血の魔法使いは仲間を求める

ロシキ

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1章 第2部 街へと二人目

34話 弾かれる魔法

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「なんで、魔法が弾かれるんだよ!!」

俺は何度もエリーシアの機能的な傷を治すために魔法を掛けようとしたが、そのたびに何故か魔法が弾かれた。
魔法が、しかも大きな分類では支援魔法である回復系統の魔法が弾かれるなんて、そうそうある事態ではない。
回復系統の魔法が弾かれるのはアイミナの欠損を治そうとした時にもあったが、俺はアイミナが『命血』によって人化した衝撃で忘れていた。

そんな事も忘れていた俺が取り乱していると、アイミナが叫んだ。

「ボス!!魔物が寄ってきたのです!!数自体はさっきよりも少ないなですけど、どうするのですか!?」

「このタイミングで魔物の相手はしてられない。この場は逃げるしか」

俺がそう判断を下そうとした所で、エリーシアが再び吐血した。
それに驚いたアイミナはオロオロとしだして、俺は混乱してしまった。
体は完全に治ってるのに、なぜ吐血したのかが分からなかったからだ。

そのせいで俺が思考を停止してしまった所で、周囲から数体の都市級並びに部隊級の魔物達が飛び出してきた。
それに気が付き、俺は両手から流れ出ている血に魔法をかけた。

「『増血』『操血』『形血』」

現状の魔力量を圧迫しない程度の5本の血剣を作り魔物の首を切ろうとしたが、魔物達は魔法で対抗したり、単純に避けたりしながら、魔物達は俺達を殺そうとしてきた。

俺はそんな魔物達を見て大きく舌打ちをして、次の魔法を放った。

「『加重』!!」

俺の周囲250m程の範囲に展開された重力の折は魔物達を、数秒ではあるがその場に縫い付けるには十分な威力を誇っていた。
そして、縫い付けられた魔物達を血剣で全て始末して、エリーシアが吐血した原因を考えた。

そもそも体は万全なのに何故、吐血したのか。

それを考えようとしたが、苦しそうにしているエリーシアを見て、考えるよりも回復魔法を掛ける事に専念しなければならないと判断した。
そして、再びエリーシアに回復系の魔法を掛けようとしたところで、オロオロとしてアイミナが思い付いたように言った。

「ボス!!『命血』なのです!!』

「は?『命血』?何を言ってるんだ?」

「エリーシアに『命血』をかけるのです!!」

「だが『命血』じゃあ、エリーシアの機能的な傷はー」

「私は『命血』で腕が生えたのです!!」

俺はアイミナの言葉に確かにと納得しかけたが、すぐに駄目だと気が付いた。

「いや、駄目だ。『命血』は多分効果を及ぼしたい物に名前を与えなければ行けない。エリーシアにはエリーシアという名が既にあるから、使えない」

「ボスは魔法による名付けは、元から名前があっても使えると言ったのです!!」

「確かにそうだが、今『命血』を使えば魔力が無くなる。しかも、ここは悪魔の結界の中とは違って魔力の濃度による魔力の回復量の増量を期待出来ない。それなら不確実な『命血』よりも回復系の魔法を掛けたほうが確実にー」

「ボス!!」

俺がアイミナに反論している途中でアイミナは俺の言葉を遮って両手で俺の顔を挟むように叩いた。

「ボス、落ち着いて考えてほしいのです!!回復系の魔法は効かないのですよ!?なら、『命血』を試すしかないのです!!」

俺はアイミナにそう言われて再び反論しようとしたが、そこで気が付いた。
自分はエリーシアは不確かな『命血』の回復効果に頼らなければ生きれない上に、なんだかんだと理由を付けて、『命血』を使わなくていいようにしようとしているのだと。

それを理解した俺は何故『命血』を使いたくないかと疑問に思ったが、それよりも先にやることがあった。

「アイミナ、もう大丈夫だ。エリーシアに『命血』をかける」

俺がそういうと、アイミナは頷いてから退いた。
俺はアイミナの時にも使ったナイフを取り出して、『マジックアイ』で体を見た。
すると、アイミナの時に使った傷のコースが無く、驚いたがそれでも通常?の『命血』を発動させた。

俺が体からナイフを引き抜いてから、エリーシアに手を向けて叫んだ。

「『命血』!!名はエリーシア!!」

すると、エリーシアの体を俺の血が包み込みアイミナの時と同じ様に光った。
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