黒いモヤの見える【癒し手】

ロシキ

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1章

23話 訓練での成長

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ミュディー様とエクス様、ドリスさんとの訓練は、私が初めて【回復】属性の魔法を使用した日から5日間毎日続いた。

その中で、私は色々な面で変わった。

まず、ドリスさんの呼び方が変わった。
私はドリスさんをずっと【付与師】さんと呼んでいたものの、訓練2日目で堅苦しいと言われ『ドリスさん』に強制的に変えられた。
むしろ変えなければ髪の毛や唾液を提供してもらうと、ドリスさんはウキウキしながら言っていた。

なので、私的には呼び方を変えて欲しいのか、欲しくないのか分からなかったものの、ドリスさんに変えた。
流石に、髪の毛や唾液は提案したくない。


次に【回復】属性の魔法。
まず私は安定して【回復】魔法を使えるようになった。
ただし、どうも私は傷を治すイメージでの魔法発動が苦手で、黒いモヤを消す方なら確実に成功出来る自信が付いた。

逆に傷を治すイメージの成功は五回に一回くらいなので、『多分使わなくて良いだろうけど、三回に一回は成功するように訓練はしておいたほうが良い』とエクス様に言われた。
なので、そちらの訓練も少しだけしている。


ただし、最も訓練しているのは【回復】属性の魔法、その効果上昇の為の訓練だ。

これは主に2つ訓練の種類があった。
1つは同時に黒いモヤモヤを消して綺麗に出来る箇所を増やしていく事。

今は一箇所から三箇所までか、黒いモヤモヤの数を関係なく全身の黒いモヤモヤを消して綺麗にするかしか使えない。
黒いモヤモヤを消して綺麗にする箇所が増える程、使用する魔力は増えるものの、全身にすると魔力の消費量が凄い。

一箇毎に回復するなら幾らでも魔法を使える気がするのに、全身にすると3回くらいしか使えない。

因みに、三箇所を消して綺麗にしようとすると、感覚的には一箇所目の分+二箇所目の分〈一箇所目と同じ分〉+(一箇所目の分✕2倍)の魔力消費となっていた。
つまり、三箇所を消して綺麗にすると一箇所目✕四の魔力を使うことになる。

ただ、これ同時に消して綺麗に出来る箇所を増やせる速度は、今後は落ちてしまう事になる。
なぜなら二箇所目までは手で触れていたので初日の内に出来た。
しかし、三箇所目の時はかなり手間取ってしまい、出来たのは4日目だった。

私が一体何箇所まで同時に消して綺麗に出来るかの限界は、現状分からない。
限界が分からないのは、様々な要因があるとドリスさんは言った。
詳しく聞くと、3つほど気になる点があると言われた。


1つ目が黒いモヤモヤの濃さ。
今の所は感じていないものの、ドリスさんは黒いモヤモヤが濃くなる程に必要な魔力が多くなるだろうとの事。
そして、私が訓練中に試せたのは肌が見えるくらいの濃さの黒いモヤモヤまで。
なので、肌が見えなくなる程の黒いモヤモヤを消して綺麗にするのに、どれほど魔力が必要なのか分からないのだ。

2つ目に同時に消して綺麗にする時に消費する魔力。
これは三箇所目の魔力が一箇所目の魔力の倍必要になっている事から、四箇所目の魔力が一箇所目の魔力✕3必要になる可能性があるとの事。

仮に触れられない箇所に必要な魔力が、どんどん増えるなら私が魔力が減ったと感じられるくらいで同時に消して綺麗に出来る箇所を増やす訓練は中断するとの事。
そうなると、本当の限界と訓練しないが故の限界が変わる事も関係している。

3つ目は私の魔力の総量の増加。
もちろん今の総量による魔法の使用限界なら分かる、しかし今後も増加し続けていくなら意味が無い。

だからこそ、今の限界は分からないと同時に調べない。
エクス様も私と同じで、正確な限界は分からず、戦闘中も感覚のみで限界を捉えて魔法の加減をしているらしい。
その加減さえなければ、ドリスさんにも届く事が増えるのだとか。


そういう訳で限界が分からない。
ただ始めの頃は黒いモヤモヤを消して綺麗に出来るのは一箇所だけだった。
魔力の消費量も今の一箇所目と、始めの頃とを比べると2倍くらいは多かったので、すごく進歩している。
訓練を見てくれていたミュディー様には、かなり才能があると言って貰えたので、嬉しかった。

エクス様とドリスさんも始めは手放しで褒めてくれていたけれど、私が二箇所同時に消して綺麗に出来るようになった瞬間は顔を引き攣らせた。
そして、三箇所同時が出来るようになると顔を強張らせて、戦闘訓練に凄い力を入れ出した。

それを見てミュディー様は笑みを浮かべて、「良い刺激になったみたいね」と言っていた。
ただ、そこからはエクス様やドリスさんに打撲や火傷は普通、骨折や四肢欠損寸前も有るようになった。
ただ骨折や欠損寸前の時も体が見えるくらいの黒いモヤモヤだったから、一体どんな事になったら体が見えなくなるのか心配になってしまった。


最後の変わった部分は、ある程度の血を見ても平気になった事だ。
これまで血を見る機会は何回か有っても、それは鼻血や魔物の授業の際にあった言わば日常の出血場面だけだった。

でも、エクス様とドリスさんの戦闘訓練は訓練と言いつつも、訓練が激しくなってからは殺し合いにしか見えなかった。
訓練中は2人共すごく怖い顔をしているけど、訓練が終われば怖い顔を辞めて、お互いの反省点を話し合ったり、軽口を叩いて不敵な笑みを浮かべたりしていた。

そんな2人を見ていて、確かにエクス様はドリスさんを嫌っているし、ドリスさんはエクス様を研究たいしょうとして見ているけれど、お互いがお互いに対して敬意を持って接しているのが見て取れた。
それを観ている内に、気が付くと訓練後の返り血や出血を見るのが大丈夫になっていた。

ミュディー様の話では『防衛戦ではもっと酷い傷や出血を見ることになるけれど、この訓練を見て大丈夫なら乗り越えられるでしょう』という事だった。
それを聞いて、今以上の傷や血を今後は見る事になるという事に気が付き、どこか現実離れした現状を、より正しく認識する事も出来るようになった、気がする。


そんな変化が起こりつつも、ミュディー様と訓練を始めた6日目の朝。
私は見知らぬ大人の人が6人いる部屋に連れてこられていた。
その部屋には領主様やミュディー様、エクス様にドリスさん、エステールさんも居た。

なので過度な緊張はしなかったものの、どの大人の人も私は会ったことのない程の貫禄を持っている人だった。
そんな人達も、初めて見る私が気になっているのか、たまに視線を向けられつつも、領主様が話し始めた。

「さて、今回の話は6日前に確認され、未だこちらに接近を続けている『タートル』への対応に関する、最後の打ち合わせだ。
打ち合わせが終わり次第、今回の作戦に関わる者達を集め、決起会を行う。
その後は各員が作戦の準備に取り掛かるように」

領主様の言葉の後に、部屋に居た私以外の人が頷く事で返答をした。
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