
ここに辿り着くまで、ローニャ様を封印魔法で封じながら、『身体強化』を維持して走り続けていた事もあって、私は息が切れて、かなり疲れていた。
それがあり、外に出てからすぐに膝を付いてしまった。
「はぁ、はぁ。キツイ、断続的な封印魔法の行使が、ここまでキツイなんて。ミュールフィス様とローニャ様の魔法も使っている時に、こんな疲労があったんですかね」
私がそんな事を言った後、悲しんでいる様な暗い声が聞こえてきた。
「やはりミュールフィスとコローナさんは駄目でしたか。コローナさんは生き残ると思っていたのですが」
その声で顔を上げると、目の前に顔を曇らせているお師匠様が居た。
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