血の魔法使いは仲間を求める

ロシキ

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1章 第1部 追放と一人目

10話 アーティファクト

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危険な魔法には様々な物があるが、今回は発動する術者が危険な魔法だ。
その名は『命血めいけつ』、効果の程は全く分からないが、その魔法名から何かに名前を付ける魔法ではないかと思っている。

俺が考えていると様な効果の魔法か魔術を使えない者はよく「名前なんてつけて意味あるのか?」という事を聞いてくる。
結論から先に言えば、名前をつける意味は大いにある。
魔法または魔術によってつけられた名前は、どんな物につけたとしても、どんな名前をつけても、それが生物ならば生命の格か各種能力を、それが物ならば単純に性能を上げる。

なので、効果内容的に簡単そうな魔法に思えるが、俺の刺さなければならない部分がえぐい。
因みに刺さなければならない部分とは、今の所は俺の血の魔法に限定されており、使いたい血の魔法がある場合は単に体外に血が出ているだけではなく、指定された部分から血が出ていなければならないし、傷の深さまで指定されているので深さも指定された以上の傷がなければ使えないのだ。
因みに傷の深さは『マジックアイ』で確認可能だ。

例えば『増血』や『操血』なんかは特に場所の指定がなく、それらを使いたいと思えば俺の全身の表面が薄く光り、全身の何処かから血が出ていれば使える魔法だ。
逆に、最近初めて試した『鎧血』は両手のひらから血が出ていなければならず、しかも手のひらの半分程まで傷がなければならない。

そして、今回試そうとしている『命血』は大体胸の真ん中から、少し左側の位置から血が出ていなければならず、しかも深さは丁度心臓を通り過ぎるか、過ぎないかくらいである。
どういうことかと言うと、下手に魔法を発動させようとすると心臓に傷が付く可能性があるだけでなく、心臓を自分で突き刺してしまう可能性もあるという事だ。

それならば試さなければいいんじゃないかと思うかもしれないが、俺の血の魔法は血の量もそうだが、傷がなければならない位置で俺の身が危険になるほどに強力になるので、強そうな魔法は出来るだけ試しておきたい。
まあ、流石に今日はもう夜で前もって魔物の肉で明日の昼食分まで用意できているとはいえ、ここの安全性なども確認していないので、一晩開けた明日の夜に試してみるつもりだ。

というわけで、もう今日は唯一天井がある部屋で、もう就寝する予定だ。
そして、予定に従って寝ようと上着を毛布代わりにしようとした所で、唐突に思い出した。

「あ、『収納』に毛布とかの遭難時に使える、緊急セットが入ってるんだった。

あ~、馬鹿だよな~。もっと早く思い出したら、初日とか昨日とか、寒い思いをしなくて済んだのに」

俺はガックリと肩を落としつつも、今思い出したことで良しとしようと切り替えた。
なので、匂いが強い物は出さず、とりあえず今使う毛布や国王陛下に『魔物討伐に行くんだから』とおD、じゃなかった強請った『魔物避け』という、世間で糞アイテム扱いされている物を取り出した。

このアイテムは中々に便利な物だと思えるだろう?
しかし、これには俺には関係ないが殆どの人間には全く使えない物にしている、圧倒的なデメリットが存在した。
それはこのアイテムが魔法使いでしか使えないというデメリットだ。

このアイテムは元々現代で複製不可能な道具アーティファクトに分類されるのだが、どの様に判別しているのかは不明であるが魔術師や魔術師の適性がない人間には全く反応せず使えない。
しかし、魔法使いにだけは反応し使いこなすことが可能な物であり、元々古代遺跡から数点だけ出てきた歴史的価値のあるものだったが、もう研究され尽くして殆ど価値は無くなった。

なので、俺が「色々と面倒なことを押し付けてきたのですから、これぐらいは当然問題ないですよね?」と笑顔で詰め寄ったら、国王陛下の顔は引きつっていたが快く譲ってくれた。
因みに使い方は起動し続ける時間に必要な量の魔力を込めておくだけという簡単な物だ。


そんな訳で、そんな俺にはデメリットと言えないデメリットが存在しているアーティファクトを、拠点の中心に置いた。
因みに範囲は固定なのだが、拠点の中心に置けばギリギリで拠点の全範囲をカバー出来た。
俺は拠点の中心にアーティファクトを置いた後に、眠りについた。
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