血の魔法使いは仲間を求める

ロシキ

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1章 第2部 街へと二人目

29話 悪魔との戦闘

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都市級魔法を使った事で、魔力低下と血の大量消費、並びに左手の痛みによって気絶していた俺は目が覚めてから、すぐに現れた結界を見て「二人共、今すぐに止まれ!!」と叫んだていた。

それから、すぐにエリーシアから降ろして貰い、二人には少し離れててくれと指示を出してから、未だに結界とぶつかりあっている『血集玉』を避けつつ結界まで近づき、結界を調べた。

というのも、目の前の結界に見覚えがあったからだ。
この結界を見たのは前の人生でだったが、これは中から生物を出さない効果と外からの魔法での干渉の一切を除外する効果が備わっている。 
しかし、そんな結界を人間は魔術に落とし込むが出来ず、魔法使いが真似て使える程度の物で、いわばある種族専用魔法である。

そして、この結界の魔法が使える種族といえばー

「なんだ?人間に、変なのも居るな」

唐突に俺の上から声が聞こえてきたので、その瞬間にはエリーシアとアイミナが居る場所まで跳んだ。
そして、その後に背中から黒い翼と尻尾が生えている、その姿を見て確信が持てた。

「この結界はお前の仕業か、

俺の言葉にエリーシアが驚いて動揺して、完全に剣から手を離してしまった。
というのも悪魔は過去に滅んだとされているためだ。

少し詳しく話すと、この様な伝承が各国に残っているのだ。
『その種族、存在していた全ての種族を相手取り、この世界を地獄の世界にせんと企んだ。その企みは成就し、大地が、空が、海が、地上の全てが地獄と化し、その種族以外の全ての種族が絶望に染まった時、天から白き翼を携えし者達が現れた。その者達は全ての種族に希望を与えると同時に、地獄を消し、悪魔の勢力を撃滅させた』
こんな伝承が残っていると同時に天空てんくう国という国の王が、その天から現れた者達の子孫を自称しているので、概ね事実として流布している。

そして、そんな伝承の中に出てくる全ての種族を相手取り、地獄の世界にせんと企んだのが悪魔達だ。
そんな悪魔が目の前に現れれば動揺してしまうのも仕方ない。

だが、剣から手を離すのは駄目だ。
俺が万全なら目の前の悪魔が敵対してきても確実に無傷で切り抜ける自身がある。
しかし、それは精々が短い間だけであり、あれを討つなら強さ次第では俺を含めて全員が命を賭けなければいけなくなる。

ただ目の前の悪魔からは、中位の悪魔までなら垂れ流している筈の魔力の圧を、そこまで圧を感じないので、圧を感じない程度の実力だと嬉しい。
逆に圧を隠せる程の実力者だと、かなり不味い。

なので、俺は密かに魔法の準備をしてから、不機嫌そうにしている悪魔に話しかけた。

「あ~、不機嫌そうだな、悪魔」

「ふん、人間ざこが私の様な高貴な種族に話しかけて良いと思っているのか?身の程を知れ」

そう言って、悪魔は無言で火の玉を撃ってきた。
それを元々用意していた水の槍を撃つ魔法で火の玉を貫き、そのまま水の槍で悪魔に攻撃。

火の玉を水の中で貫通出来たと認識出来と同時に、自身に現状で最大倍率の『身体強化』(現状約10倍)を使用した。
身体能力を10倍にしたので、体中がミシミシと悲鳴を上げているが無視して、結界に疾走した。

そんな俺に悪魔は自身の火の玉が俺の水の槍に破られた事に驚き、気がついていない。
そして、俺は結界に着くと、勢いそのままで結界を足場にして悪魔まで全力でジャンプした。

そして、俺が悪魔の背中までジャンプ出来たのと、悪魔が俺の水の槍を消せたのは同時だった。
そのタイミングで悪魔は俺に背中を取られているのに、気が付いたようだが意味は無い。

俺は悪魔の背中に触れると同時にある魔法を発動させた。

「『魔玉まぎょく』!!」

俺がそう叫んだと同時に悪魔の動きは止まり、悪魔の体が黒く光った後、悪魔が居た場所には掌の平サイズの大きさの黒い石が残っていた。
それを確認したと同時に俺と黒い石が落下を始めたので、その石を掴んでから『飛翔』を使用して、ゆっくりと二人の元に降りていった。
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