黒色の令嬢と金色の側近

ロシキ

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1章 令嬢の決闘

2話 国有奴隷化

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「おい、聞いているか!!」

私が興味のない話を聞きながらしていると、第一王子殿下は何時の間にかそう叫んでいた。

「すみません、聞いていませんでした。それでなんですか?」

「なっ!!聞いていなかっただと!?貴様のそういう所が嫌いなのだ!!

まあ、いい。なにせ、貴様と会うのも今日で最後なのだからな!!

ローザ・ノーザス!!貴様は異母姉妹であるアリス・ノーザスを虐めた罪として、国有奴隷化を宣言する!!」

この発言に会場に居た者達(壇上に居ない者のみ)は絶句し、私は眉を顰めるた。
そもそも現在各国は基本的に奴隷を認めておらず、奴隷になるものは王族暗殺や暗殺未遂、更にクーデターを企てていた時等といった、国家反逆罪レベルの犯罪者しか奴隷にならない。
その奴隷も全て王家が管理・販売しているので、奴隷は国有奴隷という名になっている。

ただ問題はこの国有奴隷化は国王陛下に認められなければすることが出来ないので、この件は国王陛下も承知しているということになる事だ。

まあ国有奴隷化といっても奴隷のように扱うだけで、現状世界のどこにも他者を強制的に従わせる手段が無いので、国で圧力を掛けて従わせているだけになる。
しかし、それだけでは『異能者』である私ならば、この国有奴隷化から他国に逃げて、他国に仕えれば良いだけだ。

他国も私が仕えると言えば、喜んでこの国と敵対するだろう。
それ程までに私の価値は高い。

しかし、それとは別に私が眉を顰めたのはアリスの名前だ。
彼女の名前はアリス・ノーザスなどではなく、アリス・スレイクであり正確に言えば貴族ですらない。

そもそもアリスは元伯爵家三男のあり、入婿の私の父親の愛人(平民)の子供なので、認められても伯爵令嬢まで、公爵家現当主が養子に迎えれば公爵令嬢を名乗れるかもしれないが、侯爵家以上は基本的に王族の血が流れているため認められないだろう。

しかも、ノーザス公爵家は初代王の時代、つまり建国当初から国に仕えているという伝統ある貴族家なので、平民の養子、認められても伯爵家の三男の子供では養子には絶対に認められないので養子ではない。

そこまで考えた所で、ニードレッドが私に耳打ちしてきた。

「どうやら国有奴隷化はあの第一王子が勝手に言っているだけで、国王は承知していないようです」

「国王陛下は後どれくらいで来るの?」

「はい、15分もすれば会場に到着するかと」

「そう、それなら邪魔な周り側近を片付けつつ、あれらの茶番に少し乗ってあげましょう」

私はそう言ってから、第一王子殿下に向かって話しだした。

「国有奴隷化ですか。『異能者』の中でも特に強い力を有している私とニードレッドを相手取って、無理矢理従えさせられると?」

「ふん!!貴様らの力は力だけは強いが、アリスが居れば問題はない!!アリス見せてやれ」

「はい!!封印!!」

アリスは私達に両手を向けてそう叫んだ。
その行動の意味が私達が分かっていない内に、第一王子は笑いだした。

「ふはは!!これで貴様らは『異能』を使えない!!さあ、兵士達よ、その2人を捕らえよ!!」

第一王子、いえこれからは馬鹿と呼びましょう。
馬鹿がパーティー会場を守護していた兵士達にそう言うと、兵士達は一斉に動き出した。
おそらく、馬鹿の側近に騎士団長が居るので、その男が手を回したのだろう。

そして、アリスがさっき言った『封印』という言葉、おそらくは他者の『異能』を封じる『異能』にでも発現したのだろう。
それを他の『異能者』で確かめたのか、それともただの思い込みなのかは謎だけど、私達に取っては問題はなかった。

「『塗り潰せ』」

一言。
私が発したその一言だけで、私達を捉えようと動き出していた兵士達は頭の天辺から足の爪の先まで全てが黒く染まった。

これは私の『異能』の能力で、私の『異能』の能力を大まかに言えば、塗り潰す又は染めることだと言える。
例えば相手の思考を恐怖のみに塗り潰したり、人体を黒く塗り潰して殺したり、その他様々な事が出来る。

ただ私は私の『異能』のせいで髪と目が黒く染まっている。
私の両親並びにその親族には黒い髪や目の人間は居なかったので、お母様の不貞を疑われたけどお母様は変わらずに私を愛してくれた。
私が『異能』に目覚めたのは5歳の頃で、それまではかなり白い目で見られてけど、そんな目は気にせずに私を愛し守ってくれた偉大で大切だと思える人。

ただ私が『異能者』だと分かると、まるで私を守る役目は終わったとばかりに病気に掛かり、そのまま半年もせずに亡くなってしまった。
その頃はまだニードレッドとは出会っていなかったから、私にはどうにも出来なかった。

少し話が逸れだが、会場では次々に倒れていく兵士達の姿が見られた。
その異様な光景に会場では誰も動くことが出来ず、音もなく静寂に包まれた。
そんな静寂の中で私とニードレッドだけは平然と動き、話していた。

「一体、アレは何がしたかったのかしら?『異能』の力も感じなかったし、そもそも私の『異能』は他者の『異能』に干渉されないと知らないの?」

「恐らくですが、『異能者』に演技でもして貰ったのでしょう。一人だけですが、買収はされずとも面白そうなら演技する阿呆に心当たりがあります」

「やっぱりそう思う?私も一人だけ心当たりがあるし、そう思うのよね。そういえばニードレッド、殺した兵士達を生き返らせてくれる?」

「そうでしたね。『過去は変わり、未来へと紡がれる』」

そう言ってニードレッドは『異能』発動させていた兵士達を生き返らせた。
因みに私もニードレッドもイメージをしっかりすれば何も言葉に出さずとも『異能』が使えるけど、ここでは周囲に分かりやすくなるように言葉に出している。
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