血の魔法使いは仲間を求める

ロシキ

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1章 第1部 追放と一人目

4話 『転移玉』

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俺がそんな事を考えていると、俺の兄達(名前は呼ばなくとも良いだろう)が言った。

「アイリス王女に婚約破棄をされたお前など、我がブラーディト家には必要無い!!よってお前は魔の森に一番近いラスター村に追放する!!」

俺はさっきから兄達は馬鹿なのかと思っていたが、今の発言でこの兄達は確実に馬鹿で世間知らずなアホだと証明された。
そもそもブラーディト家の正当な血を引いているのは現状で俺だけなので、あのアホ達が我がブラーディト家とか言っては駄目なのだ。
一応あのアホ達もブラーディト家には属しているが、それは現ブラーディト家当主代理の長男と次男という扱いであり、奴らにはブラーディト家の何かを相続する権利は無い。

例え俺が死んで問題が起こっても、ブラーディト家の分家から養子を取り、それを傀儡にすればいいとか考えているのかもしれないが、貴族家にしては珍しくブラーディト家には分家が殆ど無く、血が繫がっている中で一番近いブラーディト家ではない人間は王家、その次は同じ位の濃さで敵対派閥の侯爵家と中立派閥の辺境伯なのだ。
そんな訳で誰がブラーディト家の当主になるかは知らないが、兄達は無理で他でも相当に面倒になるのは必定している状態。

しかも、魔の森に一番近い街か村はラスター村ではなく、さっき言った辺境伯と同じ辺境伯が収めているゴリアテという名の街だ。
ラスター村も存在はしたが、3年ほど前に魔の森からの魔物の大量氾濫によってラスター村の人間はゴリアテに避難し、ラスター村の物的被害業況が酷かったので、そのままラスター村は消滅、ラスター村の住民達はゴリアテの住民となった。

なので、ラスター村に追放するとか言っている兄達はアホであり、そもそも兄達にというかブラーディト家の代理当主である俺の父親ですら俺を追放する権限は持っていない。
まあ、魔法使いを追放しようとする馬鹿が居るなんて、そもそもが想定外だがその権利があるとすれば追放されるという名目で自分から出ていくか国王陛下が周囲の反対を押し切れれば追放を命じれるくらいである。
それをした場合は他国から貴重な魔法使いを追い出したということで、周辺国全てから速攻で戦争を仕掛けられるだろうが。

そんな訳で俺を追放することは実質的に不可能のはずなのだが、馬鹿な兄達はドヤ顔で話し続けた。

「しかし、魔の森までは長い道のりとなろう!!よって私達は貴様にとっておきの物を使ってることにした!!」

俺と周囲が「とっておきの物?」と首を捻った所で、長男は懐から真っ白な玉をとりだして、それを右手で天井に掲げながら叫んだ。

「『転移!!対象者はストレンス・ブラーディト!!場所は魔の森に一番近い村、ラスター!!』」

俺は長男が叫びだした時には魔法で長男を攻撃してでも止めようとしたが、それは周囲の兵士達と次男が予め発動していた(魔力を込めることで、魔法の効果があるアクセサリーが発動する)『魔法無効のアクセサリー』によって止められてしまった。
ちなみに、この『魔法無効のアクセサリー』は正確には無効では無く霧散である為に上手く魔法を使えば自然現象でも攻撃出来る上、このアクセサリーを付けている間は魔力を注いでいようといなかろうと、魔法が使えなくなるので使えないアイテムとして知られている。

そんなアイテムによって俺は時間を稼がれてしまい、長男が使用した『転移玉』(魔力を注ぎながら、発動!!と叫んだ後に、対象者を目視しつつ名を対象者の名を叫び、最後に場所を叫ぶ事で発動する魔法の力が込められたアイテム)が発した強い光に俺は包まれた。
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